【演劇】「それからのブンとフン」井上ひさしさんの作品は本当に社会に訴えるものが多いですね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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演劇「それからのブンとフン」の横浜での最終回を観てきました。演劇とミュージカルを混ぜたような舞台でしたよ。演技も確実だけど、歌も上手い方ばかりだったので、とても満足でした。


ストーリーは、

売れない小説ばかりを書き、年中貧乏をしている作家、大友憤(おおともふん)。ある日、世界で不可解な事件が次々と起きる。この前代未聞の犯罪の犯人が、四次元の大泥棒ブンの仕業だということがわかる。大泥棒ブンとは、作家フンが書いた売れない小説『ブン』の主人公であった。フンは小説にこう書いている。『ブンとは何者か。ブンとは時間を超え、空間を超え、神出鬼没、やること奇抜、なすこと抜群、なにひとつ不可能はなくすべてが可能、どのような願い事でもかなう大泥棒である』と。そのうち大泥棒ブンは、形のあるものを盗むことに飽き、人間の見栄、虚栄心、記憶、歴史など形のないものを盗み始めてしまう。そして・・・。

というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ブンとフン

やっぱり、井上ひさしさんのお話は、とても楽しくて、明るく見えるんだけど、とっても訴えている事が奥深くて、社会の不条理や、人間の汚い部分を、あからさまにして訴えてくるんです。だから、とっても楽しくて、ルンルンしているんだけど、ハッと気が付くと、すごい社会問題を扱っていたりするんですよ。


作家のフンさんは、自分の売れない小説がいきなり売れ出して驚いていたら、今度は、その小説の中の人物ブンが小説から飛び出して泥棒を働いていると聞き、驚きます。ブンは、万能の大泥棒なので、捕まえる事は無理。シマウマの縞とか、自由の女神の松明とかを盗んで、世間を騒がしているのですが、ある時、騒がせるのにも飽きて、今度は、人間の記憶や、権力、虚栄心を盗み始めます。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ブンとフン

人間に一番持っていて貰いたくないものを盗ませてくれたんでしょうね。権力や虚栄心は、あればあるほど、人間が壊れて行くし、強欲になって行くものです。一番、持っていてはいけないもの。たとえ、持つことになっても、素の自分を忘れずに居られば良いんですけどね。やっぱり、それは難しくなるのだと思います。だから、ブンが盗んでくれたら嬉しいんですけどね。(笑)


警察は、ブンを捕まえようと色々な方法を取ってくるのですが、ブンの本が増刷される度に、ブンが増えてしまうものですから、収拾が付かなくて、困っているのですが、ある人物?に手助けをお願いすることにし、作戦は上手く行くのですが・・・。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ブンとフン

結末は、観てからのお楽しみです。人の考え方が逆転するような状況になって、面白いですよ。こんな事になったら面白いだろうな。でも、良く考えてみると、政府の方針とか、人間の生き方に、すごく問題提起をしているんです。いつも人と同じ事をやっていても、何の進歩もないし、個性が失われて行くということなんですね。いやぁ、ふと気が付くと、自分たちの嫌な部分を直視している自分に気が付くんです。考え始めると、結構、辛かったりするけど、でも、人間の社会の仕組みって、どうしても誰かが得をするように出来ているんですよね。必ず、自分の思想に従わせようとする者と、従ってしまう者。一方は好き勝手に出来て、一方は利用されている事に気が付きもしない。酷い世の中です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ブンとフン

そんな社会の不条理を、楽しい話の中にずっしり埋め込んで、間違いに気づかせてくれるお話でした。でも、難しいことは無く、子供でも、とっても楽しめる面白いミュージカル演劇だと思いました。こういうお話なら、何度観ても楽しめますね。


出演者の方々も、素晴らしい方ばかりで驚きでした。市村さんや小池さんは安定しているし、感心するばかりなのですが、悪魔をやっていた新妻さんという女優さんが、すごく歌が上手くて、驚いてしまいました。有名なミュージカル女優さんなのかな。声の美しさに脱帽です。山西さんも、歌って踊ってまでやるんだと驚きました。私の大好きな橋本じゅんさんも警察長官役で出ていましたよ。相変わらずの強烈な演技で、観ていて楽しくなります。他にも、劇団新感線で有名な吉田メタルさんも出演されていたりして、出演者は、とても豪華でした。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ブンとフン

これから、東京での上演が始まると思うので、ぜひ時間があったら、観に行く事をお勧めいたします。これは、面白いです。ちょっと値段は高いけど、やっぱり、生の迫力と素晴らしさは、その価値に値すると思います。東京公演は、10月3日より始まるようなので、お時間が在ったらぜひ。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




「それからのブンとフン」 ホリプロオンライン       http://hpot.jp/stage/bunfun



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