「終戦のエンペラー」日本が描きたくて描けなかった所を描いてくれてありがとう。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「終戦のエンペラー」を観てきました。


ストーリーは、

1945年8月30日、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の司令官としてダグラス・マッカーサー元帥(トミー・リー・ジョーンズ)が日本に上陸。彼は日本文化に精通している部下ボナー・フェラーズ(マシュー・フォックス)に、太平洋戦争の真の責任者を探し出すという極秘任務を下す。わずか10日間という期限の中、懸命な調査で日本国民ですら知らなかった太平洋戦争にまつわる事実を暴き出していくボナー。ついに最大ともいうべき国家機密に近づくが、彼と敵対するGHQのグループや日本人たちの一団が立ちはだかる。

というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-エンペラー

この映画、良かったよぉ~。これ、日本人なら、ゼッタイ観るべきだと思います。今、憲法改正の事を議論している時だし、もうすぐ終戦記念日だし、今、一番考えなきゃいけない事を考える前の、一番の基本を、この映画が描いてくれています。


日本の思想と言うか考え方って、独特ですよね。外国人には理解が難しいと思います。今の慰安婦問題だって、日本人ならば、きっとそんな事があったとしても恥と思って言わなかっただろうし、現に戦後の混乱の中で性被害にあった女性も、一言も話していませんよね。日本人は、プライドと言うものが、どこの国の民族より高いのだと思います。何があっても、心から相手に屈することは無いという精神なんです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-エンペラー

もちろん戦争を起こしてしまった事は、悲劇だと思うし、罪だと思います。でも、戦争を始めたのは、どう考えても、天皇ではないと思うのです。戦争を終わらせた言葉を聞いても解るし、第一、戦争をして誰も得をしないでしょ。軍部の上層部は、下からの突き上げもあって、戦わざるを得なかったんじゃないかな。自分たちが行ってきた軍の教育のせいで、結局は、自分の首を絞めてしまったのだと思います。元々、戦争は出来るだけしない方が良いという教育をしていれば、誰もが戦おうという考えには至らなかったはずです。


起こしたことは仕方がないので、とにかく被害を最小限にする事を考えたのでしょう。天皇がポツダム宣言を受け入れ、降伏を宣言し終結に至ったのです。この玉音放送で、天皇は戦後の日本の事を思い、国民が正しい道に進んで欲しいとお話していますよね。それこそが、天皇を良く表していると思うのです。どこまでも、国民の事を思い、日本の未来の事を考えていたのだと思います。それが、この映画にも描かれていますよ。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-エンペラー

アメリカ側のお話に入りますが、最高司令官として日本に赴任したマッカーサーがすごい人だったんですね。人の上に立つべき人だと思いました。嫌な上司って、人の表面しか見なくてと言うか見れなくて、自分の言う事だけを聞く部下を良しとするのですが、このマッカーサーは、自分の頭で考えられる人間を部下に置き、意見できる人間を良しとする、そういう人でした。こういう人が上司だったら、仕事もやりがいがあるんだろうなぁ。


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そして、ボナーは、自分の彼女だった日本人女性を思い出しながら、日本人というものの特性を考えながら、戦争責任者を特定しようと奮闘します。日本の天皇信仰は、宗教に似ているけど、違うものですよね。天皇は現人神であり、見たり触れたりしてはいけない”神”だったんですから。気軽に聖書を読んだら近くに居てくれるとかいう神じゃないんです。その感覚は、日本人にしか解らないと思う。だから、ボナーも、戦争責任者を探し出すのに、とても苦労をします。そりゃ、そうよね。狂信的な天皇賛美の人ばかりなんだから、わかんないよ。


色々な軍部や政府の人間を当たって行く内に、段々と、その奥深い想いと、日本人の考え方を理解していきます。日本人って、難しいよね。本音と建前があるし、謙虚さが求められる人種だし、清潔で正確なものを好む。それは、今も昔も変わりません。いや、最近は、移民が増えて、ちょっと変わってきたかな。人から物を盗むのが当たり前の人種が入ってきて、日本人の考え方も少し劣化してきてしまったかも。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-エンペラー

日本でこの映画を作ろうと思っても、昭和天皇を描くという事が畏れ多いという思いが出てきてしまって、難しいのだろうと思います。でも、いつの日か、日本が自分たちで、戦争の真実を、目を背けずに描ける日が来ることを願っています。


その時は、もちろん天皇も描いて欲しいし、日本が間違ってしまった事も受け入れて、描いて欲しい。でも、卑屈になる必要は無くて、この部分は間違えたけど、こちらはこういう考えで、その国の事を思ったからこそやったのだと主張する必要があると思います。いつまでも言われるままではなく、自分の考えを主張することも、日本は学んでも良いと考えます。世界の舞台では、奥床しいという言葉は必要ありません。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-エンペラー

本当に、色々考えさせられる映画でした。私は、超お勧めの映画です。戦後にどういうことがあって、日本が復興出来たのか。天皇という人が、神ではなく人になって、私たちの為に心を尽くしてくれたという事を思って欲しい。そして、このマッカーサーの元、アメリカによるアメリカの為の日本国憲法が作られたということを認識して欲しい。戦争をしないのは当たり前として、憲法は日本による日本の為の日本国憲法にしないとマズいっしょ。(笑)

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ



終戦のエンペラー@ぴあ映画生活