【TIFFコンペ】「ほとりの朔子」子供と大人の境界に立つ朔子は、その目に何を映すのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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TIFFコンペ「ほとりの朔子」を観ました。TIFF8作目です。


ストーリーは、

浪人生の朔子は、叔母である海希江の誘いで、もう一人の叔母の家の留守番をすることになり、とある海沿いの町へとやってくる。朔子は、海希江の幼なじみの兎吉、その娘の辰子、兎吉の甥の孝史と出会い、それぞれのほつれた心の内を垣間見て行く。大人と子供の境目に立つ朔子は、大人の色々なゴタゴタや、人の心を傷つける無責任な言動などを目の当たりにして、自分の未来を考え始める。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ほとりの

このお話、良かったなぁ。朔子の目から見た、色々な人の人生が、鮮やかに描かれていて、言葉や態度で示していなくても、その心の中が伝わってくるようで、とっても潤いのある映画だと思いました。


登場人物たちの関係が、結構、難しくて、まず、朔子の母は、海希江と姉妹だけど、海希江と旅行に出る姉は、本当の姉妹で、2人の母親の再婚相手が朔子の母の父親(朔子の祖父)だったとのことで、連れ子同士だったということ。だから、朔子と海希江は、血の繋がりが無いという事。海希江と幹江(朔子の母)は、姉妹で同じ名前だったので、海子と山子と呼ばれていたという事。兎吉は、海希江の幼なじみであり、付き合っていたらしいという事。孝史は兎吉の甥で、福島から避難してきたという事。

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これくらいを、ちょっと整理して、頭に入れておくと、それぞれのキャラクターたちの会話に、どんな裏が含まれているかという事が解り、大人になると、こうやって、嫌味のような事も言えるようになるんだなぁという事が良く解ります。そういう大人たちの姿を、ほとり=大人と子供の境界で見ている朔子が居て、大人になるという事を理解し始める朔子がそこに居るんです。

この映画は、朔子が、その境界から、大人の世界と、子供の世界を観て、自分がこれから大人になっていくのに、どういう道を選ぶことが良いのかということを模索している姿が、描かれていて、とても私は感動でした。高校を卒業して、大学に入る時って、一番、悩む時ですよね。大学を選ぶのに、やっぱり、自分の先の道を選択して行くのがベストでしょ。とりあえず大学に行く人も居るけど、出来れば、やりたい事があって、その専攻の大学を選ぶべきですよね。

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朔子は、高校卒業時点で、まだ未来も決まらず、とりあえず大学を受験して落ちて、浪人中なんです。でもね、この時間って、すごく朔子にとっては、大切な時間だと思うんです。大学に行ってしまったら、そのまま流されて就職して、何をやりたいかなんて考えずに終ってしまっていたはずなんです。でも、ここで一息付いたのは、神様が彼女に与えた宝石だと思うんですね。若い頃の1年って長いけど、すごい速さで色々な事を吸収するから、たった1年なんだけど、全く変わることが出来るんです。それは、朔子にとって、一生の宝物になるはずなんです。そんな時間を描いたこの作品、すごいと思いました。

海希江さんは、大人で仕事もバリバリしているんだけど、寂しそうに見えます。彼女は、夢を追って仕事をし、結婚や子供を持つというしあわせを持たなかったんです。結婚、したかったんだと思うんですけど、上手く行かなかったのでしょうね。そこら辺も、ちょっと描かれていますが、結婚をせずに仕事に生きる女性は、いつまでも若く、美しく、だけど、ちょっと寂しいという姿が描かれています。その対比として、朔子の母親の幹江があるのだと思うのですが、同じ名前で、結婚をし子供を持ち、という生き方をして、朔子を海希江に預けるという、その関係も、女というモノを描いているんだなぁと感じました。この”女”、深いんです。

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孝史の出来事で、原発反対の集会に騙されてと言うか、知らずに参加する場面があるのですが、この場面、すごく解るって思いました。大体、原発廃止の運動している人って、関係ない人ばかりなんですよね。自分に被害が来るのが嫌だという個人的な考え方なんです。本当に被害にあった人は、原発はイヤだと思っているけど、それで仕事を与えてもらっていたのも確かだし、優遇されていたのも確かだから、ただ、騒ぐ人とは違う考え方だと思うんです。沖縄の基地問題と一緒ですよ。無くしたいけど、無くなったら仕事も無くなるって事。生活が出来なくなるという事ですね。だから、簡単に反対って騒ぐのは問題だと思っています。福島の人が、これ以上、苦労をしなくて済むように、仕事も作ってあげて、住む場所も作ってあげないとね。原発反対するより、そちらを応援してあげる方が先じゃないですか?間違ってますよ。そんな事を思いました。

他にも、たくさん書きたいけど、目いっぱいネタバレしちゃうと怒られちゃうから、この辺りで辞めておきます。でも、本当は、すごく沢山書きたくなるような内容で、考えさせられたんですよ。面白くて、感動する、私の好きな映画でした。公開されたら、また観たいかな。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ほとりの

という訳で、私は、この作品、とってもお勧めしたい作品です。若い子に観て欲しいかな。朔子と同じものを見て、考えて欲しいなって思いました。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





東京国際映画祭 コンペティション 「ほとりの朔子」

http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/lineup/works.php?id=C0001