19日に公開だったので、初日に観てまいりました。
ストーリーは、
エイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)が、大統領に再選された1865年。アメリカを内戦状態に追い込んだ南北戦争は4年目に突入したが、彼は奴隷制度を永遠に葬り去る合衆国憲法修正第13条を下院議会で批准させるまでは戦いを終わらせないという強い決意があった。そのためにも、国務長官ウィリアム・スワード(デヴィッド・ストラザーン)らと共に憲法修正に必要な票を獲得するための議会工作に乗り出す。そんな中、学生だった長男ロバート(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が北軍へと入隊し……。
というお話です。
リンカーンと言えば、アメリカで一番有名な大統領なんですけど、イマイチ、何を成し遂げたのか、解からなかったのですが、この映画で、本当にすごい人だったんだなぁと思いました。政治家の中の政治家であり、頭を使って、国をまとめていったということが、良く解かりました。
やはり、政治家も人間だから、得をしたいですよね。だから裏取引が存在し、それを上手く使って国を動かしていくというのは、政治家として当たり前の事です。全てがオープンなんて言っている様では、良い国なんて、出来るわけが無い。そんな重要なことを良く解かっていたのがリンカーンであり、彼は、本当の政治家であったと思います。

キレイ事なんて言ってたって、何も動かない。作戦を打って、周りを騙して、国を正しい方向に導いて行くことは、間違ったことではないし、騙された国民も、その時には解からなくても、必ず理解出来る日が来るんです。だからこそ、リンカーンは偉大な大統領として語り継がれることになったのだと思います。それほどの情熱と意志を持った政治家は、日本では見たこと無いですね。
でも、家族といる時は、普通の父親であり、妻のヒステリーに手を焼き、そこら辺に居るお父さんと同じなんです。仲間と議論している時は、とても楽しそうで、名残惜しいけどって感じで、その場を離れて、家族の元に帰るんですけど、いやぁ、解かるなぁって思っちゃいました。だって、男の人って、結構、家に帰りたくない人多いですもんね。(笑)夫に聞いたら、うちは、いつも一緒に居られるわけではないから一緒にいたいと思うけど、いつも一緒だったら、そりゃ、ウザくなるでしょって言ってました。(笑)
リンカーンの「人民による人民の為の政治」という有名な言葉があるでしょ。本当に、基本的な事なのに、その基本をやるのがどれだけ難しいのか、実際の政治を見ていても解かるけど、この映画でも、そのことがキチンと描かれていました。難しくても、自分達の国は、自分たちで良くしていかないと何も変わりません。その時は苦しくても、必ず未来のためになると思えば、強行に推し進めていく事も必要なんです。
先日観た「木の上の軍隊」という舞台の時も感じましたが、日本は今でも、「アメリカ人による、アメリカに都合の良い憲法」を変える事なく使っています。この映画を観ると解かりますが、憲法と言うものは、自分たちが自分たちの為に作るものであって、人から与えられた憲法を使うなんて、国として成り立っていないということです。

この映画を観て、国を創るとは、国というものを進歩させていくということはどういう事かという事を、日本人も考えた方が良いと思います。今の憲法がすべて間違っているとは言いませんが、今のままではイケないのだということを、気がつかないという能無しにだけは、ならないで欲しいです。同じような内容でも、日本人による、日本人の為の政治をするための憲法を制定する必要があるんです。
本当に、この映画を観て、日本という国が成熟していないということを感じてしまいました。アメリカは、既に、100年以上前に、自分たちによる自分たちの法律を、議論していたんです。日本は、今やっと、議論するのかしないのかと言っている状態。本当に恥ずかしいことです。
リンカーンという人の生き様を観て、今一度、考えて欲しい。もちろん私も考えて行きたいし、もっと勉強して、どうすることがこの国にとって良い事なのか、誰に政治を任せたら良い方向に向いていくのか、見極めたいと思いました。

私は、この映画、すごくお薦めしたいと思います。アクションとかコメディとかのように、面白くはありません。途中で、ちょっと眠くなるかも知れない。でも、必ず、観た後に価値があったと思えると思いますよ。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・リンカーン@ぴあ映画生活