「マーサ、あるいはマーシー・メイ」を観てきました。
ストーリーは、
森の中を追跡してくる男たちをかわし、カルト教団のコミューンから脱出した20歳の女性マーサ(エリザベス・オルセン)。唯一の家族である姉のもとを訪ねる彼女だったが、姉夫婦は何も尋ねずに受け入れてくれる。美しい湖のほとりに建つ屋敷で姉夫婦と暮らし始め、安らぎを感じるようになっていくマーサ。だが、徐々にマーシー・メイという名前で呼ばれていたコミューンでの異様な日々の記憶がフラッシュバックしてくる。やがて彼女は、妄想と現実、過去と現在、さらには自分がマーサとマーシー・メイのどちらなのか判別できなくなる。
というお話です。
カルト教団に精神を支配されてしまった少女が、間違っている事に気が付き、逃げ出すのですが、その心の支配は、いつまでも解けないんです。そこに居るはずの無い人間が見えてしまったり、いつも教団の人間が追ってきているのではないかという恐怖に苛まれて、ゆっくり眠る事も出来ない。本当に、こういうカルトに入ってしまうと、恐ろしいですね。その恐ろしさを描いた映画で、心にググッと迫ってくる内容です。
男性に誘われて、ちょっとした旅行のような気持ちで教団の家に行ったと思うんです。そこで、周りの人間に大切に扱われ、家族のような気持ちになり、段々とそこに居たくなるんだと思うんですね。目が、外から中へ、そして、世界の常識から外れても気が付かなくなってしまう。これ、本当にそうだと思うんです。

とてもリアルに描いていて、本当に恐怖が伝わってきました。オウムの事件もそうでしたし、昨年の芸能人が占い師に騙されて閉じこもった事件もありましたよね。本当に、その中に入ってしまうと、私たちの世界の常識というものが、まったく通用しなくなってしまう。そして、教団のトップの言う事が全てになってしまう。それが、たとえ女性をはべらせてハーレムを作るための教団だったとしても、何故だか、誰も気が付かない。唯のエロおやじだというのにね。外から見れば、どう見ても、そいつが悪なのに、解からないというのが理解出来ませんよね。

でも、入ってしまった本人には、既に心をコントロールされてしまっていて、自分で考えるという事が出来なくなってしまうのでしょう。もし、間違っている事に気がついて逃げ出したとしても、その教祖は心をコントロールしてしまっているので、逃げた先でも、どうしても起こっていたことを打ち明ける事が出来なかったり、いつまでも追ってくる恐怖が消えなかったり、身体は逃げる事が出来ても、心は逃げる事が出来ていないんですよね。
マーサは姉の所に逃げ込むのですが、姉は、カルトに居たことも何も知らないし、マーサは、その事について話すことが出来ない。妹の様子がおかしい事は気がつくのですが、どうしてそうなってしまったのか、全く解からず、姉夫婦も、どうしてしまったのか悩みます。当たり前ですよね、理由が解からないんですもん。それに、おかしいと解かっても、対処の仕方が解からない。これは、最悪だと思いました。

やっぱり、どーもおかしいと思ったら、まず、病院に連れて行くのが最初ですよね。こういう事は、専門家でないと、対処出来ないと思います。いくら家族が親身になっても、やっぱり専門的な洗脳の解き方というのがあるのだと思います。家族だけとかだと、どうしても恐怖が助長されてしまい、どんどん闇が深くなって行ってしまうような気がしました。
この映画、とても面白いです。私は、お薦めしたいと思いました。だって、カルト集団に、いつどこで出会ってしまうか解からないし、家族が連れて行かれてしまうかも知れない。そんな時に、相手をある程度判っていれば、ただ恐がるだけではなく、色々な手が尽くせると思います。相手は、心の弱いところに漬け込んできます。どうしても、そういうところに頼ってしまう人が居ることも理解出来ます。でも、人に害を与えるような集団は、決して頼るような場所ではありません。今一度、頼ってよい場所なのか、考えて欲しいです。そんな恐怖を、本当に身近に、そしてリアルに描いていて、ぜひ、観て欲しいなって思いました。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・マーサ、あるいはマーシー・メイ@ぴあ映画生活
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