「ザ・マスター」 宗教とは、カリスマとは、人間では無くなった彼は、何処へ行くつもりなのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ザ・マスター」を観てきました。アカデミー賞でも話題になっていたし、トム・クルーズが入っている宗教サイエントロジーを題材にしていると聞いたので、とても興味を持って、観に行きました。


ストーリーは、

第2次世界大戦後のアメリカ。アルコール依存の元海軍兵士のフレディ(ホアキン・フェニックス)は、「ザ・コーズ」という宗教団体の教祖ドッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)に出会う。やがてフレディはドッドを信頼し、ドッドもフレディに一目置くように。そんな中、ドッドの妻・ペギー(エイミー・アダムス)は暴力的なフレディを追放するよう夫に進言し……。

というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-マスター

戦争の後遺症で、アルコール依存症になってしまったフレディ。戦争で、とっても恐ろしい体験を沢山して、忘れる為にアルコールに逃げるしかなかったんです。そんなボロボロのフレディが、ある時、偶然に出会ったドッド。彼は、新興宗教の教祖で、何故かフレディに興味を持って、自分の手元に置く事にします。そこから、フレディは、ドッドの宗教の勉強をし始めるのですが・・・。


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宗教って、やっぱり恐いなぁって思いました。もしかしたら教祖は、空想能力が強く、自分の考えている事を現実と思い込んでしまうような人間かも知れないのに、周りの人間が、それは奇跡なのだと祭り上げ、どんどん、教祖として作り上げていくという構図が、この映画の中に見えました。教祖は、祭り上げられ気持ち良くなり、どんどん幻想を膨らましていく。周りの人間は、金銭的に裕福になっていく。これが宗教団体の成り立ちですよね。

そんな中に突然入ることになったフレディは、自分もその中の一員になろうと努力します。それは、ドッドに惹かれたから。それは、教祖としてのドッドではなく、人間としてのドッドに惹かれたのだと思います。だから、自分の前にいるドッドと、教団が作り上げるドッドとのギャップに、段々と馴染めないというか、違和感を感じ、自分だけ疎外感を感じ始めます。

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私も、このフレディと同じタイプだと思うんですけど、どんなに好きな人が居ても、その人に従属するような生き方は出来ないんです。友達としては付き合えるけど、支配者=マスターとしては考えられない。人に従い、彼が黒と言えば、白いものも黒と言うなんて言う事は出来ないんです。宗教というものは、教祖が黒と言えば黒でしょ。でも、それは、自分の脳の機能を使わなくなるということでしょ。人間では無くなってしまうんです。

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とても静かな映画なんですけど、進んでいく内容は、すごく深くて黒くて、もし、その穴に落ちてしまったら抜けられなくなるような、そんな恐怖が漂っていて、恐ろしくなりました。平然とした顔で、とても良い人ばかりに見えるのに、その心の中には、ドロドロしたものが渦巻いていると思うと、恐くなります。

確かに、傑作だと思いますが、その恐ろしさを感じられる人は、少ないかも知れません。本当に静かで、キャラクターそれぞれの心の動きを追っていくように観ないと、恐ろしさを感じる事が難しいんです。ただ、ストーリーだけを追っていると、心の中の恐怖は見えなくて、ただ、男が宗教団体に入ってどうしたってことしか解からないと思います。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-マスター

私は、この映画、単館系の映画などに慣れている方にオススメしたいと思います。楽しんで観ようとしても、この内容は難しいと思います。でも、心の動きを追って観ると、壮絶な話が見えてきます。宗教というものの恐怖を、良くその目で観てきてください。そして、出来たら、間違った宗教観を持たずに、人間として生きる中に、少しの潤いを入れるための宗教だということを確認して欲しい。宗教に振り回されたり、生活の糧になってしまうのは、間違いだと思いますよ。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




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