「コレクター」を観てきました。ジョン・キューザックスペシャルのPart.1です。でも、なんか、今さらジョン・キューザックをスペシャルでやるって、すごいなぁ。ジョン・キューザックマニアが居るのかしら。(笑)
ストーリーは、
連続娼婦(しょうふ)失踪事件を3年も追っている刑事マイク(ジョン・キューザック)と相棒ケイシー(ジェニファー・カーペンター)は、新たな被害者の詳細を知って凍りつく。それはマイクの17歳になる娘アビー(メイ・ホイットマン)で、誘拐犯罪は48時間以内に解決しないと生存率が下がるため、彼は執念で犯人を追跡。一方、地下室に監禁されたアビーは犯人の異常な目的を知り……。というお話です。

これ、どうして「コレクター」っていう邦題にしたんだろう。原題の「THE FACTORY」というのが、内容にピッタリなのに、「コレクター」にしちゃったら、今までにコレクターっていう題名の映画がたくさんあるから、同じ映画かと思って、観に来ない人が、結構、居るんじゃないかしら。コレクターって言うと、趣味でやっている感じになってしまって、この映画で描かれている内容は、趣味とかそういうものではなく、人間の根本に関わることだし、ザ・ファクトリー=製造工場というのが、ピッタリなのよ。必要なものを作らせる工場。その題名の恐ろしさが最後に解かって、ゾッとするはずなのに、題名を変えたから、その恐怖が無くなっちゃったと思います。
内容は、私は、面白いと思いました。実話を基に作られていて、マジでこんな事があったのかと思うと、恐ろしいです。人間って、何処までも貪欲で、自分以外の人間は、道具くらいにしか思っていないのだということが、良く解かりますね。

この映画を観ていて思ったのは、誰もが自分を中心に考えて言葉を発しているから、気にしないで言っている言葉が、ナイフのように、人に突き刺さっているということ。主人公マイクは、妻と子供二人を持つ刑事。マイクは仕事熱心で、妻は、そんなマイクに不満を抱いています。はっきり言って、すべてが、この妻のせいじゃないかと思うほど、この妻は、人の気持ちを思いやれない人間で、でも、このタイプは、日本でも、主婦に多いよなぁと思いました。

マイクの妻は、自分は、早くに結婚して子供を二人産み、夫は公務員で不自由の無い暮らしをしています。だから、自分と同じように結婚して子供を持っていない人間は、不幸なのだと思い込んでいるんです。外の世界を知らないからだと思うのですが、不幸な女性だと思いました。子供を産んだからこそ自由を失い、人が経験しているたくさんの幸せを手に入れることが出来なかったと気が付いていない。井の中の蛙は、それはそれで幸せなんだろうけど、悲しいですね。子供だけの人生なんて、寂しいでしょ。
そして、マイクの妻に傷つけられる、マイクの同僚のケイシー。彼女は、30歳過ぎて独身で、刑事として頑張っています。私は、素晴らしいと思うのですが、マイクの妻からすれば、彼女は、結婚も出来ず子供も産めず、不幸な女性と思われていて、その一言一言が、彼女を傷つけているんです。そして、この何気ない出来事が、この事件を引き起こすきっかけとなり、人のしあわせとは、何が基準なのかということを、考えさせるのです。

女性だから、子供を産んだら幸せになれると思いますか?私は、子供を産む事自体は、10ヶ月も身体に寄生され、自分の身体を破って出てくるというのはエイリアンと同じに思えます。子供は、育てていく事が、すべて新しい経験となり、苦しみもあるけど幸せもあるんじゃないかと思うんです。だから、産もうが産むまいが、育てる事が、自分も育つ事となる。そういう考えで、この事件が起こる発端になったのかなと思いました。
普通、サイコサスペンスならば、犯人を憎んで当たり前なんだけど、このお話は、犯人にも理由があるというところで、ちょっと犯人に同情してしまう自分もいて、なんとも複雑でした。もちろん、猟奇事件を許すことは出来ないけど、でも、一般に言う善良な人々が、毒を吐いていて、その毒が事件を引き起こしているという事もありえるのだということを思いました。

この映画、私は、お薦めしたい作品です。ちょっと恐い場所もあるので、誰にでもお薦めという訳には行かないけど、出来たら、女性に観て欲しいなって思いました。女性の特性として、自分が一番幸せだと思いがちで、人に対しての心遣いが乏しいというところがあるので、この映画を観て、ちょっと考えて欲しいと思いました。私も気をつけないとと、考えさせられました。広い視野で何でも見るようにしないといけませんよね。本当に、気を付けよう・・・。
ぜひ、楽しんできて下さいね。