「シャドー・ダンサー」を観ました。
ストーリーは、
1993年、IRA(アイルランド共和国軍)を支持するシングルマザーのコレット(アンドレア・ライズブロー)は、ある爆破未遂事件の容疑で逮捕されてしまう。そしてMI5(イギリス情報局保安部)の捜査官マック(クライヴ・オーウェン)から、幼い息子と離れて25年も服役するか、IRAの内部情報を渡すかという究極の選択を迫られる。息子との生活を選んだ彼女は、仲間の厳しい追及にさらされていき……。
というお話です。
この映画、う~ん、日本で公開しても、イギリスと北アイルランドの紛争の事って、ほとんど大きなニュースとして報道されていないし、何が原因で紛争になったとか、どうしてテロ行為をいつまでも続けるのかとか、良く解かっていないのに、その地域でのスパイの話をやられても、普通のスパイ映画としては観れるけど、二つの国(イギリスとアイルランド共和国)の深い関わりを知っていれば、もっと難しい事が色々と描かれていると思うんですよね。
この話は、北アイルランドで活動を続けているIRAとイギリス諜報部の情報戦を描いています。北アイルランドは、アイルランド地域にあるのに、今だ、イギリス統治下にあり、IRAが独立の活動を続けて、テロを繰り返しているんです。でも、去年、エリザベス女王がアイルランドを訪問したことをきっかけに、和解が進んでいて、これから平和になるのかなっていう時らしいのですが、そんな中でも、強行はのIRAは、まだ活動を続けているという予想に基づいて、このスパイの話が作られたように思えました。
家族でIRAの仕事を手伝っているコレットは、辞めたくても辞められず、爆弾の設置を命じられ、設置後に捕まってしまいます。そして、MI5のマック(クライヴ・オーウェン)にスパイになれば逃がしてやるという交換条件を出されます。子供の為に、仕方なくスパイを引き受けるコレット。でも、仲間の追求が厳しくなり、スパイをする危険がどんどん増してくるんです。
家族ぐるみで、テロ組織に加担するというのは、恐ろしい事ですね。イヤだと言っても、家庭の中にテロリストがいるのですから、辞めると言っても、家族の手伝いのように、テロの手伝いをさせられてしまう。もしかすると、子供までも巻き込まれて、テロの手伝いをさせられてしまうという、本当に信じられない状態なんだなって思いました。
北アイルランドという地域が、どうしてイギリスから独立出来ないのか、何か理由があると思うんですよね。たとえば、経済状態が悪くて、国として維持していけないとか、何かがあると思うのですが、それも解からず、この映画を見ていると、ただ、IRAが、自分達の利益の為だけに、イギリス関係の人間を殺しているように見えてしまって、本当は、何が真実なのか、良く解かりませんでした。
この映画、どちらかと言うと、映画祭とかで上映するような作品かなと思いました。あまり、公開されなさそうな雰囲気ですよね。映画祭では、こういう作品が多いんです。それほど派手ではなく、政治や紛争の問題をじっくり描いていくような、そんな作品です。
最後に、クレイヴ・オーウェンの上司役で、ジリアン・アンダーソンが出ていました。そうです、あのX-FILEのスカリーさんですよ。久しぶりに出ていて、最初、どこかで観た人としか思い出せなくて、最後の方で、あ、スカリーだって、思い出しました。(笑)
私は、この映画、ちょっと、万人にはお薦め出来ないかな。アイルランド紛争などに興味があって、既に、内容を詳しく知っている方は、映画の描いている深い部分までが解かると思うのですが、それを知らない私は、表面のスパイ部分のみしか理解出来ず、薄っぺらな映画としてしか理解出来ませんでした。
もし、興味がある方がいらしたら、ぜひ、楽しんできてくださいね。
・シャドー・ダンサー@ぴあ映画生活
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