「日本の悲劇」を観てきました。
ストーリーは、
2011年3月11日の東日本大震災の日。東京の下町に住む村井不二男(仲代達矢)は入院し、肺ガンの手術を受ける。秋になり、再び手術をしなければ余命は3か月だと宣告されるが、勝手に退院。不二男と暮らす息子の義男(北村一輝)は無職で、妻と別れ、不二男の年金を頼りに生活していた。帰宅した不二男は義男の説得も聞かず、自室のドアや窓を封鎖して「ミイラになる」と言い放ち……。
というお話です。
この映画、現実を描いているとは思いますが、現実を映画で再現する必要があったのでしょうか。仲代さんも北村さんも素晴らしいんだけど、この現実を観ているものに突き付けて、どうしろと言うのでしょう。少しは救いがあれば良いのに、全く救いが無いんです。もちろん、現実には救いが無いからだろうけど、それって、言われなくても解っているし、だからって、誰もどうしようもない現実なんです。
一度失業してしまうと再就職が難しいのも当たり前だし、収入が無くなれば家族が壊れてしまうのも当たり前だし、震災があれば不幸が起こるのも当たり前。どれも、当たり前の事なの。それに抗ってもどうしようもないんだよなぁ。不幸だ不幸だって嘆いていても、何にも始まらない。そこに、何か一つでも救いがあって、もしかして、そういう救いがあれば、日本も立ち直れるかもって思えるならまだしも、ああー、酷い状態で、どうしようもないねぇ~って感じで終わってしまっては、観ている方は、どうやって立ち直ったら良いの?フィクション映画ならまだしも、ほとんど、この内容は、ノンフィクションじゃないですか。辛いですよ。
この日本の状況を変えたいと思うなら、いつまでも、文句を言ってないで、政府に協力したらどうなの?デフレを脱却して、インフレに転換しない限り、景気は良くならないし、仕事にも着けません。金利が上がらなければ、お金が回らないから、給料も上がりません。随分、端折っているけど、アホな経済学者の口車に乗って、マスコミが下らない事を騒ぐから、何も動かないんですよ。物の値段が上がらなければ、給料は上がりません。そんな当たり前の事、バカでも解るでしょ。
それにしても、辛いお話でした。息子の義男の事も良く解るし、お父さんの不二男が取った行動も解るんですよね。父親が、息子にしてやれる事は、それしか無かったんです。あまりにも悲しくて、辛くて、でも、それが現実で、何もできない。誰もが、自分が生きる事で精一杯で、他人の悲劇まで、一緒に悲しんであげる事なんて出来ないのも現実です。こんな余裕が無い今の日本で、何が出来るのでしょう。
そんな状況を目の前に晒されて、観た人間はどうしたら良いのかしら。可哀想だなぁとしか、考えられないです。だって、助けてあげる力も、経済力も、精神力も無いですもん。自分の力で立ち直れよって言うしかありません。自分が強くなって、親くらい自分が守るって言えるほどにならないと、生きて行く意味が無いでしょ。
私は、何の根拠も無いですが、親は自分が守るって言っちゃいますよ。お金が無くなったら、どんな仕事でもやれるもん。水商売でも風俗でも(オバサンだから雇ってくれないか。笑)、ガードマンでも、廃品回収でも、何でも出来ると思う。だって、自分の為なら出来なくても、人の為なら出来るでしょ。プライドって、見た目の事ではなく、心の問題でしょ。家族も守れないなら、どんな一流企業に居たって、クズですよ。
ゴメンナサイ。私は、この映画の意味が良く解りませんでした。ただ、悲劇を見せられているだけで、解決法が考えられないんです。どうせーっちゅーんですか。だって、この映画の後を描くとしたら、仕事も探せず、生活保護者になる訳でしょ。もう、社会の害がどんどん増えて行くだけ。働いて働いて税金を払っても、その人達を養えませんよ。働いているこちらが参っちゃいます。
誰かを助ければ、誰かが犠牲になる、そんな社会を変えて行かない限り、なんの解決もありません。すべての人間を助けるのは、私は無理だと思っています。今も昔も、生きる事はサバイバルなんです。誰かの犠牲の上に、自分の命がある。いつ立場が逆転するか解らない現代、ボンヤリしていたらあっと言う間に、自分が、この映画の主人公たちになってしまいます。そうならない為に、頭を使って、身体を使って、未来を見て、生きて行きたいと思っています。
私は、この映画、お勧め出来ません。それは、自分が理解出来なかったからです。自分が理解出来ないものを、お勧め出来ません。でも、気になったら、観てみてください。理解出来る方もいらっしゃると思いますよ。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・日本の悲劇@ぴあ映画生活