「風立ちぬ」大変な時代の中で、精一杯仕事をして恋愛をして、幸せな時を大切に生きた人々。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「風立ちぬ」を観てきました。我慢できずに、初日に観てきましたよ。(笑) すごい人気で、驚きました。


ストーリーは、

大正から昭和にかけての日本。戦争や大震災、世界恐慌による不景気により、世間は閉塞感に覆われていた。航空機の設計者である堀越二郎はイタリア人飛行機製作者カプローニを尊敬し、子供の頃から、いつか美しい飛行機を作り上げたいという野心を抱いていた。関東大震災のさなか汽車で出会った菜穂子とある日再会。二人は恋に落ちるが、菜穂子から結核にかかっていることを告白される。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-風立ちぬ

ジブリという事で、子供も観に行っていると思いますが、大人の映画ですよね。子供は解らないと思います。日本が第二次世界大戦に向けて、基礎固めをしている時期でしょ。この時代だからこそ、飛行機の設計も大切にされたのだろうし、海外への研修にも行かせてもらえたのだと思うけど、今から思えば、戦争の道具を作っていた訳だし、あまり良くは思われないでしょ。ゼロ戦と言えば、戦闘能力は素晴らしかったらしいけど、乗っている人間を守ることは一切考えていなかったらしいから、それって、人命を軽く見ていたってことだし、複雑な気持ちになります。

あ、でも、この映画では、零戦がどうとか、戦争がどうってことは関係ないので、考えないでくださいね。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-風立ちぬ

二郎は、子供の頃から飛行機が大好きで、いつも空を飛ぶ夢を見ているような少年でした。元々、とても良いお家の生まれっぽくて、言葉使いも良いし、礼儀正しい青年だったように見えました。飛行機の設計に対しても、とても誠実に取り組んでいる姿が描かれていて、あー、設計者だなぁと思いました。飛行機の設計も建築物の設計も、同じなんですよ。どこまでも荷重を減らすとか、軽くて丈夫な材料を探すとか、そのバランスがねぇ~。難しいっす。(笑)


それより何より、この映画は、この大変な時代の中で、精一杯、仕事をして、愛を育んだというのが、一番描かれていることかな。菜穂子さんとの愛が、お互いをすごく思いやっていて、涙が出るほどでした。今、これほどに相手の事を思って行動する人っていないですよね。誰もが、自分の事が一番で、愛する人を第一に考えるっていう二人の姿は、とても眩しく映りました。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-風立ちぬ

この時代、結核という病気は、不治の病と言われていて、治らなかったようですね。菜穂子さんも、結核を患い、療養所に入るなど、色々な手を尽くすのですが、良くならないんです。お金もあっただろうから、最良の手を尽くしたんだろうと思いますが、難しかったのかなぁ。でもね、身体がどうであれ、愛する人と一緒に居られるという事が、これほどにしあわせなんだという事が描かれていて、その二人の姿に涙を誘われました。ずっと寝たままの菜穂子さんの手を握りながら、仕事をする二郎の姿は、なんとも言えずに、この昭和初期の、日本の大変な時代でも、人々の中には愛があったという事が判って、嬉しくなりました。

なんだか、この映画、感想を書いていても、その良さが上手く伝えられません。この気持ちは、観ていただかないと、解らないと思うんです。人間が一生懸命に生きていたという事が描かれていて、今、私たちは、何をやっているんだろう、何を考えて生きているんだろうと考えさせられるんです。こんな風に必至で生きて、必至で未来を考えてくれていた人々の血を受け継いでいる私たちが、自分たちの国の事を何も考えなくなってしまった状態を、恥ずかしいなって思いました。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-風立ちぬ

堀越さんの生き方は、本当に、素直で、一生懸命で、愛すべき人だったのだなぁと思いました。まるで、日本のアインシュタインのようで、きっと、自分が開発した飛行機が戦争に使われたという事を、悲しく思ったのではないかと思います。自分の愛する飛行機で人が死ぬなんて、辛かっただろうと、でも、反対に自分の国を守る事、愛する人達を守る事に使われたという事は、喜ばしかったのかも知れないし、その気持ちは、計り知れません。いつの時代も、矛盾することが出てきてしまうけど、それに潰されることなく、新しい道を探して行く事が、未来を考える事になるのでしょう。

この夏この映画で、過去を振り返り、未来を観ようと思う事が出来ました。私、この映画、超お勧めしたいと思います。大人は、ぜひ観て欲しいと思います。そして、未来を考えて欲しいです。子供でも、中学生くらいだったら、歴史も勉強しているし、恋愛もしているから、解るんじゃないかな。私は、中学の頃に、戦時中の小説も読んでいたし、この映画を観ても、理解出来たと思いますよ。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-風立ちぬ

それにしても、あの飛行機のフォルム、美しかったですね。サバの骨のRを研究していたけど、確かに、魚の骨のRとか、女性の腰のRとか、生きているものが自然に造るRというのは、本当に美しいし、理に適っているものなのです。一番、空気抵抗を受けなかったり、触った感触が良かったりするんですよね。私も、モンロー定規を使って製図をした時は、美しいなって感動しましたもん。(笑)

とにかく、観て欲しい映画です。ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





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