2度目の「利休にたずねよ」を観てきました。
ストーリーは、1度目の記事があるから良いですね。(笑)
やっぱり、良かったなぁ。最初観た時は、高麗から来た女の印象が強かったけど、2度目に観た時は、あの高麗の女は、ただ、美しいという象徴のような者で、たまたまなんですよね。普段観ている物とは違っていて、自分の国を思い、異国にいるより死んだ方が良いという潔さが美しかっただけで、高麗の女で無くてもきっと良かったんだと思いました。美しい者、いや物として、そこにあった事が利休には、衝撃的だったんだと思いました。
もし、そこに愛とかがあれば、一緒に死んでいたと思いますが、それは愛では無かったんだと思います。美しい物として愛していた。人間としての愛では無かったのだと考えました。そして、同じ美しい物を探求する同士として、妻として、宗恩を愛していたのだと思います。だから、彼女しか、妻として考えられなかったのだと。そう思うと、利休の愛とは何だったのかと思ってしまいます。人間としての、好きとか愛しているとかという気持ちを持っていたのかなぁって考えてしまいました。美しさを探求することが全てで、美しさを探求している自分を愛していたのではないかなって思います。ナルシストですね。
ナルシストではあるけど、確かに、彼が美しいと思うものは、そこに美しい理由があり、心を動かす動機がある事は確かで、引き込まれてしまった沢山の人間が、そこに居たんです。信長も、秀吉も、紹鴎も、宗陳も、ちょっとセンスがあって、美しさを理解出来てしまったゆえに、彼に振り回されてしまったんでしょうねぇ。もし、ドン臭くて、ボンヤリしている人間なら、そんな美しさを理解出来なかっただろうし、利休を怖がる必要も無かった。やっぱり、天下を取るような人間には、そういうセンスが備わっていたという事なんでしょう。でも、美しさを理解出来るだけでは、天下統一は出来ないですよね、利休も出来なかったように。
そう思うと、美しさって何なんだろうって思いませんか?それが解って、それを追い求めたからって、人間として素晴らしいのかと言うと、どうなんだろう。人の為になっているのかと言うと、何もなっていないし、それで得をしたのは、利休に茶碗とかの価値を高く付けて貰った人だけでしょ。もちろん、芸術だって言えば、そうなんだろうけど、芸術というのは、値段を付ける人が居て、それを買う人が居て価値が出る訳で、本当に美しいからって、価値が出る訳では無く、利休のような人間が、価値があると言う事で、誰もが騙されてしまう。だから、信長が大悪党と言ったんだと思うんです。もちろん、利休は、本当に美しい物に美しいと言ったんだろうけど、難しいところですよね。
美しい映画で、美しさを探求していたと思うのですが、その美しさというものが、万人に理解出来るものと思ったら間違いだと思います。映画の中でも言っているように、土くれを練って固めた茶碗に1銭の価値も付けなかった外国人の神父は、とっても正直な人間です。だから、この映画も、賛否が分かれると思いました。抑えた動きや、時間をとった映像を美しいと思う人と、退屈と思う人がいると思うのです。どちらの考え方も間違ってはいないし、仕方がない事ですよね。
利休もさぁ、「美しさは私が決める事。」とか言っちゃって、「はぁ?!どの口がほざいているんじゃ!」って、その口をギュギューって押さえてやりたくなりましたが、確かに、美しい事は美しいので、誰も文句言えなかったんだろうなぁ。でも、美しいとか言っちゃって、値段を吊りあげるのはダメよねぇ。美しくても、安く譲ってやらなくちゃ。みんなで、その美しさを分かち合わなくちゃ、そりゃ、不満も出始めると思うよね。それに、人が美しいって言ったものは認めないんでしょ。利休も、「そこをこうしてみたら、本当に美しくなるよ。」とか教えてあげれば、もっと人に好かれただろうに、独り占めしちゃうからダメなんだよ。(笑)
いやいや、こんな、面白いこと言ってたら、茶碗で頭をかち割られるので、止めましょう。歴史上の素晴らしい人物のお話なので、みんな、真面目に観ましょうね。私みたいに、口をギュギューっとか、ハゲの頭をペチッとか、そんな事がやりたいなぁなんて、思っちゃいけません。(笑)
この映画、私は、何度も言いますが、お勧めしたいです。でも、上でも書いたように、賛否が分かれるとおもうので、詰まんなかったと思う方も間違っていないと思います。美しいという言葉は、人それぞれ違うので、金ピカの物が美しいと思う秀吉のような人も居るはずだし、そりゃ、解りません。もし、面白くないと思ったらゴメンナサイね。美しいなぁと感動していただけたら、ちょっと嬉しいかな。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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