フランス映画祭2作目は、「遭難者/女っ気なし」 を観てきました。
この作品は、ギョーム・ブラック監督のデビュー作で、短編の「遭難者」と中編「女っ気なし」をひとつにまとめてあります。どちらも、シルヴァンという男性をめぐるお話です。
ストーリーは、
『遭難者』(仮)
フランス北部の小さな町で、自転車がパンクしたリュック。それを見て近づいてきた地元の青年シルヴァン。シルヴァンはリュックを助けようとするが......。
『女っ気なし』(仮)
短篇『遭難者』(仮)と対をなす作品。夏の終わり。バカンスに来た若い母親と娘に、アパートを貸すシルヴァン。3人は海水浴や買い物をして仲良く過ごしていたが、そこに友人ジルが現れ......。
というお話です。
フランスでロングランとなり、エリック・ロメールやジャック・ロジエを引き合いに出され高い評価を得た、新人ギヨーム・ブラック監督初の劇場公開作。
この監督、この映画でとても評価されて、長編映画を、バンバン撮っているようなのですが、その彼の、最初の作品です。確かに、評価されたの、解かります。とても感情表現が繊細で、微妙な表情はしぐさを良く捕らえていて、とても感動できました。
観ていて、とても日本の現状と似ていて、共感出来る部分が多いんです。主人公のシルヴァンという男性は、観た感じ、30代前半~中間かな。独身で、自宅に一人住まいしていて、一人の時間はゲーム(ニンテンドーWiiだったと思います。)に夢中になり、一応、身なりには気をつけるんだけど、でも、普段着以外は持っていないような感じで、ちょっと頭髪も少なく、小太りです。日本で言う、”オタク”系かな。でも、とてもやさしくて、人が良いんです。
そんな彼が、友達が出来て、その彼の為に、人肌脱ぐというお話が短編。友達は、迷惑だって怒るけど、でも、そのおかげで、彼女との仲は、もしかしたら修復出来たかもって感じで、自分は嫌われても、友達の為に頑張っちゃうシルヴァンが、かわいく見えてくるんです。
中編は、シルヴァンが管理をしているコンドミニアムに、バカンスに来た母と娘との関わりを描いています。この母と娘、母は、とても奔放な性格で、男好きっぽいんですけど、娘は、とても奥手に見えて、奔放な母親を、ちょっと汚いと思っているようなところがあります。
そんな二人を案内しながら、段々と仲良くなっていき、女ッ気の無かった生活に、ちょっと女性が絡んできて、嬉しいやら、興奮するやら、とまどうやら、複雑なシルヴァンの心境が描かれています。そのシルヴァンの姿が、とても純粋で、とってもかわいいんですよ。見た目は、オタクなんだけど、なんだか、段々と、その姿までかわいく見えてきて、親子のどっちかと上手く行かないかなぁって期待しちゃうんですよ。
男性の純粋な心情が、とても良く描かれていて、日本の現代の男性にも重なるような気がしました。見た目は、ちょっと近づきにくそうに見えるんだけど、話してみると、とっても良い人っていう事ってありますよね。特に、オタクっぽく見えても、凄く良い人って多いんですよね。今は、女性の方が積極的で、奔放だから、男性は、ちょっと引いてしまうというところが、良く解かります。
そういうなんとなく、とっても温かい雰囲気が、観るこちらに伝わってくるような内容で、とても気に入りました。フランスと日本って、結構、考え方とか、生き方が似ているのかも知れないなって思わせてくれました。
この映画、私は、とってもお薦めしたいと思います。日本人だと、すごく共感出来る部分が多いので、楽しめると思いますよ。
この映画も、今年の秋に公開予定ですので、ぜひ、観に行って欲しいな。
ぜひ、楽しんできて下さいね。