今日は、「伏 鉄砲娘の捕物帳」を観てきました。やっと、ジャック&ベティ(映画館)で上映が始まりまして、観る事が出来ました。パンフレットを購入したら、監督のサイン入りで、ちょっと得した気持ち。(*^。^*)
ストーリーは、
祖父の死を受けて山を下り、江戸へとやって来た猟銃使いで14歳の少女、浜路。そこで浜路は、人と犬の血を引きながら、人に化けて暮らす「伏」の話を耳にする。伏は人の生珠(いきだま)を食べ、凶悪事件を起こしているという。そんな中、浜路が出会った信乃と名乗る犬の面をつけた白髪の青年は、深川一座にて伏姫を演じる人気役者で……。というお話です。

江戸の情景がとてもカラフルで美しく描かれていて、IG作品の「ゴースト・イン・ザ・シェル」や「イノセンス」で描かれた町と、相対するような感じでとても惹かれました。IG作品だと、ちょっと夢の世界のようで、暗さを伴うのですが、この江戸の町は、人が活き活きと生活しているというような、活気が表現されていて、そこで捕物が始まるのかと思うと、ワクワクするような感じでした。
パンフレットに、大江戸ブレードランナーのように書いてありましたが、確かに、ブレードランナーですよね。伏は、追われるレプリカント、浜路は、追う警察という形態。人の中に紛れている伏を見つけて、殺すことが仕事なんです。

元々の八犬伝だと、浜路は、里見のお姫様なのに、誘拐されていて、敵の一人になっていたような気がするんですけど、今回は、元の八犬伝で言う敵方が主役で、犬とされる方が、人間を喰う悪役になっているんですよ。この伏は、妖怪っぽくて、人の魂を食べるんですね。でも、どうも、ヴァンパイアと同じで、魂を食べないで、他のものでガマンをすることも出来るみたいでした。喉が渇きすぎちゃうと、ちょっと、ガマンの限界ってこともあるようでしたけど。
江戸に来て、初めて浜路が出会ったのが、信乃という伏でした。伏とは知らずに、仲良くなってしまう浜路。その出会いが、伏の運命を大きく変えていくとは思わずに・・・。二人は、八犬伝と同じように、惹かれ合うのですが、人間と伏、猟師と犬の関係であり、運命を変える事は出来ないんです。そして、二人が出した決断とは。

伏は、人間の魂を喰うから殺すようにという命令が出て、沢山の賞金稼ぎが伏を追うのですが、人間だって、牛や豚、鳥、馬を食べていますよね。肉を食べているんだけど、魂を食べてるのと変わりませんよね。自分達はやっていいけど、他の動物がやったらダメって、なんか、不公平じゃありませんか?大人しく食べられるのもイヤだけど、でも、相手を全滅させるっていうのも、生態系を壊してしまう、横暴なやり方ですよね。やっぱり、人間が、地球では、一番の悪だな。
猟師として育ってきた浜路は、山で動物を狩っていた時から、狩る者と狩られる者には、繋がるときがあると感じています。一瞬でも繋がれば、狩られる者は、狩る者に絡め獲られ、逃げることが出来なくなるように思えました。それは、人間と動物の契約のようなもので、命をやるから、その代わり、乱獲をするなとか、大切に食べてくれとか、そういうものがあると思うんです。命を差し出してくれた者に敬意を払い、ありがたく頂くという、そういう気持ちが、昔の日本にはあったんですよね。

浜路は、子供の頃から猟師として育てられ、男のようだったのに、信乃と出会い、惹かれ合い、女として成長して行きます。女の子って、恋をすることによって、女になって行くんですよね。精神的にも、身体的にも、全く変わって行きます。まるで、リンゴを食べた最初の人間のように、恥ずかしいという気持ちが強くなり、身体も滑らかになっていく。本当に、ホルモンって、凄いわぁ。(笑)

なんか、無駄な事を随分書いてしまいましたが、私は、とっても面白く観せて頂きました。悲しくて、面白くて、ドキドキして、何故か、アニメなのに、最後、信乃の気持ちを思ったら、泣けてきちゃいました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。映像も素晴らしいので、納得出来ると思いますよ。
もう、大きなところでの公開は終っているので、DVDが出たら、ぜひ観てみてくださいね。
・伏 鉄砲娘の捕物帳@ぴあ映画生活