「夏の終り」思ったよりドロドロの愛憎劇では無く、二兎を追う者は一兎をも得ず的な感じかな。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「夏の終り」を観てきました。瀬戸内寂静さんの小説の映画化です。


ストーリーは、

結婚して子どももいる年上の作家・慎吾(小林薫)と長きにわたって一緒に生活している知子(満島ひかり)は、慎吾が妻と知子の間を行き来する生活に不満もなく、妻と離婚してほしいと思ったこともなかった。そんなある日、かつて彼女が家庭を捨てて駆け落ちした相手の涼太(綾野剛)と再会。それ以来知子の心は揺らぎはじめ、慎吾との関係を継続させつつも涼太と以前のような関係に戻ってしまい……。
というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-夏の終り

思っていたよりも、ドロドロしていなくて、女としては、好感が持てる作品と言うか、あー、こういうもんなんだよなぁ女って・・・って思えるような作品でした。きっと、女であれば、知子の行動が、なんとなく理解出来てしまうと思います。それが、悪いことと思っていても抑えられない、女の性というか、性質なんだと思いました。あ、そうそう、エロエロでも無いので、そういう場面はほとんどありません。

まず知子は、夫と子供を捨てて、若い男・涼太との恋を選びます。夫と子供からすれば、そんな勝手な事、許されないよって言うだろうけど、女はそれを、止められないんです。もともと、知子は自立心旺盛な女性だったのだと思うのですが、時代的に夫に仕える妻とならなければならず、心の中に鬱屈が溜まっていたのではないかと思います。そんな時に、若い、未来が輝いているような青年と出会い、恋に落ちてしまう、ま、当たり前と言っちゃ、当たり前なんですよね。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-夏の終り

家を出た知子は、涼太とも続かずに、結局、就職をし、輝く未来を夢見ていたのですが上手くいかず、愚痴を聞いてくれた作家の慎吾と出来てしまいます。慎吾との生活は穏やかで、仕事も上手く動き始め、なんとなく、そのまま続けていました。慎吾にとっては、お金の世話もしなくて良いし、恋愛感情のみで一緒に居られる知子が楽で、知子にとっては、自分を束縛することも無く、世話をする義務も無く、ただ通ってくる男は、楽だったのだと思います。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-夏の終り

でも、そこで思ったのが、慎吾の妻ってどういう人なんだろう。私なら、夫が外に女を作って、週末にしか帰ってこないなんて、許せないと思うけどな。他の女と寝ている訳でしょ。気持ち悪くて一緒に居られないです。持ってくるお金を、平然と受け取って、週末は一緒に過ごすなんて、妻という名前の愛人ですよね。既に、立場が逆転しているのに、気がつかないのかな。慎吾は、知子に対しては愛情で、妻に対しては同情と庇護だったのかなって思いました。同情されて夫婦で居るなんて、私には耐えられないけど、それでも納得出来る女っているんですね。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-夏の終り

ま、そんな暮らしをしていたある日、昔別れた涼太が現れ、知子は二股突入!まぁねぇ、どっちも好きになっちゃったら、二股するしかないよねぇ。でも、涼太は、慎吾が居ない時の身代わりみたいに使っているように見えました。女って、常に誰かにそばに居て欲しいって思う時期ってあるんですよね。いつも一緒に居て欲しいの。でも、ある時、一緒に居るのがウザくなるんだけど、でも、そういう時期ってあるのよ。ホルモンの影響かしらん。きっと、男性は、女って解らないって思うと思うんだけど、昨日まではベタベタしてたのに、今日は触るなって言ったり、本当に、女って、自分勝手で、気分で動いているんだと思うのよね。女なんてそんなもんです。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-夏の終り

涼太に求婚され、今まで、あまり考えていなかった慎吾への愛を考え始めます。本当の自分は、何を欲しているのか、何を求めているのか、何がしたいのか、自分を見つめ始めるんです。自分も周りも動いている時って、あまり解らないけど、立ち止まってみると、周りのことも良く見えるし、自分の無駄や、本当に大切だったものが見えてくるんだと思うんです。時には、冷静に考えるために立ち止まってみることも大切ですよね。

こんな内容を、時系列通りではなく、回想を交えながら、現在の自分を考えながらも、過去を振り返る知子を描いています。女なら、彼女の行動が、とても良く解るんじゃないかなぁって思います。男性は不可解かも知れないけどね。(笑)


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-夏の終り

私は、この映画、お勧めしたいと思います。但し、ドロドロで面白い愛憎劇というのとは違って、静かに女の性を描いているというものなので、大人しく、静かな雰囲気の映画が好きな方にはお勧めしますが、ドロドロが好きな方には、ちょっと物足りないと思いますよ。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




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