「桜、ふたたびの加奈子」を観てきました。
ストーリーは、
小学校入学前の娘、加奈子を亡くした容子(広末涼子)。この世にいない娘に話し掛けたり、食事を作ったりする容子に、夫の信樹(稲垣吾郎)は心配しながらもイライラしていた。そんなある日、容子は妊娠中の高校生・正美(福田麻由子)に出会う。そして生まれてくる正美の子どもこそ、加奈子の生まれ変わりだと確信し……。
というお話です。
映画としては、とても良い映画だと思うのですが、辛かった・・・。あまりにも、子供を亡くした母親の悲しさが伝わってきて、女性なら、母親の容子にとても感情移入出来ると思います。だって、かわいくてかわいくて、やっと小学校に入学するまで育ててきたのに、あっという間に目の前から消えてしまうなんて、母親なら、気が狂うと思います。中学高校になって死んでしまうのと、これからっていう子供の時に失うのとでは、もちろんどちらも悲しいけど、違うと思うんですよね。一番かわいい時じゃないですか。これは、辛いよ・・。
自分の身体の一部をもぎ取られたと同じだと思うんです。もちろん、父親も悲しんでいるのは解かるけど、その辛さは、やっぱり、母親と父親だと違うんじゃないかなぁ。それに、男性って、やっぱり現実に生きているでしょ。この映画でも、稲垣さん演じる信樹が、「そこに加奈子は居ないんだ。」って言うんですけど、確かに、男性がそう言うのも解かるし、容子が「ここに居る」って思うのも理解出来るんです。これは、男性と女性の脳の構成の違いですよね。気持ちで行くのと、理屈で行くのと、違うんです。
子供を亡くした夫婦を、良く描いていたんじゃないかと思います。本当に亡くされた方の苦しみは計り知れないけど、経験したことの無い苦しみだということは、少し理解出来たような気がします。そして、その苦しみの中で、かすかな希望が見えてくるのですが、それは現実に生きて行く上では、他人に理解してもらうのは難しい話なんです。
たとえば、自分の子供に向かって、他人が”家の子の生まれ変わりなんです”って言って、近づいてきたら、気持ち悪いし、何言ってんですかっ!って怒ってしまいますよね。自分の子供のストーカーになるんじゃないかと思って、恐ろしくなると思います。そんな、変な事を言われる側の夫婦の姿も描いていて、そりゃ、解かるよなぁって思いました。まぁ、この映画では、知り合いの子供なので、ただ単に怒って恐がるようには描いていないんですけどね。
どちらの気持ちもすごく解かるし、でも、何処まで行っても解決することではないし、そのままでは、未来も見えてこないことが解かっている。苦しみながら、夫婦が再生していく姿が描かれていて、感動しました。
やっぱり、広末さん、上手いなぁ。本当に共感出来たもん。それに、稲垣さん、珍しく普通の男性の役で、あー、夫って、そうだよねーって思える場面が沢山ありました。夫って、解かってくれていそうで、解かってないんだよねぇ~。それに対して腹を立てても仕方がないので、ま、いいかで済ましているんですけど、子供が亡くなったりした時は、いいかじゃ済まないもんね。でも、この夫は、結構、我慢強いタイプだと思いました。
私、この映画、とてもお薦めしたいけど、園児~小学生くらいのお子さんがいらっしゃる方が観たら、どうなんだろう。自分に同じことが起こったらどうなるんだろうと思って、恐くなってしまうかも知れない。だから、もし、お子さんが居て、共感するのが恐い方は、ちょっと考えてから観に行ってくださいね。
ぜひ、楽しんできて下さいね。
・桜、ふたたびの加奈子@ぴあ映画生活