「ペコロスの母に会いに行く」誰もが行きつく老人という過程とそれを見つめる息子の物語。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「ペコロスの母に会いに行く」を観ました。


ストーリーは、

長崎で生まれ育った団塊世代のサラリーマン、ゆういち(岩松了)。ちいさな玉ねぎ「ペコロス」のようなハゲ頭を光らせながら、漫画を描いたり、音楽活動をしながら、彼は父さとる(加瀬亮)の死を契機に認知症を発症した母みつえ(赤木春恵)の面倒を見ていた。迷子になったり、汚れたままの下着をタンスにしまったりするようになった彼女を、ゆういちは断腸の思いで介護施設に預けることに。苦労した少女時代や夫との生活といった過去へと意識がさかのぼっている母の様子を見て、彼の胸にある思いが去来する。

というお話です。


ペコロス

この映画、「ネブラスカ」と同じように、親が痴ほう症になってしまい、息子が面倒を見ると言うお話です。一生懸命、面倒を見るのですが、仕事もして、母親の面倒も見るのは難しいことが判り、母親を施設に入れる事になります。施設に入った母親は、どんどん痴呆が進んでいき、息子の顔も良く解らなくなってしまいます。そんな母親にも、色々な人生を歩んだ歴史があり、しあわせな時、哀しい時、苦しい時、そして、今、息子に面倒を見て貰っている時間があって、全てがお母さんなんです。そんな母親の過去を紐解きながら、息子のゆういちは、母親の介護を続けます。

ペコロス

話題になっていたのですが、観る機会が作れず、やっと観に行けました。母親の認知症の介護の様子を描いているのですが、全然、悲しいとか苦しい話では無くて、何となく、認知症で忘れてしまう事も、また、人生だし、それもまた、しあわせな事もあるのかも知れないって思える内容で、とっても温かい気持ちと、年を取る事は怖くないって思わせてくれるようなお話でした。

ペコロス

ペコロス=岡野雄一さんの母親みつえさんは、認知症になり、自宅で雄一と孫に介護をして貰っているのですが、笑っちゃうんです。オレオレ詐欺の電話がかかってきて、みつえが出るのですが、”え、お金が必要なの?直ぐに用意するからね。ちょっと待ってて。”と言って、サイフか通帳を探しに行くと、既に、電話で話していた事を忘れてしまうんです。で、何を探していたかも忘れて、お茶を飲んでいたりすると、息子の雄一が帰ってきて、”母ちゃん、また電話が外しっぱなしだよ!”と怒るんです。オレオレ詐欺に引っかかるけど、引っかかった事も忘れちゃうって、笑っちゃうでしょ。これ、しあわせですよね。


ペコロス

お婆ちゃん、外に出ちゃダメだよって孫に注意されて、”絶対に出ないよ。”って言うんですけど、直ぐに玄関から出ちゃって、死んだ夫のお酒を買いに行くとか、息子の駐車場で寒空の中、帰って来るのを待っているとか、本当に、コントのようなんですけど、でも、お母さんにとっては、夫の事や、息子の事を、とても思っていて、やってあげたいと思うのでしょう。とても優しい人なんです。

施設に入ってからも、針も糸も無いのに、エアー縫い物をしていたり、息子の顔を忘れて、ハゲ頭を見せると、”ああー、雄一かぁ。”と、思い出したり、まったく、コメディじゃんって言いたくなるほど、面白いんです。もちろん、施設で問題が起きたり、色々あるのですが、介護士の方々の力もあり、何となく上手く収まるんですよ。介護士の方々って、本当に大変だと思うけど、やはりプロなんですね。扱いが上手くて、それぞれのお年寄りが何も言い返せなくなるんですよ。素晴らしいです。

ペコロス

この映画を観ていると、認知症になっちゃったみつえさんが、とっても愛おしく思えるんです。どんなに忘れてしまっても、彼女の過去が消える訳では無いし、必死で生きてきたという証が息子の雄一さんであって、今、やっと、安心して忘れて行けるという姿が、何とも、素晴らしいんです。私も、自分の母が認知症になった時、こんな風に一緒に居られるようにしたいなと思いました。

ご両親の介護で苦しまれている方もいらっしゃると思います。この映画のように、上手く行かない事の方が多いと言われると思います。でも、こんな親子もいるんだと思って、笑って観る事も良いのではないかと思います。介護は深刻な事だと思いますが、出来たら、少しでも、こういう映画で息抜きをされたり、手を休める事も大切です。自分が壊れてしまったら大変ですから。本当に苦しんでいる方に、私のような者が言う事では無いかも知れませんが、出来たら、若い人たちが出来るだけ苦しまないで欲しいんです。

ペコロス

私は、この映画、とってもお勧めしたいです。辛い事なんだろうけど、とっても笑えて、気持ちが暖かくなる映画です。誰もが年を取るんだし、誰もが色々忘れて行くんです。恐がっていても仕方がない。なるようになるさという気持ちになろうよって感じに思わせてくれて、少し気が楽になると思いました。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




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