今日は、筋肉痛の身体を押して、「脳男」を観てきました。エグゼクティブシートが取れて良かった~。普通のシートだったら、辛かったかも。(笑)
ストーリーは、
残忍な手口の無差別連続爆破事件を追う刑事の茶屋(江口洋介)は犯人の居所を突き止めるが、身柄を確保できたのは身元不明の鈴木一郎(生田斗真)だけ。共犯者と見なされた一郎は犯行が常軌を逸したものだったため、精神鑑定を受けることに。担当となった精神科医・鷲谷真梨子(松雪泰子)は感情を表さない一郎に興味を持ち、彼の過去を調べ始めるが……。というお話です。

設定的に難しいところはあるにしても、凄く面白くて、すごくハラハラドキドキして、良く作ってくれたっていうほど良かったです。日本映画にしては、珍しく、やるトコまでやってくれていて、ちょっとハリウッド系のサイコホラー系っぽい気がしました。爆弾のつけ方とか、「ソウ」を参考にしたのかしら。
なんか、今までの日本映画って、どーせこの子は助かるんだろうなっていうような、命は地球よりも重いからみたいな、情で助けてしまうところがあって、ザコキャラはいくらでも殺して良いけど、ちょっとサブキャラ的な人は、危険な目にあっても助かるみたいだったでしょ。それが、今回は、スッパリ殺してくれて、ハッキリ言って、気持ちよかったです。

ストーリーも、良く出来ていました。まだ、原作は読んでいないのですが、ぜひ、読んでみたくなりました。脳男と呼ばれる鈴木一郎(仮名)が、どれほど辛い日々を生きて、過酷な人生を歩んできたのか、伝わってきました。感情が無いとのことですが、私には、感情を子供の頃から押し殺して押し殺して、忘れてしまった子なのだと思えました。愛さえ与えていれば、普通の子供に育ったはずなんです。
連続爆破事件の犯人に制裁を加えるべく、脳男は現れるのですが、そこで、刑事の茶屋(江口)と精神科医の鷲谷(松雪)に出会います。この鷲谷との出会いが、脳男の計画を狂わせていきます。それに、茶屋なんですが、刑事と言いながら、それ、犯罪でしょって言うくらい、脳男よりメチャしておりました。そのキャラ、強烈だよね。

精神科医の鷲谷なのですが、私がいつも思っているとおりの精神科医で、患者の心のケアよりも、自己愛が強いんですよね。自分の治療は素晴らしいから、患者は必ず更生するとか思っちゃうナルシスト。ほとんどの精神科医って、そうですよね。患者の本当の心なんて、まったく見れていないの。精神科医としてではなく、人間として関わって、やっと少しだけ心が伝わるということが、良く描いてありました。精神科医ほど、うさんくさい商売は無いよね。どんなに研究しても、占いとほとんど変わらない。無駄です。
そんな精神科医と交流することにより、脳男に、少しだけ変化が現れるんですけど、それは観てのお楽しみです。生田くん、上手いですね。だって、ちょっとした表情で、そこに意志があるのか無いのかを使い分けるんですよ。目の輝きが変わるんです。凄いでしょ。ぜひ、その変化を観てきてくださいね。
悪役の二階堂さんと太田さん、素晴らしかったです。狂気が顔に表れていて、観ていて恐ろしくなりました。若いのに、すごい演技力です。いつもの可愛い高校生役のふみちゃんじゃ無かったですもん。いやぁ、この二人の演技は、圧巻でした。驚くと思いますよ。

同じ悪を裁くのでも、「デスノート」のキラとは、ちょっと性質が違いますね。キラは、どんどん自分の力に奢ってしまい、自分は神だと思ってしまうのに、この脳男は、神になれると言われるほどの能力を付けているのに、それにまったく感心が無いんです。悪を裁くことに誇りも何も感じない、ただ、そうやりなさいとインプットされたから、殺すのを止めないっていうだけなんです。これこそ、神の裁きと言っても過言ではないと思いませんか?無垢な彼が単純に悪を倒す、そこに感情が無いということは、罪に対しての裁きだけなんですよ。憎しみも何も無い。全ての人間に平等にという神にしか出来ないことですよね。
なんか、私、すっごく良かったです。生田くんが美しいのもあるけど、悪役の二階堂さんも素晴らしいし、見どころがたくさんあって、面白かったなぁ。なんか、大御所の江口さんと松雪さんが、若者に押されている感じで、凄かったです。本当にパワフルな作品でした。

私は、超お薦めしたい作品です。ちょっと惨酷な場面はあるけど、その場面だけ目を背けていれば、大丈夫ですよ。ぜひぜひ、観て欲しいです。楽しんできてくださいね。