「グランドピアノ 狙われた黒鍵」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
世界屈指の若き天才ピアニストのトム(イライジャ・ウッド)は、およそ5年ぶりの復帰公演のためシカゴ空港に降り立つ。彼は人気女優の妻エマ(ケリー・ビシェ)に励まされながら、今は亡き恩師の追悼コンサートへの参加を決めたものの、すぐに後悔し始める。トムは観客で満席のホールを前に尻込みするが、勇気を奮い立たせてステージへと上がり……。
というお話です。
この映画、予告がとても面白そうで、期待していたんです。ピアニストがコンサートで弾きながら、危機に陥るなんて、どういう事かって、とても不思議だったんです。そんな風に期待していたら、試写会が当たったので、一足お先に観てきました。
私は、面白いと思いました。内容もですが、ピアノの使われ方がとても上品で、私の好きなピアニストのシチュエーションがそのまま絵になっていたんです。私、昔から思っているのですが、クラシックを弾く男性ピアニストって、とても妖艶で美しいと思うんです。

なんか、グランドピアノのフォルムって、女性的ですよね。それを、細見のちょっと弱そうな、今回のイライジャのような彼が弾いていると、まるで、年上の女性に”私を弾きなさい。”って言われて、それに仕方なく従うと、自分が夢中になってしまうというような、そんなピアノとピアニストの関係が感じられて、淫靡だけど、美しいって思うんです。男性クラシックピアニストって、魅力的ですよねぇ。
そんなピアニストの姿が、殺人予告で緊張し、追い詰められていく姿は、良かったですよ。ただでさえ、主人公のトムは、天才ピアニストと言われながら、5年前にコンサートで一か所間違えて、舞台に出れなくなったという過去があり、今回、結婚を期に、復帰をする事になったんです。その復帰に合わせて、亡くなった恩師のピアノを弾くことになり、緊張していたところに、妻を殺されたくなかったらピアノを間違えずに弾けという指令が。
指定された曲は、音が多過ぎて指が追い付かない曲で、世界で2人だけ弾くことが出来るのだが、その一人が先日亡くなり、トムしか弾けないとされているピアノ曲なんです。その作曲家は、トムの恩師であるピアノの持ち主だったゴーダルー。このゴーダルーが亡くなって、膨大な遺産が残されたはずという噂が流れているんです。どうも、トムへの脅迫は、そのゴーダルーの遺産に関する事のようだということが、段々解ってきます。

舞台の上のピアノから離れられないトムと、客席からトムの妻を狙うスナイパー、何も知らない客席の観客たち。このバランスが、とても面白いと思いました。観客は、どんな曲を聞かせてくれるのか、間違えないか、美しい音が聞きたいと思っているのに、弾いているピアニストは、いつ妻が撃たれてしまうのか、ピアノを間違えないで弾けるのかというギリギリの精神状態で弾いていて、スナイパーは冷徹に支持を出してくるという、もう、そのせめぎ合いが凄いんですよね。
こんなサスペンスが進んでいくバックに、美しいクラシック音楽が流れているのは、とってもステキです。やっぱり、サスペンスにクラシックは合いますね。空気が透明感を増して、冷たくなって行くのが感じられるんです。この雰囲気って、好きだな。
何故、トムに最後まで間違えずにピアノを弾けと言うのか、何故、妻を狙うのか、それは、映画館で確認してくださいね。私は、とても納得出来るものでした。でもね、この最後、ネタバレ出来ないから重要な所は抜かして書くけど、私は、こういう理由なのかというのは納得出来ましたが、その後も、作って欲しかった。
最後にトムは、あるカギを手に入れるのですが、出来れば、それを使った後も描いて欲しかったんです。何が見つかるのか。私は、トムにしか弾けないと言われている曲より、もっと難しいピアノ協奏曲の楽譜が見つかって欲しかったんです。そうすれば、すべて完璧だったのになぁ。残念です。でも、もちろん、このままの最後でも、満足するんですよ。私のは、蛇足かも知れません。
私は、この映画、お勧めしたいと思います。特に、クラシックとかが好きな方や、私のようにピアノのフォルムが好きな方、繊細な男性が虐められるのが好きな方(Sですね。)(笑)、サスペンスが好きな方には、楽しめると思います。ドキドキするので、デートにもお勧めですよ。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S : コンサートで携帯の電源を切らない人が叱咤される場面があり、その人、殺されます。これ、映画館で携帯を見ている人への怒りだと思うんです。やっぱり、映画の作り手の方も、映画中に携帯を見る人間の常識の無さを訴えたかったんでしょうね。(笑)