「ヴィオレッタ」これは母親による娘への精神的虐待の話です。厭らしい目で見ないで欲しい。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「ヴィオレッタ」の試写会に行ってきました。


ストーリーは、

写真家のアンナ(イザベル・ユペール)を母に持つヴィオレッタ(アナマリア・ヴァルトロメイ)は、母が多忙のため、祖母と一緒にいる機会が多かった。ある日、母にモデルになるよう誘われたヴィオレッタ。母に気に入られたいヴィオレッタは要求に応え、カメラに向かい大胆なポーズを取るように。そして、衣装とメイクで大人の色香をまとい……。
というお話です。


ヴィオレッタ

ヴィオレッタは、子供の頃から祖母に預けられていて、時々、母親が訪ねてくるような状態で育ってきました。母親のアンナは、ハッキリ言って、大した能力も無く、中途半端に色々なものに手を出し、たまたま、写真に芽が出たというような感じに見えました。芸術だと騒ぎ、画家や画廊のオーナーなどに売り込み、相手が困っている様子が描かれています。そんな彼女が、娘のヌードで脚光を浴び、自分の虚栄心を満足させ、自分の欲の為に、娘を使っていく姿が生々しく描かれていて、恐ろしいと思いました。


アンナは、母親では無く”女”なんです。自分の欲を満足させる為の道具である娘を、愛していると連呼するのですが、言葉は空を舞い、何の意味も成していないんです。愛しているという言葉が、まるで呪いのように見えました。こんな母親は持ちたくないし、なりたくないですね。


ヴィオレッタ

これは、ロリータなどという性的な問題の映画ではありません。母親による、娘への虐待です。それを理解して、出来るだけ沢山の人に観て貰いたい。そして、身体的虐待ではなく、精神的虐待が、どれ程、子供に苦痛を与えるのかと言う事を認識して欲しい。


日本でも、母親が娘をロリコン男に売ったり、娘のヌード写真を売りつけたりする事件が起きていますよね。それが、どれ程子供の人権を侵害しているのかと言う事を、もっと、考えるべきだと思います。子供自信は、まだ、良く解っていない。だからこそ、社会が目を光らせるべきでしょ。ロリータとか言っている場合じゃない。子供を性的な被害に合わせるなんて、もっての外です。絶対に許されるべきではありません。それが母親なら、もっと重い罪を負わせるべきです。だって、子供は母親に逆らえないんですから。


ヴィオレッタ

この映画を観ていて、本当に腹が立ちました。娘の表情を見てみれば解るでしょ。最初は、母親が遊んでくれているものと思って、言われた通りにしているけど、段々と、やっている事の意味を理解して行くにつれ、表情が引きつって行くんです。まるで、カルト宗教の教祖に従う信者のように、段々と、これで良いんだろうかと考え始める。でも、洗脳されているから抜ける事が出来ないんです。


子供って、最初は無垢でしょ。創世記のイブと一緒なんです。でも、現代社会の人間は全てリンゴを食べているので、イブのやっている事を恥ずかしいと思うんです。そしてヴィオレッタも恥ずかしいと言う事を知るんです。それが、常識では間違っていると言う事を。そして、間違っているのは、母親だと気が付くんです。でも、母親からは逃れられない。母親だからです。


ヴィオレッタ

子供が、恥ずかしい、厭らしいという事を知った時のショックって解りますか?私も、何故か、子供の頃、変な男の人に付きまとわれたり、色々ありました。最初は、なんで触ろうとするのか、なんで見るのか解りませんでしたが、周りが急いで連れに来たり、慌てた様子を見て、段々と解ってくるんです。その、解った時の恐怖は、もう、自分が汚いモノになったような気がして、気が狂いそうになるんですよ。そんな気持ちを、出来るだけ子供に味合わせたくない無いんです。


ヴィオレッタ

こんな酷い罪ってあるでしょうか。母親のくせに、自分の利益しか考えてなくて、子供はおもちゃと一緒なんです。もう、許せないって思いました。どうして、周りの人間が気が付いて、母親から助け出さなかったのか。子供が、あんな洋服を着ていたら、何か家庭に問題があると言う事が判るだろうに。昔は無理だったのかも知れないけど、もし、今、こんな事があったら、学校も声をかけてあげて欲しいです。


そういえば、この作品、映倫は、審査するジャンルが無くて、R指定出来ないと言って、公開が何度も見合わせられたそうですが、これは、エロでも無く、バイオレンスでも無く、人権問題の話です。こういう場合、ヒューマンとして、H指定とでもしておけば良いのでは?あまり子供には見せたくないので、H指定として制限年齢を設ければ良いんです。親としての自覚を持つように、特に幼い子の親世代に推奨とかすれば良いのに。


ヴィオレッタ

映倫には男性が多いのかな。女性が観れば、これ、女の汚い部分が出ていて、目一杯虐待しているということが一目瞭然なんですけど、男性ばかりだと、どうしてもエロとかそういう方に行ってしまうのかも知れませんね。子供を守る為に、大人に観せる必要がある映画だってあると思いませんか?誰もが、これを虐待だと認識することが大切なんです。これからの社会の為に、色々なタイプの映画を、万人に送れるように動いて欲しいです。


そんな内容とは別に、ヴィオレッタを演じている子役は、とてもかわいいです。天使のようなの。相対する母親のアンナは、聖書のヨハネの黙示録に出てくる大淫婦のようで、恐かったなぁ。美しいんだけど、老いたという事実が貼り付いているような感じが、とても良かったと思います。


ヴィオレッタ

私は、この映画、とってもお勧めしたいと思います。大人がこういう映画を観て、子供の事を考えてあげなかったら、誰が社会を変えて行けるのかって事です。その映倫の関係で、あまり上映してくれる映画館が無いようですが、これ、沢山の映画館でやって欲しい。沢山の大人に観て欲しいなぁ。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ



P.S : スミマセン、子供が苦しめられる内容だと、どうしてもエキサイトしてしまう。だって、子供の苦しい顔って、可哀想なんですもん。こちらの心もボロボロになってしまう。長い文章でごめんなさい。




ヴィオレッタ@ぴあ映画生活