「体温」 物言わぬ美しい女と、意志の有る温かい身体を持つ女と、男にとってどちらが良いのだろうか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

以前、「終らない青」という映画を観せていただいた緒方監督の新作「体温」を観てきました。この映画のデザインを担当されている方と名刺交換をさせていただき、新作を紹介されたのです。


ストーリーは、

食品工場で働く青年・倫太郎は、外の世界との関わりを極力断ち、イブキと名付けた人形と生活していた。そんなある日、倫太郎はイブキにそっくりなキャバクラ嬢・倫子と出会う。いつしかふたりは互いに惹かれあうようになり、次第にその距離を縮めていくが……。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-体温

2週間無いくらいのレイトショー公開で、最終日にやっと観に行くことが出来ました。せっかく、紹介していただいたし、是枝監督の「空気人形」とは違う観点からのラブドールの映画みたいなことが書いてあったので、ぜひ、観なくちゃと思っていました。

ゴメンナサイ、私は、女目線で観てしまうので、男性が思う「アダムとイブ」とかというような、美しいものには観れませんでした。はっきり言って、キモイ男の話としか思えません。女の目から観ると、ラブドールなんてキレイな名前にしているけど、ただのオナニー道具でしょとしか思えないんです。人間と人形の愛というならば、そこにSEXするために機能が付いている必要が無いですよね。愛というのは身体の繋がりもと言うけど、既に、男の言うなりになり、やりたいときにやれるという時点で、それは愛じゃなく、服従とか飼育となるので、女性には、嫌悪というものが生まれてしまうと思います。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-体温


男性が、普通の女性と上手く付き合えなくて、人形に入れ込んでしまうというのは、解からないでもないです。女性でも、そういう人居ますから。でも、それがダッチワイフとなると、キモイ・・・。せめて、使うとき以外はしまって置くとか、そうでなければ、TENGAを使うとか、手でやるとか・・・。生理的な行動だから、悪い事じゃないですけど、おおっぴらにダッチワイフを飾られると、引いちゃうよなぁ。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-体温


映画として観ると、男が、ダッチワイフとの生活に満足していたのに、生身の女性に触れて、段々と人間的になって行くというところが、とても良く描かれていて、観ているこちらに、とても伝わってきました。やっぱり、人間には温かさがあって、柔らかさがあって、人形とは全然違うのだということに気が付くんだけど、でも、人間には意志があって、考え方も違うんです。彼の目には、同じように見えていた彼女とラブドールなんですど、全く違うものなのだということが繊細に描かれていて、感動でした。


キモイ男なんだけど、なんだか、かわいそうに見えてくる。彼女に必死になっていく姿が、段々と愛おしく見えてくる。どう考えても、キモイ男なのに、どうしてそう思えるのか解からないんだけど、そこら辺が、緒方監督のマジックなんでしょうね。


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プレスに、「空気人形」の板尾さんがやっている役が主役だった方が面白かっただろうと監督が書いておられましたが、是枝監督とお話した時、是枝監督も板尾さんの役が一番のお気に入りだったようで、彼を主役にやってみたかったんだろうなというのが感じ取れました。でも、商業映画として成り立たせる為に、色々な意見で辞めたのだと思います。やはり、監督という職業をしていると、同じような観点に目がいくのかしらと思いました。


とっても不思議な映画でした。嫌悪と愛おしさが表と裏にあって、キモイんだけど、面白くて目が話せないって感じで、私は、楽しめました。たくさんの方にお薦めしたいけど、題材が題材なので、大人で、色々な下ネタ関係に理解のある方にお薦めいたします。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-体温

上映は終ってしまったので、DVDで観る事が出来ると良いのですが、どうなのかなぁ。もし、見つけたら、ぜひ観てみてくださいね。ちょっと新しい感覚が味わえるかも知れませんよ。カメ



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