「アンコール!!」を観てきました。
ストーリーは、
寡黙でとっつきにくい性格が災いし、周囲から筋金入りの頑固おじさんとして扱われ、息子とも溝ができてしまっているアーサー(テレンス・スタンプ)。そんな彼が愛してやまない、性格の明るい妻マリオン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)のガンが再発してしまう。そんな中、彼女が在籍するロックやポップスの名曲を歌う合唱団「年金ズ」が国際コンクールの選考大会に出場することに。治療などで練習に参加できないマリオンの代理で「年金ズ」のメンバーになるアーサーだが、個性豊かなメンバーや慣れない合唱に面食らってしまう。
というお話です。
最近、老人を使って泣かせるという映画が多く目に付くような気がして、ちょっと目障りになってきました。一時、子役を使って泣かせる映画が流行りましたが、その時と一緒で、今度は老人をコミカルに動かしながら、泣かせて、感動させるというものが多いですね。そろそろ、同じパターンを脱した方が良いと思います。
ガンで闘病している妻の余命が少なくなり、その面倒を見ている夫のアーサーが、歌と言うものを引き継いでいくというお話なのですが、ま、この手の話でよくある、頑固ジジイなんですよ。頑固ジジイと言いながらも、妻の面倒は甲斐甲斐しく見ているんですよ。私は、妻のマリオンが、あそこまで我が儘に、あの場所に連れて行けとか、迎えに来いとか、確かに、余命僅かかも知れないけど、あれ程に、愛する人をこき使うって、どうなんだろうと思いました。愛していれば、出来るだけ迷惑をかけたくないと思うのが普通じゃないのかなって思うのは、日本人の考え方なんでしょうか。ちょっと、その辺りが、イラつきましたね。
妻が、ギリギリまで打ち込んでいたコーラスコンクールに、アーサーが参加することになります。コーラスの先生であるエリザベスに誘われたこともありますが、妻の想いも引き継ぎたかったのではないかと思いました。
そして、マリオンを間にして繋がっていた息子との絆も、コーラスを通して修復していくんです。父親と息子って、結構、難しいみたいなんですが、でも、親子なんだから、きっと上手く行きますよね。それぞれに、こだわりとか、アレが許せないとかってあると思うけど、親が年を取ったら、仕方ないなぁって、解ってあげましょうよ。どんなに頑張ったって、親の方が先に死ぬ確率が高いんだから。
誰でも年を取って、老人になるんだから、老人であることを、必要以上に描く必要は無いんじゃないかな。このコーラスグループも、年金受給者のグループという名前で、老人なのに、わざわざ、ロックやラップをやったり、下ネタの歌を歌ったりするのです。老人が歌うから、下品じゃないぞって言いたいのかも知れないけど、誰が歌っても、下品なものは下品だし、ワザとそういう歌を老人に歌わせて楽しむのは辞めてあげて欲しい。なんか、超ムリしているように見えて、観ているこちらが心配になってしまいました。
そりゃ、老人のグループだから、誰かが死んだりして抜けて行くのは当たり前ですよね。それは、覚悟の上でしょ。先に死んだ老人はしあわせなんですよ。残された家族の悲しみと孤独は拭えなくて、こちらの方
が、悲劇ですよね。マリオンは、夫のアーサーに、無理やりながらも、コーラスと言うもので、人と関わることを教えて、やる事を残していったのだと思いました。愛していたんですね。
あまり感想で良いことを書きませんでしたが、良い映画でしたよ。ちょっと、最近、老人の映画を見過ぎたからか、反発心が起きてしまって、素直に観れませんでした。でも、アーサーが歌うところでは泣いてしまったし、夫婦の愛が、良く描かれているなと思いました。
この映画、観る人を選ぶと思います。結構、年配の方には、グッと来るのかも知れませんが、若い方には、あまり受け入れられないのではないかと思いました。と言うか、映画館は一杯だったのですが、その中の若い年代の方は、ほとんど、エンディングを観ないで、出て行ってしまいました。あまり良い印象では無かったのかなーと思いました。
私は、年配の方には、お勧めして良いと思います。若い方は(まぁ、若い人は、あまり観ないと思うけど。)、もっと明るくて楽しい、若者向けの映画を観た方が良いと思います。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・アンコール!!@ぴあ映画生活