東京フィルメックスで、「わたしの名前は・・・」を観ました。
ストーリーは、
家庭環境の中で心に傷を負った少女は、学校の遠足で出かけた海辺に偶然停まっていた長距離トラックに潜り込む。そして、スコットランド人のトラック運転手と少女の旅が始まります。トラック運転手のピーターは、少女の家出の理由が何となく解っても、静かに見守り、一緒に旅をする事を止めません。少女の目の前には新しい世界が開けるのですが、彼女のこの行動は思わぬ波紋を呼ぶことになります。
というお話です。

内容は、父親から性的虐待を受けた少女が、家で父親と居る事が怖くなり、学校の遠足の途中で家出をするんです。大きなトラックに乗り込み、それなら遠くに行けるかなと思ったのかも知れません。少女はセリーヌという名前なのですが、家出をしてから、決して、自分の名前を言おうとはしません。もう、その名前を捨てて、新しい自分になりたかったのではないかと思います。父親に汚されてしまった自分を、イヤだと思っていたのではないでしょうか。

ピーターは、トラック運転手をしながら、一人旅をしているようでした。家族を亡くして、悲しみを背負っているんです。帰る家は在るんだろうけど、帰っても、待っていてくれる家族が居ないので、帰らなくちゃという事も無いんでしょう。そんなところに、突然、女の子が現れて、悲しそうな目で見ていたら、そりゃ、助けてあげたくなるでしょ。それに、自分の子供の事も、思い出したのだと思います。彼は、彼女をとても可愛がり、一緒に旅をしていきます。まるで、本当の親子のように。

一方、セレッサの両親は、もちろん娘の捜索願を出し、警察に届けているので、テレビやラジオ、新聞や張り紙など、いたるところに、セレッサの捜索願が貼り出され始めます。誰もが、その写真を目にして、もちろん、ピーターもある場所で見ることになります。でも、ピーターは、彼女が自分で帰るというまで、彼女を助けることとし、何も言いません。
こうなると、ある程度、結末は解るかと思いますが、最後は映画を観て確認して下さいね。ちょっと普通と違う終わり方をします。私には、衝撃的な終わり方でした。一人の少女の行動で、いや、少女の父親の鬼畜的行動のせいで、何人の人間が不幸になるのかということが解ります。結局は、悪くてずるいヤツが生き残り、心の清い人間が損をする。そんな世の中、間違っていると思うんだけど、どうして上手く行かないのかしら。腹が立ちます。

映像は、ちょっと変わっていて、デザイナーだからなのか、色々な手法を楽しんでいるように見えました。でも、まぁ、あまり効果的になっていたかと言うと、ちょっと疑問は残るのですが、まぁ、有名デザイナーだから、その名前で、話題になってしまうのでしょう。私には、芸術的とか、素晴らしいとか、そういう言葉は出てきませんでした。スミマセン。

セレッサの役をやっていた少女は、オーディションで選ばれた、映画出演などは初めての女の子だそうです。透明感があって、とてもかわいい少女です。これから、もしかしたら観るようになるかも知れません。ピーター役の男性は、アニエスの昔からの友人で、こちらも俳優ではないのかな?でも、とても彼を使って、良かったと言っていました。私も、このピーター役の方、とても良かったと思います。

私は、まぁまぁ、お薦めしても良いかなと思います。この映画、日本公開するかなぁ。アニエス・bの初監督作品だから、話題性はあるので、もしかしたら、公開されるかも知れません。もし、その時は、ぜひ、観てみてくださいね。
ぜひ、楽しんできてくださいね。

東京フィルメックス 「わたしの名前は・・・」 http://filmex.net/2013/ss04.html