「おじいちゃんの里帰り」を観てきました。
ストーリーは、
トルコからドイツに移り住み、一生懸命働きながら一家を支えてきたフセイン(ヴェダット・エリンチン)も今や70代。彼は一見平凡そうに映る大家族の中で孫たちに囲まれて平穏な日々を送っていたが、息子や孫たちはそれぞれ悩みを抱えていた。ある日、フセインは、今度の休暇には全員で故郷トルコに買った家を訪れようと提案するが……。
というお話です。
チラシを見て、とってもかわいい映画なのかなと思っていたら、そうでは無く、生きると言う事、育てると言う事を必死でやってきた人間が、最後に思う地はどこなのかという、原点回帰のお話でした。おじいちゃんにとって、やっぱり、自分が生まれた土地が懐かしかったのでしょう。どの国籍になろうとも、どの国に暮らそうとも、産まれた土地が懐かしかったのだと思います。
ドイツで、既にリタイアしたフセインは、トルコから労働力を募集していたドイツに出稼ぎに来て、家族を呼び、ドイツに移住したんです。移住したドイツは、トルコと違い、とても発展していて、子供たちは、あっと言う間にそのスピードに慣れて、言葉も覚えました。フセインと妻は、言葉を勉強しながら、一つ一つ、色々な事を覚えて、ドイツの生活に慣れて行きました。そして、現在、妻が望むままに、ドイツ国籍を取得し、晴れてドイツ国民となりました。でも、国とかそういうものでは無く、故郷を愛しているという事は変わらないんです。
フセインは、国籍を取得したお祝いの場で、家族に「トルコに家を買った。」と告げます。その家を改築しなければならないので、みんなで、その家に行こうと言うのですが、子供たちは忙しいやらなんやら。でも、結局、家族で行く事になり、トルコへ出発。トルコに着き、孫のチェンクは不思議なことばかり。家族は、色々な問題を抱えているので、トルコへ来ても問題が気がかりで楽しめません。そんな時、フセインが・・・。この後は、映画を観て確認してくださいね。
フセインの長男、次男、長女は、トルコで産まれたのですが、一番下の三男は、ドイツで産まれました。だから、三男と、孫たちは、トルコを全く知りません。トルコ人でありながら、トルコを知らないんです。孫のチェンクは、トルコ人の父とドイツ人の母を持ち、自分がどちらの国の人間なのか悩みます。家では、トルコ人だと言われ、学校へ行けばドイツの教育を受ける。そりゃ、混乱しますよね。
私、いつも思うのですが、その国で産まれたなら、その国の考え方に沿うべきだと思うんです。移民して、新しい地で、故郷の国の道理を通そうとしても、そりゃ、嫌がられますよね。その国の常識や、考え方に合わせて、変えて行かなければいけないと思います。それが出来ないなら、自分の国に帰るべきでしょ。それが、自分を受け容れてくれた国に対する礼儀だと思うし、その場で生きる術だと思います。
フセインも、家族も、もちろんドイツの考え方に添って考え方を変えているのですが、フセインにとって、故郷はトルコなんです。生活する場と故郷は違います。考え方も生き方もドイツ流に変えたけど、懐かしい、自分の歴史があるトルコは、フセインにとって、大切な思い出の地なんです。だから、家を買ったからトルコに行こうと言ったんです。その家の秘密も、映画を観て確認してくださいね。感動しますよ。
必死で働いて、必死で子供を育てて、生きる事に精一杯、頑張っていたフセインが、ふっと一息付けたのは、リタイアした時でした。子供たちは成長し、それぞれに問題を抱え、精一杯生き始めている。自分には、何が残っているんだろうと考えた時、自分の故郷が思い浮かんだのかも知れませんね。人間って、誰でもそうだと思うのですが、ふっと立ち止まって、自分を見つめてみると、自分の原点を思い起こしますよね。あの場所から始まったんだって、懐かしい思いで一杯になると思います。それが苦しい思い出でも、懐かしく感じる時が来るんでしょうね。
私、この映画、超お勧めしたいと思います。なんか、とっても良かったなぁ。孫のチェンクくんも可愛いんだけど、自分が人生の終りに近づいた時に、何を思うのかなぁと言う事が感じられて、とっても感動でした。そして、感想には書かなかったけど、家族の悩みも色々面白いです。家族の絆を観て、心を温かくしてください。しあわせな気持ちになりますよ。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・おじいちゃんの里帰り@ぴあ映画生活