劇団扉座の舞台「アトムへの伝言」を観てきました。実家からそれほど遠くない”本厚木”という、神奈川県のちょっとローカルな場所での講演でした。本厚木という場所は、新宿から1本で行けるし、学生街なので、ローカルと言いながらも、結構、開けていて楽しい場所なんですよ。
ストーリーは、
天才・柳博士率いる森の里科学研究所は、世界初のコメディアン・ヒューマノイドの開発に成功! その名は「カッパ」。世界に笑いをもたらす為、華々しく誕生したカッパだが、科学者たちは笑いを知らない。そこで、伝説の漫才師「海老乃家ラッパ」のもとへ、カッパともども弟子入りすることになる。
しかしカッパには重大な欠点があることが判明する。
はたしてカッパの運命は……。
というお話です。

コメディーと思って観に行ったのですが、なんと、最後には涙が出てしまいました。
アトムって、日本人なら誰でも知っていますよね。昔、手塚治虫先生が発表した漫画で、アニメやCG映画などで、何度も制作されました。アトムは、ロボットであり、アイザック・アシモフが考えたロボット三原則で動きます。そして、この舞台に出てくるロボット「カッパ」も、同じです。
ある研究所で開発されたコメディアンロボットの「カッパ」は、その昔、人気があった「海老乃家ラッパ」という芸人の元に弟子入りして、お笑いを習う事になります。お笑いも、簡単に成功する訳ではない事は、誰もが分かっていますよね。それはそれは、ロボットだけど身体を心配してあげたくなるほど、師匠に付いて努力していて、今時珍しいと言われるほど、師匠を大切にしていました。
人間とロボットの師弟愛、それは、知っている人間には理解出来ても、外から見ている人間には、まったく理解されず、ロボットはロボットだと言われて、悲劇につながっていきます。

ロボット三原則って、矛盾していますよね。だって、”人間を傷つけてはいけない”だけど、”主人の身を守る”って言われると、主人が殺されそうになったら、相手の人間を傷つけなければ防げないでしょ。そして”自分の身を守る。”というのが出てきちゃうと、じゃ、主人が自分を壊そうとした場合、主人に抵抗して良いのかということになってしまう。これ、全然、ダメダメだよね。新しい三原則を考えてあげないと、これからの時代、AIを搭載したロボットも出てくると思うので、マジで困っちゃうことになりますよね。
ここに出てくるコメディアンの師匠「ラッパ」は、昔、CMなどで一斉を風靡したフレーズで人気者になった人物で、今で言う、一発家って感じかな。でも、お笑いを捨てずに、長い間頑張ってきたんです。新人の相方とも、あまり上手くいかず、悶々としているところに、ロボットだけど、素直に努力をする「カッパ」を見て、やる気が出てきたというように見えました。
人間の努力で研究開発され、やっと出来上がった最新鋭のロボットは、人間の心の深くまで読み取り、自分がどう行動する事が主人の為になるのかと考えてしまうほど、愛らしく、まっすぐに造られてしまいました。彼は、自分の利益など一切考えず、ただ、人間が幸せになるために行動する機械です。でも、心があります。道具だけど、心がある。そんな悲しい事ありますか?その道具、かわいそうで使えなくなってしまいます。ロボットが進化するのは嬉しいけど、やっぱり意思を持ってしまったら、必ず、悲しい事が起きてしまいそう。心を入れないであげて欲しいと思いました。
でも、お話は、超面白いんですよ。最初のカッパは、カッパの格好をしているし、師匠とのどつき合いは、最高でした。本当に、大笑い出来る舞台でした。

師匠のラッパを演じているのは、”六角精児”さん。カッパを演じているのが、”山中崇史”さんです。六角さんは、相棒の鑑識の米沢さんですよね。山中さんは、相棒の捜査一課の芹沢さんです。他も、舞台では有名な方が出演していらして、驚くような舞台でしたよ。
あまり詳しく説明してしまうと、観た時の感動が減ってしまうので止めてありますが、私、本当に、最後の方で涙ぐみました。なんでっ!!って、道具ならば、簡単に壊していいのかよっ!!って、叫びそうになっちゃいました。どんな物でも、大切にしないと、バチが当たりますよね。
この舞台、これから、新宿などでも上演予定だそうなので、ぜひ、観に行ってみてください。感動作です。私は、本厚木に観に行ったのですが、ローカルだからなのか、俳優さんたちが皆さん、出てきてくださって、サインをしてくださいました。もう、感激~!!山中さんも汗だくなのに、にこやかに出てきてくださいました。本当に、有難いです。

良かったら、ぜひ、調べてみてください。面白いですよ。チケットのお値段も、それほど辛いお値段ではないので、気になったら、ぜひ、観に行ってみてください。お勧めですよ。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
劇団扉座 アトムへの伝言 http://www.tobiraza.co.jp/index.html