TIFFコンペ「オルドス警察日記」を観ました。TIFF9作目です。
ストーリーは、
成長著しい内モンゴル自治区の町オルドスで、ハオ・ワンチョンは仕事を辞め、警察部隊に入る。強迫観念一歩手前のひたむきさで、彼はパトロール巡査から地域の警察署長までめにもとまらぬ速さで出世する。壮観な冬の風景に、社会が変化していく。小作農たちは都市の魅力に引き込まれ、移民労働者たちは自分たちが住むことのない町を建設する。男と女、貧乏人と富裕層の関係が生まれ、やがて対立していく。というお話です。

中国の警察でヒーローとされた実際に居た人物のお話です。公安に勤めながらも、汚職に染まらず、人民の為に事件を追い続けた人物だったそうです。素直にそれを受け止めたいんですが、今の中国の情勢から見て、公安の人物をヒーローにすると言うのは、プロパガンダが入っていると疑ってしまうのも仕方ないと思ってください。

今、中国は、ジャーナリストの思想検査をしていたり、日本から帰った教授を拘束したり、酷い情勢ですよね。そんな中国を見ているから、何が本当で、何が嘘なのか、解らなくなってしまいます。本当に、素晴らしい警察官の方がいたのかも知れないけど、それを信用出来ないような気持ちにさせる国って、どうなんだろう。自分の首を絞めているとしか思えません。素直に素晴らしい人を称えたいのに、残念です。

ハオさんという警察官は、仕事一筋で、それこそ滅私奉公。家族も犠牲にして、仕事に打ち込んでいました。だから、事件を解決することも出来たし、それによって、沢山の人が救われたのだと思います。誰もパオさんの事を悪く言う人はいなくて、誰もが、彼を良い人だと語ります。いやぁ、良い人だったのだと思いたいですね。私、ひねくれているので、全員が良いと言うことは、絶対に無いと思っているんです。欠点の無い人間なんて居ないはずなので。もし日本でこの映画を作るなら、良く言わない人の意見も少しは入れるのではないかな。そうでないと、真実味が無いですもん。

ゴメンナサイ、私、この映画、感動して泣けたって書きたいけど、書けません。何故、今年のTIFFに、中国からこういう映画が来たのか不思議です。今までのコンペの中国作品なら、人々がどれほど国の政策によって、苦しんでいるかということが描かれていたりしたのに、今年はヒーローもの。人間の深い部分を描いた作品が多い中、とても異質に思えました。すべてがキレイ事ばかりなんです。疲れます。

私は、この映画、お勧め出来ません。プロパガンダの匂いがプンプンするからです。そうではない、考え過ぎだと言われると思いますが、仕方ありません。そう見えてしまったのですから。
私の意見は無視して、とりあえず、皆さん、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。

http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/lineup/works.php?id=C0006