イタリア映画祭、2作目は、「綱渡り」です。
ストーリーは、
一つの過ちをきっかけに、順調な人生があっという間に崩壊していく一人の男とその家族を通して、現代社会に生きる人々の不安定さが鮮明に浮かび上がるドラマ。40歳のジュリオは、妻と二人の子どもと幸せな家庭を築いているかのように見えた。だが、職場の同僚と不倫をし、それが妻にばれてしまう。家を出るジュリオだが、仮住まい先はなかなか見つからず、状況は深刻になっていく。家族の前では救いの合図が出せない男の姿が実に切ない。ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門出品。
というお話です。
この映画、お父さん方、観ていて、とても辛いと思います。真面目に生きていらっしゃる方々が多いと思いますが、もし、一歩間違えてしまうと、ここまで落ちてしまうのかということが描かれていて、もう、あまりの辛さに、涙が出そうになってしまいました。

ちょっとした出来心で浮気をしてしまったジュリオは、家を追い出されちゃうんです。ま、女としては、そうするのが当たり前だよね。出て行ってよって言うよね。で、ジュリオは、家族の生活費も出しながら、自分が住む場所も確保しなければならないし、生活もしなければならない。今までは、家のローン(家賃かも。)を払って、子供を養育して、お給料だけで出来たけど、その上、新しいアパートを借りたりするお金は無いんですよ。どう考えても、給料だけでは回らなくなってしまうんです。
最初の頃は、なんとか、色々やり繰りをするのですが、妻や子供は、前と同じようにお金があるものと思って、簡単にお金を要求するけど、要求されても出すお金が無い。どんどん窮地に追いやられて、アルバイトを探したりするのですが、上手くは行きません。ここまで読んだだけでも、辛くなってくるでしょ。

そして、住む所も無くなり、だけどプライドがあるからホームレスにもなれず、でも、お腹が空くから炊き出しみたいのに行ったり・・・。もう、ここから先は、言えません。ジュリオは、公務員なのに、どんどん落ちて行って、仕事を持ちながらも、酷い生活になっていくというのを、生々しく描いています。
この映画、細かく説明するより、日本で公開して欲しい。本当に、この映画、今の日本の状況と同じだと思いました。だって、働いていても、普通の生活が出来ない人って、沢山居るでしょ。それを描いているんですもん。どれだけ生活保護を受けている人が裕福で、保護を受けていない頑張っている人が大変なのかという事が判ります。だからこそ、生活保護は、現金を渡すのを止めなさいって言ってるの!頑張っている人間が報われないって、おかしいでしょ。

いやぁ、本当に、イタリア映画ながら、邦画を観ているようでした。お父さんがどれくらい大変なのか、みんな解かった方が良いですよ。働いて、住む所を提供し、子供を育てて、妻を養って、ホッとする場所も無い。お金は、これだけしか貰っていないんだから、これだけの生活しか出来ないんだよって言えれば良いけど、妻は、それ以上の物を望む訳でしょ。友達とホテルのランチに行く妻を横目に、お父さんんは、パン1個と牛乳でガマンしていたりして、酷いよね・・・。いやぁ、そういう事、子供も理解した方が良いですよ。

主人公のジュリオが、最後は、どうなって行くのか、ぜひ、皆さんに観て欲しいです。これ、本当に日本公開して欲しいなぁ。絶対、共感してもらえると思うし、話題になると思う。いや、話題にならないと、おかしいでしょ。これほど生々しいんだもん。本当に、みなさんに見せたい映画です。
あ、でも、公開する時、邦題は変えて欲しいな。”綱渡り”だと、ちょっと直接的なので、カッコイイ名前を付けて欲しい。”琴線の上の蟻”とか、なんか、ちょっと長めの名前を希望です。
機会があったら、ぜひ観てくださいね。
イタリア映画祭 2013 http://www.asahi.com/italia/2013/