今日は、「蟻が空を飛ぶ日」という映画の試写会に行ってきました。インディーズ映画と書いてあったのですが、私は、どんなのがインディーズで、それがどう違うのか解かっていなかったのですが、監督さんが、自主制作、自主上映、というものなんですっておっしゃっていたので、そういうのがインディーズっていうのかなぁなんて思いながら、観てきました。
ストーリーは、
普段は東大生として過ごし、一方で組織の暗殺者として黙々と仕事をこなす健二(黒田耕平)。新たなターゲットとなる男の身辺調査をしていた健二は、彼の愛人・真紀(折原怜)の部屋で思わぬ場面に遭遇する。何と真紀が男を殺していたのだ。そのまま健二にも襲い掛かるが、組織の仲間たちが駆け付けて彼女を施設へと連れていく。そこで暗殺者としての適性を見抜かれた真紀は、健二とコンビを組むことになり……。
というお話です。
自主制作ということだったのですが、お金がかかっていたし、全然、他の映画に引けは取らないと思いました。確かに、役者さんたちが、あまり知らない方ばかりではありましたが、話も面白かったし、映像も、いかにも無理やりな状況で撮っているという感じではなく、楽しめました。
何故か、”会社”というものに雇われ、殺人をするというお話なのですが、そこに雇われている人は、共通の出来事を経て、その仕事に就いているというか、就かされているのです。その”会社”というもの、謎なんです。どこかの大企業がそういう部門を持っているのか、それとも、政府の力が働いている機関なのか、まったく判りません。でも、依頼されれば、殺人をしなければならないという仕事なんです。

主人公の健二は、描かれてはいないのですが、きっと、親から見れば、とても良い子で勉強も出来て、問題の無い子供だったのではないかと思います。でも、ある時、ギアを架け替えてしまった。本当だったら、エリートの道を突き進むような子だったのに、途中で道を違えてしまったんです。そして、殺人という仕事を請けることになってしまうんです。でも、それが良かったのか悪かったのか、それは、誰にも解からないし、最後まで、この映画を観て、それぞれが考えることだと思うんですね。
健二の前に、真紀という女が現れて、同じ仕事に就くことになります。彼女が仕事に入ってきた頃から、変な仕事が入ってきて、二人の周りは、危険が増していきます。謎が多くて、本当は何がしたいのか知りたくなると思うのですが、この映画では、殺人をする理由はどうでも良いのです。そんな変な世界に入ってしまっている二人が、どうやって愛を育んでいくかというのが大切なの。結構、ハードな内容ですよ。
いくつか、謎が残ってしまいますが、今回の内容には、それは関係無いので、その不思議な世界の”会社”に関しては、そういうものがあるのだという理解で良いのだと思います。それよりも、一度、ギアを間違えてしまった人間が、普通に暮らしていて、貴方の隣に住んでいるかもということ。そして、彼らだって、恋愛もするし、勉強もする。ちゃんと未来を見て、生きているんです。でも、人とは違う面を持っているということ。
面白い発想だと思いました。確かに、不思議な世界だけど、もしかしたら、自分の世界なのかもと思えて、恐ろしいですね。人間は、自分の事は見れるけど、人の中身までは解からない。友達が、内部に何を抱えていても、感知することは出来ない。そして、問題のある彼らだって、同じように生きる権利がある。いやぁ、面白かったです。
私は、お薦めしたい映画だと思いました。インディーズなので、新宿K’sシネマでのレイトショーしかやらないのですが、もし、お時間があったら、行ってみて下さい。

こういう映画が、たくさんの人の目に触れられないのは、残念ですね。こういうインディーズ系の映画を、安く観せてくれるイベントとかがあると良いな。映画祭で少しは観れるけど、もっと日常的に個人製作の映画などが観れると、新しい才能が出てくるかも知れない。どうせ公会堂とか、役所関係の施設は空いている部屋があるんだろうから、そういう映画を500円くらいで観せてくれれば良いのに。1000円以上っていうと、みんな、足が遠のくから、せめてワンコインだったら、たくさんの人が観に来るんじゃないかしら。考えて欲しいものです。
・蟻が空を飛ぶ日@ぴあ映画生活
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