今日は、ぴあさんが募集した「耳なし芳一」の舞台稽古見学という企画があり、応募したら当選いたしまして、ドキドキワクワクしながら行ってきました。
今回の「耳なし芳一」は、神奈川芸術劇場で上演され、演出が宮本亜門さんがされています。原作は、皆さんもご存知の通り、ラフカディオ・ハーン=小泉八雲さんですね。そのお話を、ちょっと新しい感じで舞台化したようでした。

もちろん、稽古では、一部しか見せていただいていないのですが、観ていたら、平家の亡霊が、芳一を迎えに来るのですが、芳一を取り込む場面を執筆している小泉八雲にも手を伸ばし、彼をも、連れて行こうとするような、そんな不思議な感じで、日本の怪談というものの恐ろしさを捕らえて、とても良く描いているような内容で、ほんの少しなのに、引き込まれました。
芳一を山本裕典さん、平家の亡霊を安倍なつみさん、小泉八雲を益岡徹さん、他にも脇を固める方々がいらっしゃいました。
ほんの一場面だけの稽古だったのですが、芳一を演じる山本さんと亡霊を演じる安倍さん、最初の演技を始めてから、亜門さんが、どんどん、”気持ちはこうだから怒りをぶちまけて。”とか、”そこで確信が持てて、よしっていう感じで答えて。”などなど、演出をつけていくと、どんどん二人の演技がッ変わって行って、観ているこちらも、どんどん引っ張られるんです。悔しくて、悲しくて、恐くて、辛くて、それぞれ、その場面の気持ちが弾けていくんですね。こういう稽古って、初めて観たので、驚きました。凄いです。作り上げていく過程って、本当に凄いんですね。
山本さんも安倍さんも、亜門さんに言われると、直ぐに、それを感じて、表現していくって、本当にプロなんだなぁって思いました。出来上がったものに対して、簡単に文句を言ってしまうことがありますが、色々な過程を経て作り上げてきたものを、簡単に評価してしまうことが、どれほど薄っぺらい事かと思い、ちょっと恥ずかしくなった次第です。
この「耳なし芳一」、みなさんが昔から知っている古典とは、一味違うかも知れません。亡霊などの表現を、海外の映像アーティストの方がどうしようか考えているようですし、大掛かりなものから、小さなものまで、こだわって創りこんでいるようでした。

あまりにも稽古の様子を観て、面白そうだったので、公演チケットを購入してきました。4月は、演劇をたくさん観る予定で、結構、予定がビッチリなのですが、どうしても観たくなってしまって、無理やり入れてしまいました。こんなすごい稽古を見たんじゃ、本当の舞台を観ない訳に行かないでしょ。(笑)
稽古中に、使っている人形が壊れたみたいで、ちょっと騒いでいた時に、安倍さんが、とっても優しく、”こんな事もあるんですよ。”って微笑んで下さって、あまりにも自然に気遣ってくださったので、本当に人柄の良い方なんだなぁって思いました。あんなに美しいのに、心も美しいなんて、天は二物を与えるのね。(笑)
今日ほど、演出家という仕事が凄い事なのだと感じたことはありません。舞台を観ると、つい、その世界に引き込まれてしまうので、演出されているということを忘れてしまうのですが、すべて、演出家が作っているんですよね。確かに、有名な演出家の舞台は、面白いもんなぁ。演出家という仕事に感動しました。宮本亜門さんの演出は、本当にスゴイ!
「耳なし芳一」の舞台、とても楽しみです。
また、観た後に、感想を書きますね。神奈川芸術劇場は、家からとても近いので、とても楽です。もっと、色々な舞台を観に行きたいな。新しいので、ホールはとても観やすくて、キレイですよ。
「耳なし芳一」 神奈川芸術劇場 http://www.kaat.jp/pf/miminashi2013.html
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