「偽りなき者」を観てきました。
ストーリーは、
親友の娘クララの作り話が原因で、変質者のレッテルを貼られてしまったルーカス(マッツ・ミケルセン)。クララの証言以外に無実を証明できる手段がない彼は、身の潔白を説明しようとするが誰にも話を聞いてもらえず、仕事も信用も失うことになる。周囲から向けられる憎悪と敵意が日ごとに増していく中、ルーカスは自らの無実を訴え続けるが……。
というお話です。
この映画、衝撃でした。あまりにもありえる展開で、恐ろしい話だと思います。
子供がついた嘘で、街全体から迫害を受けてしまう男の話なのですが、どうしてそんな子供の嘘を真に受けてしまうのか。それは、大人が閉鎖的な地域で生きていて、沢山の情報=知恵を身につけていないからだと思いました。
子供は無垢で嘘をつかないというのは、真っ赤な嘘。子供が話すのは、嘘ばかりですよ。自分の欲望を適えるためなら、ありとあらゆる嘘をつきます。それは、自分がそうだったから解かります。それは、当たり前ですよね。だって、子供の時って、すべて大人の許しを貰わなくちゃ何も出来ないんだもん。そりゃ、嘘つきますよ。
それを、大人がちゃんと見抜いてあげて、嘘をついたら、その分の罰を受けるのだという事を、子供の頃に教えてやらないと、虚言癖の大人が出来上がってしまうんです。私、子供の頃、嘘をつくと、毎回、祖父母に論破されて、最後に泣くことになってたなぁ。叩いたりはせず、どうしてそうなったとか、何がそうなったとか、子供を追い詰めて行くってすごくありませんか?(笑)でも、そうして育ててもらって良かったと思っています。
もちろん、本当の事を話していることもあるので、優しく、深く、話を聞いて行って、辻褄が合わなくなればおかしいし、辻褄が合っていれば、本当なのかも知れない。それは、大人が賢くなければ出来ません。それには、いつも子供を観察して、その表情とか態度とかで、嘘か本当か見抜けるようにならなければなりません。そんなところでも、親が子供に、どう向き合っているかということが解かると思います。
そして、嘘によって、追い詰められていく男。全くの無実にも関わらず、街の住民から疎外され、どこまでも追い詰められて、命の危険まで感じ始める。それは、恐ろしい事です。良く、日本でも言う、風評被害ってやつですよね。何も無くても、言葉の力だけで被害が出てしまう。それは、断固として止めなければいけないと思います。マスコミの方も、本当に気をつけて欲しい。以前、オウムサリン事件の時にありましたよね。日本でも、身近にある事なんです。
本当に、この映画、考えさせられました。「人の噂も75日」と言うけれど、やっぱり覚えている人は覚えているし、一度、張られてしまったレッテルは、その2倍3倍も説明をしても、払拭されることは無いんです。その10倍20倍いや、100倍くらい説明をして、良い事をしないと、噂は無くならないんですよね。
あ、でも、本当に悪い事をした人は、いつまでも忘れないで覚えていた方が良いと思います。だって、再犯率って、すごく多いんでしょ。殺人や性犯罪、暴力などの罪を犯した人は、治りませんよ。改心なんてしないって。表面だけです。私は、そういう人、決して信じたくありません。
私は、この映画、青年から大人まで、ぜひ観て欲しいと思います。人の言葉が罪を作っていくのだということを、映画で感じて欲しいんです。単館系の映画ですが、結構、最後までハラハラして楽しめると思いますよ。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・偽りなき者@ぴあ映画生活
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