「イノセント・ガーデン」 一族の血は代々受け継がれ、恐ろしい結末を迎えることとなる・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「イノセント・ガーデン」の試写会に行ってきました。プレミア試写会だったようで、パク・チャヌク監督と、何故か、いまるさんがいらっしゃいました。パク・チャヌク監督と言えば、そうです、あの「オールド・ボーイ」の監督です。これだけでも、期待しちゃいますよね。


ストーリーは、

外の世界を遮断するように建てられた、大きな屋敷に暮らしている少女インディア・ストーカー(ミア・ワシコウスカ)。自身の誕生日に、愛していた父親が交通事故で帰らぬ人となってしまう。彼女は、母(ニコール・キッドマン)と葬儀に参列すると、そこへ行方がわからなくなっていた叔父のチャーリー(マシュー・グード)が突如として姿を現わす。彼と屋敷で暮らすことになるが、それを発端にしてインディアの周囲で不可解な現象が頻発するようになる。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ガーデン

やっぱり、パク・チャヌク監督作品だなって、最後に頷いてしまうような作品でした。彼の作品「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」「渇き」など、どれも、超後味の悪い作品なのですが、それが、とっても深くて面白いんですよ。特に、「オールド・ボーイ」を観た時は衝撃でした。今回は、既に、パク監督のことを知っているので、それほどの衝撃はありませんでしたが、やっぱり、後味が悪くて、目が話せなくて、超面白いという作品です。

インディアは、18歳になり、誕生日プレゼントを楽しみにしていたのですが、何故か今年は届かずに、鍵が一つ届きます。そこへ、父親が死んだという知らせが届き、悲しみに暮れる中、伯父のチャーリーと名乗る男が現れる。このチャーリー、とっても怪しげなんだけど、良さそうな人で、でも、謎が謎を呼び、インディアと母親を恐怖に陥れていきます。

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どこまで書いて良いのかしら。難しいなぁ。インディアは、お父さんっ子で、いつもお父さんと一緒に狩りに行っていて、母親とは、性格が合わないというか、本当に親子なのかという感じの空気が流れています。もちろん、親子なんですけどね。


この父親と母親と子供という関係なのですが、必ず上手く行くとは限りませんよね。性格が合わなくて、毛嫌いしてしまうこともあると思うんです。このインディアと母親もそんな感じなのですが、最後の方で、母親とは合わない理由が解かります。う~ん、父母のどちらの血が濃く受け継がれてしまったかで、これほどにも違うのかというか、たとえば、狩る者と狩られる者の違いのようになってしまうんです。猟師と獲物ですね。そりゃ、合わないよ。

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父親は、とてもインディアをかわいがり、世話を焼いていたようなのですが、どうしてそこまで父親が面倒を見て、付きっ切りで狩りを教えていたのかも、最後で解かります。父親から受け継がれているものだからこそ、父親が面倒を見て、正しい方向に向けて育てる為の手立てだったのでしょう。

遺伝的なものというのは、どうしても取り除くことが出来ません。だからこそ、その悪い部分が出ないように、工夫する必要があるのです。でも、それは一人で出来るものではなく、家族の協力あっての事だと思うんですけど、この父親は、母親にも本人にも、それを伝えていなかったというところが、間違っていると思うんですよね。家族なら、みんなで背負わないと・・・。難しいとは思いますが、考えて欲しかった。

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インディアは、父親が死に、折り合いの悪い母親と、初めて合う伯父との生活の中で、段々と独り立ちして、大人の”女”になって行きます。それは、恐ろしいほど毒々しい、まるで、真っ白なユリが、真っ赤なユリに変わるように、恐ろしい変貌を遂げます。短期間で、さなぎから蝶が孵るように。そして、大きな羽根を拡げた彼女は、大きく羽ばたきます。毒の燐粉を撒き散らしながら・・・。

それは、とても美しくて恐ろしくて毒々しい、またも後味の悪い終り方ですが、これが、また、深くて面白いんですよ。やっぱり、パク監督ですね。


でも、一つ言わせてもらえれば、この毒々しくて美しい恐ろしさは、アジア人の容姿の方が、より深く感じさせるような気がしました。西洋人がやると、色も白いし、アジア人的なマット感が出ないので、スッキリしてしまって、後味が悪いといいながらも、まぁ、いいかって、軽く流せてしまうような気がするんです。アジア人がやっていたら、流そうとしても下の方に砂が残ってしまう感じで、ああー、残るなぁって思うと思うんです。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ガーデン

私は、この映画、お薦めしたいと思います。但し、パク・チャヌク監督作品を観た事のある方の方が良いと思います。初めてだと、この深い真意が判らないかも知れません。この映画は、犯人を探す映画でもなく、謎を解く映画でもなく、少女の成長を描いているものなので、初めてパク監督作品を観る方だと、それが、良く読み取れないのではないかと思います。
ぜひ、楽しんできて下さいね。カメ




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