「あなたを抱きしめる日まで」を観てきました。
ストーリーは、
1952年アイルランド、未婚の母フィロミナは強引に修道院に入れられた上に、息子の行方を追わないことを誓約させられてしまう。その後、息子をアメリカに養子に出されてしまった。それから50年、イギリスで娘と暮らしながら常に手離した息子のことを案じ、ひそかにその消息を捜していたフィロミナ(ジュディ・デンチ)は、娘の知り合いのジャーナリスト、マーティン(スティーヴ・クーガン)と共にアメリカに旅出つが……。
というお話です。
こんな悲劇があったんですね。神に仕える人々が、こんな酷い事をしていたなんて、驚いてしまいます。赤ちゃんを売るなんて、神は絶対に許さないと思います。だって、命を売る事になる訳でしょ。いやいや、それは、懺悔しようが何しようが、許されないでしょ。このシスターたちは、地獄に落ちるはずです。地獄の業火に焼かれますよ。
フィロミナは、16歳の頃、フェスティバルで出会った男性と恋に落ちます。一度の行為で妊娠してしまい、未婚の母となる事に。フィロミナの親は、そんな娘を恥じて、娘を修道院に入れてしまいます。修道院で働きながら子供を産み、一日1時間程しか子供に会わせて貰えない状態が続きます。ある日、同僚の子供が貰われてしまうという噂を聞き、心配したフィロミナは窓から子供の様子を探っていると、自分の子供も一緒に連れて行かれてしまう姿を見ます。
それから50年。フィロミナは、昔別れた自分の息子の誕生日に、今一緒に暮らしている娘に昔の悲しい出来事を話ます。娘は、母親の気持ちを思って、別れた息子を探す為に、ジャーナリストに協力を頼みます。フィロミナとジャーナリストのマーティンは、彼女の息子アンソニーを探す為に、修道院へ行った2人は、近所の店で、修道院がアメリカへ子供を売っていたという事実を知らされます。そして2人は、アメリカへ旅立つ事に。
今でも、養子縁組って沢山あって、訳あって子供が育てられない人が、誰か育ててくれる人に子供を託すという事で、とても良い事だと思っていたんです。でも、この修道院のように、子供と一緒に居たい親から、子供を奪って、他人に売り渡すというのは、とんでもない罪だと思いました。
確か、日本でも、NPO法人や民間斡旋団体で養子斡旋をしているところが、1件につき100万円以上の寄付金を要求しているところがあり、子供の売買と同じだと言われているところがあるようで、他国の問題では無いんですよね。私も出来るなら、子供を育てたいと思っていたし、100万円で子供を育てられるなら払おうかという気持ちも解ります。そんな人の気持ちに付け込んで、お金を儲けようとするって、極悪ですよね。例えば、養子を探していただいたから、感謝の気持ちで寄付をするというなら理解出来るけど、要求するって、どうなのよっ!
話戻して、主人公のフィロミナは、信心深くて、何処までも神を信じているんです。もちろん、修道院も悪い事をする訳が無いと思っていて、シスターたちが言う事をそのまま信じてしまうんです。彼らが、沢山の罪を犯していると言うのに、全て許してしまう。その姿を見ていると、神を信じるしか無いような、大変な人生を歩んできた彼女だからこそ、全てを許そうという気持ちになれたのだと思いました。
この話は、ネタバレしちゃうと、感動が薄れるので、あまり書かないようにしないとダメですね。長い旅の後に、フィロミナに残ったものは何だったのか、ぜひ、その目で、劇場で確認してください。感動すると思います。そして、このお話が、実話だということに驚くと思います。

ジュディ・デンチが、とても可愛いフィロミナお婆ちゃんを演じていて、とっても好感が持てました。お婆ちゃんなんだけど、女性特有の優柔不断さを持っていながら可愛くて、辛い思いをしているのに、とても優しいんです。周りをイヤな気持ちにさせないように気を遣うし、かと言って、言われるままに行動するのではないところが、とてもステキだと思いました。年を取ったら、こんなお婆ちゃんになりたいな。
2006年のジュゼッペ・トルナトーレ監督作品で「題名のない子守唄」という映画があって、それも、自分の子供を産んですぐに取られてしまい、養子に出されてしまう話で、母親は、やっぱり子供を探すんです。衝撃的な話でサスペンスっぽくて、面白いですよ。この映画とは、タイプが違いますけどね。
私は、この映画、とてもお勧めしたい作品です。かわいいお婆ちゃんと、本当は力を持っているジャーナリストとの珍道中をお楽しみください。笑えて、感動出来ると思いますよ。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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