TIFFコンペティション「レッド・ファミリー」を観ました。TIFF21作目です。
ストーリーは、
北朝鮮のスパイチームが普通の家族を装い韓国に暮らしている。彼らは幸せな家族に見えるのだが、北朝鮮では、それぞれがそれぞれに家族を持ち、家族を守る為に特殊工作員となって韓国に潜んでいるのだ。北朝鮮からの命令でさまざまなスパイ活動を実行するうち、彼らの間に感情的な絆が生まれ、互いのミスをカバーするようになっえちた。やがて彼らは致命的なミスを犯してしまう。それは、共産主義の踏み絵をするよう自らを追い込むものだった。
というお話です。
この作品が、観客賞を貰ったようですね。キム・ギドクの原案、プロデュースで作られた作品です。私は、この映画、とても解りやすくて、北と南の違いが、他の国の人間にも、良く解るように作られていたと思います。メリハリもあり、さすがキム・ギドク監督が原案・プロデュースをされている作品だなと思いました。もちろん、イ・ジョヒョン監督の演出も面白かったのだと思います。
北朝鮮のスパイって、こんな風に南朝鮮に潜んでいるんですかね。という事は、北朝鮮、南朝鮮、中国のスパイも、こんな風に日本に潜んでいるという事なのかな。笑ってしまうけど、真剣にこんな事が行われているのでしょうね。とても不思議な気持ちになりました。確かに、日本はスパイ天国と言われるほど情報がダダ漏れとは解っていますが、北朝鮮と南朝鮮の間でも、こんな状態なんですかね。南朝鮮は、もう少し、警察とかの取締りもキチンとしているのかと思っていました。不審な家族が要たら、調べたりしないのかなぁ。
まぁ、同じ民族だから、解りにくいのかも知れませんね。それにしても、南と北の意識の違いが、あまりにも解りやすく描かれていて、これじゃ、北朝鮮の人も南朝鮮に居たくなってしまうよなぁと思いました。だって、家の中にも盗聴器があり、言いたいことも言えず、ちょっと批判的な事を言っただけで粛清とか何とか言われてしまう。もう、訳が解りません。こんな事をしている国の人って、人権なんて無いですよね。まるで、ロボットのように扱われて、ちょっとミスが出たら壊されてしまう。そんな酷い事を平気で行っている国って、なんなんでしょうか。
北朝鮮のスパイ家族は、規律で繋がっているように見えますが、隣に住む家族は、ケンカをしながらも、絆で繋がっているんですね。とんでもない妻と、振り回される夫、親を情けないと思う息子、息子夫婦の言い合う姿を恥ずかしいと思う祖母、こんな家族なのに、それでも、いつも一緒に居て、言いたいことを言い合う姿は、とても温かいんです。
北朝鮮の家族は、最初、ピリピリしているのですが、隣の家族と交流したりして、段々と、気持ちも変わってきて、リビングでくつろぐ姿など、家族を思いやる気持ちが生まれてきているように見えてきます。反面、自分たちの本当の姿ではないという悲しみもその中に見えて、彼らの辛い生き方をそこにみることが出来るのです。本当にかわいそうだと、観ているこちらは思うんだけど、本当の北朝鮮の方々の気持ちはどうなんだろう。
この映画、私は、超お勧めしたいと思いました。韓国映画は、気分が悪いから観ないようにしていますが、この映画は、そういう気持ちを吹き飛ばすような、誰もが感じる、人として生きる事とは何なのかということを描いていて、感動しました。今、日本は、反日政策の韓国に差別され、嫌がらせを受けていますが、この映画は、そういう政治的な感覚は一切無視して、人間の生きるという事、家族という事を訴えているので、人間としての映画と思って観て良いと思います。
キム・ギドク監督やイ・ジョンヒョン監督、俳優の方々のお話を聞いて、国の政策と、韓国人の感覚とは、ちょっと違いがあるのかなと思いました。あれだけ嫌がらせをしているのだから、日本に映画なんて提供するのはイヤだと思う方も居るのかも知れませんが、反対に日本に良い感情を抱いている映画人の方達も居るのかもしれないと、少し希望を持ちました。

国同士はどうあれ、この映画は、結構、良い作品だとお勧め出来ます。これだけ面白くて解りやすいから、日本公開するんじゃないかな。もちろん、あちらの国が提供してくれればの話ですが。もし、公開されたら、ぜひ観てみてくださいね。ぜひ、楽しんできてください。
http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/lineup/works.php?id=C0002