今日は、「最初の人間」を観てきました。ジャック&ベティという映画館のツイッターに、この映画、すごく観たいので横浜でやって欲しいですって書いておいたら、検討してくださったみたいで、上映が始まりました。すごく嬉しいです。カミュと言えば「異邦人」が有名ですよね。この作品は、カミュが事故死した時に、カバンに入っていた原稿で、未完成ながらも出版されたそうです。それが、今回は映画化され、人間とはという事を問いかけています。
ストーリーは、
1957年のアルジェリア。フランスに住む作家のジャック・コルムリ(ジャック・ガンブラン)は、独立紛争まっただ中の故郷に帰ってきた。母(カトリーヌ・ソラ)は、かつてのアパートに今も暮らしていた。旧友に頼まれ彼の過激派の息子の釈放を政府に掛け合ったコルムリだったが、その息子は断首刑に処されてしまう。そんな中、コルムリは自由と平等のためにラジオで演説する。というお話です。

アルジェリアが故郷のコルムリは、フランスで作家として成功し、故郷に帰ってくるというところから始まります。コルムリが幼い頃、父親が戦争で亡くなり、とても貧しい家に育ちました。フランス人でありながら、アルジェリア人と同じレベルくらいの生活しか出来ず、母親は、息子と二人で、自分の実家に世話になっていました。祖母は厳しい人で、コルムリは、いつもお仕置きをされ、それでも友達と遊び、夢を見て育っていました。
貧しくて、コルムリの母も伯父も祖父母も、文字が書けず読めず、それほど生活に困窮していたということが解かると思います。貧しくて教養も無くて、だからこそ、息子には教養を付けさせ、新しい未来を探して欲しいと思ったのでしょう。そして、家族でただ一人、教養を身に付け、作家として成功した息子。母は、とても誇らしく思っています。

コルムリは有名になり、フランス人とアルジェリア人の融和が出来ないかと、発言を繰り返しています。自分は、アルジェリアで生まれ、アルジェリア人と同じように生活をしていたにも関わらず、フランス人というだけで優遇を受け、アルジェリア人を迫害するような立場に置かれ、彼自身は、まったく納得が出来ていないんです。でも、フランス人たちは、アルジェリアは自分達のもので、自分達が管理するのだという考えを曲げません。

植民地となると、こうなってしまうんですかね。日本も、韓国や中国を植民地としていた時は、こんな感じだったのかなぁ。でも、日本って、すごいお金をかけて土地を開発したから、今でもまだ日本が建てた建物とか鉄道とか道路などなどを使っているんでしょ。韓国や中国は得したよね。無料で開発して貰えたんだから。でも、このアルジェリアは、アルジェリア人の為に、全く開発などはされていなくて、移民したフランス人のみが生活しやすいように作られているようで、アルジェリア人の居住地は、本当に貧困な感じなんです。

アルジェリアの貧しさを知っているコルムリは、なんとかフランス人とアルジェリア人を和解させて、差別などが無くなる様に、新しいアルジェリアを、新しいアルジェリア人を、最初のアルジェリア人として、作っていきたいと思っています。アルジェリアに渡ってきて生活を始めた自分の父、そしてアルジェリアで生まれた自分を、新生アルジェリアの最初の人間と思っているんです。だから、新しいアルジェリアを良い国にして行きたいという思いが、この話には詰まっていました。
アルジェリアというと、ちょっと前に起きたテロ事件を思い出します。日揮の社員の方が随分亡くなられましたよね。フランスから独立したのに、自分達で国をまとめる事が出来ず、治安が悪化しているというのは、悲しいことです。何か、国を挙げて事業を始めるとかして、なんとか国民が裕福になるように持って行かない限り、治安も良くならないし、テロも無くならないと思います。頑張って欲しいよなぁ。
この映画は、単館系の映画に慣れている方にはお薦めいたします。何か結果が出るとか、そういう映画ではないので、眠くなると思います。私でさえ、自分の過去を負うコルムリを見ていて、段々と眠くなりましたから。(笑)カミュという作家が、どういう生き方をして、どうしてあのような小説がかけたのかということが、この映画から読み取れると思います。私は、最後、結構、ジーンと来てしまいました。
ぜひ、楽しんでくださいね。
・最初の人間@ぴあ映画生活
最初の人間 - goo 映画