「ホーリー・モーターズ」 人生は一つの舞台と同じ。全てが夢であり演技であり真実である。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「ホーリー・モーターズ」を観てきました。


ストーリーは、と言うのか、これ、ストーリーなのかなぁ、あらすじは、

夜もふけた頃に、ホテルの部屋で目を覚ました男レオス・カラックス(レオス・カラックス)が、隠し扉を発見し下りていくと顔のない観客たちであふれた映画館へと続いていた。一方、オスカー(ドニ・ラヴァン)は豪邸から子どもたちに見送られて真っ白なストレッチリムジンに揺られて出勤。美しい女性ドライバーのセリーヌ(エディット・スコブ)が車のそばで彼を待っており……。

というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ホーリー

私、カラックス監督の作品は、初めて観たんです。これ、慣れている方なら完璧に理解が出来るのかも知れませんが、初めての私には、最初、意味が解からず、段々と、人生のコラージュをしているかなって思えてきました。自分の中で、観ながら租借をして行く映画なのだと、勝手に解釈し、ストーリーを追わずに、感覚で観ていくことにしたら、何となく、自分が勝手に理解出来てきたかなって思えてしまいました。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ホーリー


古い映画へのオマージュが沢山あるようなのですが、どこかで観た事があるようなシチュエーションだったりはするのですが、何とも、古い映画を知らないので、そのオマージュが解からずに、ちょっと悲しかったです。でも、解からなくても、ステキな映画でした。


はっきり言いましょう。ストーリーとか、理由とか、色々な事を考えてしまうと、解からなくなると思うので、何も考えずに観ることをお薦めいたします。考えれば考えるほど、辻褄が合わなくなる。最初は、その人がオスカーだったのに、今のオスカーは誰?みたいに、頭の中がもにゃもにゃになります。だから、その場その場で、目で観て、感じることで良いと思います。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ホーリー


まるでコラージュなんですよね。色々な人の人生のコラージュなんです。オスカーが演じているけど、それぞれの人物がそこに居て、息づいている。いやぁ、面白いです。どの人生にも、そういう状況になる理由があり、だけど、それについては一切、説明してくれない。だから、自分の頭の中で創りながら、その人間の人生を観ていくんです。そう、映画の中でもコラージュが行なわれていますが、観ている自分と映画の内部とでも、コラージュを勝手に行なっていくんです。それが、なんとも楽しくて、不思議な感覚で、私は、とても気持ち良くなりました。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ホーリー

私、この映像がとか、なんだか難しい事は言えないけど、どの映像も、まるで写真集を観ているようで、その絵だけで感動出来ました。映画っていうか、映像集みたいに美しいんです。モーションキャプチャーを付けて、女性と縺れ合うシーンがあり、それが、CGアニメとなって現れるんです。それが、不思議な感じで、とてもエロティックに見えました。描き方によって、こんなにもエロく見えるんだなって思いました。

宗教的に問題を投げているのかなと思ったのが、モデルと逃げる内容の場面で、モデルが着ていたドレスを、まず、イスラム系の女性がよく着ているニカーブ風に作り変えるんです。それで満足した彼は、自分が全裸になり、彼女のベールを上げて、彼女の膝枕で横になります。その姿は、キリストのピエタそのものでした。イスラム教もキリスト教も、ベール一つの違いしか無いということを言っているようで、感動しました。宗教なんて、そんなものなのに、戦争なんてしないで欲しいというようでした。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ホーリー

色々な話の中に、色々な訴えることがあり、そして、最後に、パンフレットに書いてあるのですが、車庫に並ぶリムジンたちが、「人間はもう、見える機械を望まない」「モーターを欲しがらない」「もはや行為を望まない」というセリフがあるんです。ここで、あれ?っと気が付くと思うのですが、オスカーが何人も居るように思えたこと、たくさんのリムジンがあること、ということは、クローンなのか、それとも人間に見える機械なのか、既に人間が居ないのか、それともマトリックスのような世界なのか・・・。

ラストで、また、すごい考えが広がっていき、また、最初から観たいと思うと思うんです。これ、リピーターが増えると思うんですけど、中毒性があるような映画だと思いました。また、観たくなるんです。もう一度見せてって言いたくなる。私は、すごく面白くて、楽しめました。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ホーリー

この映画、話を楽しむ方には、ちょっとチンプンカンプンになるかも知れませんが、感覚で観れる方には、とてもお薦めです。特に、映像や美術、芸術などなどをやっている方には感じるところがあるんじゃないかな。細かいこだわりも多くて、何度も観たくなります。私は、お薦めしたい作品です。
ぜひ、楽しんできてくださいね。

ああー、また感想が長くなってしまったぁ。ごめんなさい。また、観に行ってこよっと。カメ

ホーリー・モーターズ@ぴあ映画生活


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