「ある愛へと続く旅」を観てきました。
ストーリーは、
サラエボで運命的な出会いを果たし、夫婦となったジェンマ(ペネロペ・クルス)とディエゴ(エミール・ハーシュ)。切望する子どもが望めなかった彼らは代理母候補を探し出し息子ピエトロを授かるが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が勃発する。息子を連れて難を逃れたジェンマだが、ディエゴだけが街に残って命を落としてしまう。それから16年後。ローマで暮らしていたジェンマは、サラエボ時代の友人に誘われてピエトロと一緒にボスニアへ向かう。街の風景を眺めながら、ディエゴとの深い愛を思い返す彼女だが……。
というお話です。
このお話、超感動でした。まさか、こんな展開になるとは思いませんでした。普通のラブストーリーに、サラエボの内戦が関わってくるのかと思っていたので、あまりの凄い展開に、ナニぃ~!って声が出そうになってしまいましたよ。いやぁ、こんなに良い映画なら、もっと宣伝してくれれば良かったのに・・・。
学生だったジェンマが、詩の勉強をするために訪れたサラエボで、ディエゴと出会います。既に、その時に婚約者が居たジェンマは、一時のアバンチュールを楽しみ、ローマへ帰って結婚しますが、直ぐに離婚。離婚したジェンマの前に、ディエゴが訪ねてきて、結婚する事になります。2人は幸せな毎日を送り、子供を望んでいたのですが、ジェンマは子供が産める確率が93%しか無く、絶望的と言われ、色々な手を尽くしてみます。そんな努力を繰り返す2人は、もう、ボロボロになって行き、子供の居ない人生を考えようというのですが、諦めが出来ません。

この子供の問題は、本当に、女性をボロボロにしますよね。「四十九日のレシピ」でも書いたのですが、もし子供が持てなくても、苦しんでいる子供が沢山いるのだから、考えの転換をしましょうと書いたと思うのですが、この2人は、どうしても諦める事が出来ません。お互いに傷つけあってしまいます。ジェンマだけでは無く、ディエゴも子供を持てないという悲しみと、子供を求めてしまいジェンマを苦しめてしまう自分を責めているようでした。本当に可哀想でした。
そして、煮詰まってしまった2人は、出会ったサラエボへ向かいます。内戦状態のサラエボで、代理母をしてくれるという女性と出会い、頼もうか悩む2人なのですが、そんな最中、内戦はどんどん酷くなり、2人は一度、ローマに戻り、やり直すことを考えますが、ディエゴは何かを心に抱えていて、壊れて行ってしまいます。そして、一人、サラエボへ。
ここからは、ぜひ、映画を観てください。2人の愛の深さと、人類愛と言うか、人間としての姿とはどういうものなのかと考えさせられるような内容で、全ての謎が解けた時は、あまりの感動に、驚いてしまいました。
戦争となると、どうしても人の心は変わってしまうし、あの暴力が全てのような状態は、止めることが出来ません。戦争に秩序を求めるのが間違っているのだと思います。秩序を守って戦うような事をしていたら、負けてしまうんですから。だから、戦争はイヤだけど、戦争で狂ってしまう人々の事は理解してあげたいと思います。人は、きっと、戦争が終わった後、自分のやったことにゾッとして、嫌悪感を覚えることでしょう。自分を責める事になるんです。戦争というのは、勝っても負けても、人が壊れてしまうんです。だから、戦争は止めたいけど、宗教が関わってくると、どうしようもないですね。
人間の悲しみと戦争の悲劇と、そして、少しの希望をもたらしてくれる作品だと思います。悲しみばかりではなく、そこに希望があり、未来があります。だから、観た後に、すごく感動するんです。観ている時は辛いけど、でも、未来が見えるので、ステキですよ。
私は、この作品、超お勧めしたいです。出来れば、大人の方に観て欲しい。色々な経験を積んだ人間ほど、この映画の訴えていることが理解出来るし、感動も大きくなると思います。素晴らしいですよ。ぜひ、観て欲しい作品です。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・ある愛へと続く旅@ぴあ映画生活