「藁の楯」を観てきました。これも、やっと観れました。試写会が、何度か当たっていたのですが、何故か、他の用事と重なってしまっていて、行くことが出来ませんでした。公開しても、映画祭と重なっていて、観れるまでガマンガマン。そして、やっと観れたわぁ~!!
ストーリーは、
少女が惨殺される事件が起き、殺人事件の懲役を終えたばかりの清丸(藤原竜也)が指名手配される。清丸を殺せば10億円の謝礼を支払うという新聞広告が出され、身の危険を感じた清丸は福岡県警に自ら出頭。清丸の命が狙われるという状況下、警視庁警備部のSP銘苅(大沢たかお)と白岩(松嶋菜々子)は凶悪犯を移送することになる。というお話です。

原作は、まだ読んでいないのですが、このお話、面白いですね。最初から最後まで、気が抜けないほどの緊迫感で、誰が正しくて誰が間違っているのか、良く解からなくなってくる。味方も信用が出来ないし、かといって、守る対象者が信用出来るかというと、まったく信用出来ないし、常に一人で仕事を全うするしかないという感じで、凄かったです。
まず、福岡の警察から空港へ清丸を運ぼうとするのですが、飛行機の整備士が飛行機に細工をしてしまい、空輸が出来なくなります。そして、急遽、車での輸送に切り替えるのですが、道路を逆走してくるタンクローリーが向かってきて、仕方なく、新感線での輸送に切り替えます。このCM予告で流れている内容だけでも、既に、すごいですよね。それから、どんどんスピードアップして、展開して行きます。

それにしても、10億円で変わってしまう人間が沢山いるのだという事を、良く表していましたね。確かに、10億あれば、仕事を辞めて、ただ生きているだけでも安泰ですもんね。でも、1人の人間を殺すのですから、罪は償わなくちゃいけないし、死刑にならないという確約は無い訳ですよね。もし、死刑になってしまったら、家族に10億行くのか、本人にしか渡さないのなら賞金を出さなくて良いわけでしょ。なんか、ちょっとどうなのかなぁって思いました。それに、10億貰ったのが国民全員に解かってしまう訳だから、今度は、自分が狙われるよね。どこまで行っても、殺しても得にならないような気がするのは私だけなのかしら。
なんか、清丸の輸送方法なんですけど、私なら、清丸を眠らせて、1万個くらいのダンボールのどれかに入れて、佐川やヤマトに宅配で頼むんだけどな。警察に届いたら、端から開けていけば良いでしょ。わざわざ、みんなで守っているから、居場所が判っちゃうんで、最初から、誰も、どこに入っているか分からなければ、どうしようもないよね。

会社で話していたら、じゃ、輸送しなくていいじゃんっていう話もありました。裁判を福岡で出来るようにすれば、何てこと無かったんじゃないのって。最高裁の判事が移動して、地方でも開ける裁判のやり方ってあるらしいです。私は、知らなかったんだけどね。輸送しないで、裁判して、判決が出れば良いんでしょ。送検も問題ないらしいですよ。う~ん、命賭けて輸送って、無駄じゃん。
でも、でも、面白かったです。そうやって、穴を考えるのも面白いけど、素直に、映画、楽しめました。なんたって、キャストが凄かったです。大沢さん、最後の最後まで冷静に対処しようとするけど、爆発するところもあって、人間はこういうもんだよなって思いました。松嶋さん、年齢にあった役で、”ミタ”の時より人間的で、これから役の幅が広がるのではないかと思えるような演技でした。永山くんは、珍しく、荒っぽい役で、あ、こんな役もイイねって感じでした。
他の出演者も、みーんな怪しそうで、特に、山崎さんは恐そうで、良かったなぁ。やっぱり、山崎さんが出ると、重くなって良いですね。今、大御所が、結構、お亡くなりになっているから、山崎さんには、もっともっと頑張って欲しいです。とっても、好きです。

そうそう、藤原くん、クズの中のクズでしたねぇ。清丸役、上手かったね。善人から悪人まで、幅広く演じられる人だから、毎作品、楽しみです。今回は、クズで変態って、マジですごい役でした。面白かったなぁ。どう考えても、こんな奴、殺したくなるよね。10億円貰えなくても、殺したいわ。
こんなクズ、最近、多いですよね。どうしてそんな人間を生かしておくんだろうって思うけど、殺すわけに行かないし、問題です。一人殺したのでは、ほとんど死刑にならないし、刑務所でも、そういう人間は大人しくて勤勉だろうから、すぐに出所してくるでしょ。必ず再犯するんだよね。日本の再犯率って、すごく高いって知っていますか?特に性犯罪はトンでもない数字なので、性犯罪者には、チップを埋め込むとかして欲しいです。何度も書くけど、それが出来ないなら、性器を切除ですね。ロボトミーは問題だから、そうするしか無いでしょ。本当に、考えて欲しい。いつも犠牲になるのは、弱い人間ばかりで、助けられないっていうのは、もどかしくて耐えられません。
映画の話に戻りますが、蜷川は、何故、SPのこの二人を、清丸の警護に付くように仕向けたと思いますか?詳しくは、映画を観なければ、何のことか解からないと思いますが、観た後に考えると、どう考えても、自分の暴走を止めてくれるのではないかという期待があったのではないかと思いました。
憎い相手を殺して欲しい、孫を殺した男を殺して欲しい、でも、それが、人間として間違っているということを理解していて、それなら止めれば良いだろうと思うけど、でも、やらずにいられない遺族の悲しみというものが、とても良く表現されていたと思います。殺されたら、殺したい、当たり前の考えなんだけど、社会に生きている人間という高度な生き物として、本能のみで行動することが、性善説に引っ掛かり、心の負担になってくるということが、良く分かります。
この映画、ストーリーが本当に良く出来ているし、三池監督の派手な良さが、目一杯出ているので、本当に楽しめる1作だと思います。私は、超お薦め映画です。観た時は、その迫力に圧倒され、とても楽しめて、観た後に、復讐とは何なのか、10億円の報酬というものがいったい何だったのか、深く考える題材になり、またも楽しめます。2度美味しい作品ですね。
ぜひ、楽しんできて下さい。これほど面白いなら、カンヌのコンペに選ばれても当たり前って気がします。
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