【イタリア映画祭】「日常のはざま」繊細な感性を持つ子供の頃から、ギャングに影響される悲劇。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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イタリア映画祭、8作目は、「日常のはざま」を観ました。


ストーリーは、

ドキュメンタリーの分野で活動し続けてきたディ・コスタンツォ監督が、ナポリの郊外に生きる10代の少年少女の心の移ろいと置かれている現実をじっくりと描き出す初の劇映画。荒れ果てた無人の建物に拘束されるヴェロニカと、理由も知らずに彼女の監視を強いられるサルヴァトーレ。反目する二人だが、同じ時間を共有するうちに二人の関係に変化が生じ始め、拘束の理由も明らかになっていく。ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門で国際批評家連盟賞などを受賞。

というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-日常のはざま

イタリアの貧困層で起きているギャング組織などの問題に左右されてしまう若者たちのお話なんですが、とても繊細な映画で、小さな感動がたくさん詰まっていました。美しい映画です。


ヴェロニカとサルヴァトーレは、ギャング組織に所属している訳ではないんですが、その地域に暮らしているというだけで、組織に利用されてしまうんです。抜けたくてもその地域に住んでいる限りは、ギャングから離れることは出来ないし、逆らうことは許されない。本当に、悲しい現実ですよね。そんな混沌とした世界で、二人の少年と少女は、出会い、僅かな時間の中で、交流をしていくんです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-日常のはざま

ある事をしてしまい、ギャングのボスに捕まってしまったヴェロニカは、廃墟になった寄宿舎に連れて行かれ、監禁をされます。監禁と言っても、拘束される訳ではなく、その場所から出れないというだけで、その建物の中は自由に動き回れます。その監視役として、サルヴァトーレがつけられます。二人は、まだ若くて、確執もあるけど、なんとなく馴染んで行き、その建物の中を探索して行きます。


その寄宿舎では自殺があったらしく、その女性の肖像画に花を供えようと、外に花を摘みに行き、花の美しさに、二人は感動します。そして、その庭に鳥が飛んできて、鳥が身づくろいをしているのを見て、雨が降る前兆だとヴェロニカに教えるサルヴァトーレ。ほんのちょっとした事なんだけど、暗い世の中で、美しい自然の奇跡などに触れて、二人の心が和んでいく姿が見えて、まだ、こんな若いのに、社会に振り回される悲劇を、本当に変えてあげたいと思いました。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-日常のはざま

そうそう、寄宿舎の奥で、犬が子供を産んで育てているのを見つけるんです。サルヴァトーレは、自分に母親がいなくて、父親と生活しているので、その犬の母子を見た時、すごく優しい顔になって、母犬の頭をやさしくなでるんです。セリフは無いんですけど、犬に「お前はこんなところでも、一生懸命子供を育てていてすごいね。」って言ったように見えて、感動しました。自分はもらえなかった愛を、犬は子犬に与えていて、この社会が間違っているのだということを、暗に記しているように思えました。


若い頃に出会う出来事って、どんな事でも、初めてのことだし、感動があると思うんですね。そして、その感動が出来る人間は、きっと、未来があるのだと思うんです。小さな出来事に感動出来る人間は、色々な事に目が行き、新しい事を考えられるし、新しい物を見つけられる。だからこそ、若い頃には、沢山の物に触れて欲しいし、沢山の勉強をして欲しい。環境が悪くても、自分の感覚だけで、色々な物を取り入れられます。自然に触れ、映画や本にも触れ、自分の中身を増やして欲しい。誰もが、若い人に期待しているんですよ。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-日常のはざま

私は、この映画で、どんな世の中に居ても、もしかしたら、自分の感覚を信じて、新しい世界に抜けていける若者たちがいるのではないかという期待を感じました。どんなに辛い世界でも、いつの日か、その囲いを抜けて、幸せな世界に旅立って欲しいという願いが見えました。


とても美しい映画です。光と暗闇のコントラストと、恐ろしいギャングの世界に暮らしながらも、やさしさを持って生きている二人の若者の対比が、とても上手く纏められていて、良かったと思います。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-日常のはざま

この映画、日本公開してくれるかなぁ。イメージシアターフォーラムとかでやってくれそうな映画なんだけど、どうかしら・・・。

もし、公開されたら、ぜひ、観てみてくださいね。とても美しい映画です。感動しますよ。カメ





イタリア映画祭 2013     http://www.asahi.com/italia/2013/