「そして父になる」一番苦しむのは子供なのに、大人の目線でしか解決が出来ない問題である。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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先行上映で「そして父になる」を観てきました。


ストーリーは、

申し分のない学歴や仕事、良き家庭を、自分の力で勝ち取ってきた良多(福山雅治)。順風満帆な人生を歩んできたが、ある日、6年間大切に育ててきた息子が病院内で他人の子どもと取り違えられていたことが判明する。血縁か、これまで過ごしてきた時間かという葛藤の中で、それぞれの家族が苦悩し……。

というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-父になる

とてもショックを受けて、感動した作品でした。取り違えなんて、まさか自分に起こるなんて思っていないし、とんでもない不幸だと思いました。本当に酷い。大人でさえ、整理が出来ずに悩むのに、子供の立場だったら、どうなってしまうのか。もう、考えただけで、めまいがするほどでした。だって、ある日、パパとママが「お前の本当の親は、あそこにいる人たちだよ」って言うんですよ。親って一体何なの?育ててくれるのが親じゃないの?知らない人をパパママって呼べって言われても解んないよ。じゃ、パパとママは、僕を捨てるの?って思うと思います。もう、子供の頭では、理解の範疇を超えますよね。


映画の中でも、時間をかけてとか言うけど、時間をかけても、ただ人に慣れて行くだけで、親という理解にはたどり着かないでしょ。今まで一緒に居たパパとママがパパとママだし、新しい人をパパとママって呼べと言われても、呼べないよ。そんな苦しい事を、まだ6歳くらいの子供に考えさせるなんて、どれ程、罪なんだって思いませんか。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-父になる

この取り違え、ネタバレは出来ませんが、偶然の取り違えではありません。野々宮家族と斉木家族の子供が交換されてしまっているのですが、斉木家の母親ゆかり(真木さん)が、原因の人を一生許さないと言うのですが、当たり前ですよね。自分たちの子供が一生苦しんで行くのですから、その人も、一生苦しませたいと思うのは当たり前。私なら、刑事事件では無理でも、民事事件でいつまでも争ってやると思います。幸せになるなんて許さないですよ。


野々宮良太(福山さん)は、一般的に言うエリートで、大手の建築会社に勤めているという設定ですが、今時の大手の建築会社って、どこも一度倒産した会社ばかりなので、一流と言いながらも、ただの土建屋のオヤジなんですがね。勘違い野郎なので、自分の仕事は素晴らしいから、子供との時間が取れなくても仕方ないとか、自分の息子なのにキチンとしていないなんて許せないとか、とにかく、自分が基準の中心なんです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-父になる

ハッキリ言って、あんたじゃなくても、そんな仕事は、誰でも代わりが出来るんだよってことが解らないんです。そんな勘違い男なので、取り違えで子供が自分の子供ではないと解った時、血の繋がりが無いから、俺と同じように出来ないのかも知れないと思ったと思います。そんな男が夫だったら、結構、奥さんは辛いだろうなぁ。私なら、頭を殴っているだろうけど、この妻のみどりは、夫を上に見ていて、卑屈になるばかり。文句を言えないんです。そうそう、斉木家の妻ゆかりさんは、殴るタイプかな。(笑)


そんな良太は、自分と息子慶多の関係や、自分と両親の関係などを辿る事によって、本当の絆というものを、再認識して行きます。そして、その過程で、斉木家の家族の絆の強さは、彼の心を変える大きな指標になったのではないかと思いました。斉木家って、結構、貧困系なんだけど、とても暖かい家庭なんです。父親(リリーさん)が、子供と一緒に戯れているんですよ。その姿を見て、良太も子供と触れ合う事の大切さを感じ始めるんです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-父になる

この映画は、、出てくる人間全てが、成長していく物語です。大人たちも、子供たちも、それぞれに、本当に考えている事が解る。その心が伝わってくるんです。そして、最後の結末にたどり着くのですが、それは、そうなるしかないという結末でした。その目で確認してください。誰の身にも起こり得る事ですが、それは、簡単に解決などしない、本当に大変な事なのだということが解ると思います。


もしも、こんな事が起きたら、やっぱり、大人の都合ではなく、子供の心を一番に考えて、ただ隠すのではなく、理解させて行く事が大切なのではないかと思いました。6歳だったら、直ぐには理解出来なくても、考えながら、少しづつ理解して行きます。根気強く、疑問に答えてあげることによって、自分が納得出来る道を、自分で見つけて行く事でしょう。時間をかけるというのは、子供の納得を待つことで、大人の心を整理させる為ではないのだと思いました。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-父になる

この作品は、ぜひ、お勧めしたい映画です。ぜひぜひ、観て欲しいです。だって、誰にでも起こり得る事だし、人の妬みというものが、どれ程、酷い罪になるかという事も考えて欲しい。人間社会で一番怖いことは、私は、妬みだと思っています。何故、人を妬んだりするの?羨ましいなぁとは思っても、妬む必要は無いでしょ。自分は自分で、人とは違うのだし、その人は、その部分が秀でているのかも知れないけど、他の部分は、私より劣っているのだから、大丈夫。自身を持てば良いんです。もし、自信が無かったら、家族や友達と、褒め合って褒め殺し合って、みんなで気持ち良くなれば良いんです。それを続ければ、段々と、勘違いでも、自信が付いてくるから。付いてしまえばこっちのもの。人に優しくなれますから。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-父になる

私は、超お勧めなので、ぜひ、家族で、友達で、夫婦で、観に行ってくださいね。で、帰ってきて、子供をぎゅぎゅーっと抱きしめてあげて下さい。愛が深まります。家族って、そういうものです。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





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