「ランナウェイ/逃亡者」戦争反対を訴えテロ行為に走ったウェザーマンという組織とは。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ランナウェイ/逃亡者」の試写会に行ってきました。


ストーリーは、

1969年、ベトナム戦争反対を世に訴えるために連続爆破事件を起こした過激派組織ウェザーマンはFBIの最重要指名手配リストに記載された後、突如消息を絶つ。30年後、元メンバーの一人(スーザン・サランドン)が警察に捕まる。再び話題を呼んでいる事件を調査する新聞記者のベン(シャイア・ラブーフ)は、一見真面目そうな雰囲気のシングルファーザーの弁護士ジム・グラント(ロバート・レッドフォード)にたどり着く。

というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ランナウェイ

1960年代後半より活動をしていた”ウェザーマン”という組織に居た若者たちが、現代でも指名手配されており、昔のテロ行為の真相はというお話です。日本でも、大学での闘争とかがあって、赤軍派とか、色々有りましたよね。それと同じ時代ではないかと思います。ベトナム戦争への反対を主張して、政府機関へのテロ行為を繰り返していた組織であり、とても過激だったそうです。そのテロ行為を行う中で、銀行強盗を行い、警備員を一人殺してしまいます。その殺人によって、主人公のジムや、その仲間だった人間は、今も追われているんです。


日本でも、赤軍などの映画が随分作られたようですが、どうして若者は、あんなに狂信的に変わって行ってしまうんでしょう。学生だけではないとは思いますが、みんなが右を向いたら自分も右を向くという、その考え方が解りません。私は、天邪鬼だから、きっと一人だけ左を向いてしまうと思うなぁ。自分以外の人間を、心底信じて付いて行けるなんて、本当に勇気があると思いますよ。私、信じられないもん。必ず疑ってしまう。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ランナウェイ

過激組織でテロ行為を行っていた若者も、今は、もう50~60代。身体もガタが来ているし、既に、新しい生活を始めて、それなりの地位も手に入れているんです。昔やっていた過激な行動など、まるで無かった事のように生きているんです。自分の名前も変え、仲間との関係も断って、見つからないように。

静かに生きていた彼らですが、ある日、組織の一人、シャロンが自首をしようと動き始めます。子供も成人し、罪を悔い改めたいと願っての事です。しかし、彼女の逮捕から、ズルズルと昔の仲間も追われ始め、ジムの身も危なくなってきます。ジム=ニックは、自分の娘を守るため、一人、昔の真相を知っているミミという仲間だった女性を探し始めます。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ランナウェイ

若い頃に信じていた理想や思想を、年を重ねても信じる者も居れば、間違っていたと後悔する者も居る。それは、経験による違いとも言えますが、守る者が出来てしまうと、自分では無く、守る者の為に良い手段を考えるようになるんですよね。それはもっともな事だし、人間、成長しないなら生きている意味が無いですもんね。

そんな彼らをずーっと追っていくのが、新聞記者のベン(シャイア)です。彼は、結構、キレ者で、FBIを出し抜いたりして、いつも誰よりも先に、ジムたちにアクセスすることが出来てしまうんです。ちょっと、調子が良いかなって思うけど、まぁ、やり手って設定だから、ここら辺は許してあげてね。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ランナウェイ

ベンは、誰よりも、その思想を理解して、しっかりとした記事を書くもんだから、シャロンやベンに気に居られたんじゃないかな。誰よりも先に、彼らにインタビューを取るし、スクープを手に入れる事が出来るんですけど、ある事実だけは、書くことをためらいます。それは、観てのお楽しみにね。マスゴミも、こういう精神の持ち主ばかりなら、マスゴミって言われなくなるんでしょうけどね。

この映画、日本でいえば、赤軍が暴れた時代を知っている人は、楽しめると思います。東大紛争などが起きた時にはTVで大騒ぎだったそうだし、あさま山荘事件も、この時代ですよね。映画では、ちょっと前に公開した「マイ・バック・ページ」に紛争の姿が描かれています。三島由紀夫は、この時代の最後の勇者のように市ヶ谷で亡くなったのですが、それを魅力的に感じる者と、ただのテロと思う人と、二通りあるでしょ。この映画で描かれているウェザーマンも、ベトナム戦争で無駄に死んでいくアメリカ人を減らしたいと思って行動していたのに、テロとみなされてしまう。それが悔しくて、また過激な行動を起こすということを繰り返して行ったように思います。一人一人は、普通の若者たちだったのにね。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ランナウェイ

30年経っても、まだ追われる生活を続けなくてはいけない彼らは、本当に、大きなツケを払わされているのだと思いますよ。その行動が、悪いとか良いとかではなく、人を傷つけてしまったら、それなりの代償は払わなくてはね。

私は、結構、この映画、楽しめました。その時代に戦っていた人々は、今、どのように変わったのか。私の親の年代の人々が、こんなにすごい抗争をしていたなんて知らなかったし、後悔をしても、それを償う手立てがない人間のジレンマが、伝わってきて、面白いなと思いました。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ランナウェイ

でも、この映画、大手を振ってお勧めは出来ないかな。この時代に興味がある人でないと、社会の変化とか、人間の考え方の変化とか、そういうギャップが楽しめないし、時代によって、振られてしまう若者の心を理解出来る人でないと、難しいと思いました。少し、赤軍の話とか、あさま山荘の話を知ってから行くと解りやすいと思いますよ。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ


P.S : この放題、もう少しなんとかならなかったんでしょうか。パッと見、普通の明るいサスペンス映画のように思えてしまう。原題「The Company you keep」に、もう少し沿ったような題名にして欲しかったな。ランナウェイだと、ただ逃亡しているようで、何となく老人に走らせるのかって感じで辛いです。




ランナウェイ/逃亡者@ぴあ映画生活