今日は、「横道世之介」の試写会に行ってきました。
この映画、東京国際映画祭で一番観たかったのですが、チケット販売時間にアクセスしたのに既に完売でした。関係者だっけで一杯だったのかしら。とにかく、去年から超観たかった作品です。
ストーリーは、
長崎県の港町で生まれ育った横道世之介(高良健吾)は、大学に進むために東京へと向かう。周囲の人間を引き付ける魅力を持ち、頼まれたことは何でも引き受けてしまう性格である世之介は、祥子(吉高由里子)から一方的に好かれてしまう。しかし彼は、年上で魅力的な千春(伊藤歩)にぞっこんで……。
というお話です。
なんと言って伝えるのが一番伝わるのかしら。もー、素晴らしい映画です。予想を上回るほどの内容で、人間が愛おしく感じられる映画です。こんなにも、愛に溢れていて、観ている人間の心を温かくしてくれて、ちょっとほろ苦くて、ちょっとおかしくて、ちょっと寂しくて・・・。別に、普通の大学生の男の子なんですよ。でもね、とっても人間臭くて、優しくて、イイ奴なんです。私も、出来るだけ彼のように行動して行きたいな。
長崎出身の横道世之介は、東京の大学に進学し、一人暮らしを始めます。初めての東京で、右も左もわからず、なんとなくオドオドしながらも、生活を始めます。そして大学で友達を作り、サークルに入り、バイトも始め、段々と東京の生活にも馴染んでいくんですけど、彼は、彼の良さを無くさないんです。長崎から出てきたままの心を持ち続けているんです。
そんな世之介と出会った人々は、彼の天然のキャラクターに振り回されながらも、彼の人懐っこい顔と、どこまでも優しい性格に、惹かれていきます。何故か、世之介と一緒に居ると、自分も良い人になっていっちゃうんですよ。彼の素直さに引き摺られ、なんか素直になっちゃうの。ステキでしょ。
世之介と付き合うことになるお嬢様の祥子ちゃん。産廃業者の娘で、すごいお金持ちなんですね。時代がバブル時代の設定なので、建設関係の会社にはお金が溢れていたということで、祥子ちゃんは、どこへ行くにも、お車運転手付きなんです。そんな女の子が世之介を好きになっちゃって、そのギャップが、スゴクて笑っちゃうんですよ。でも、世之介も祥子ちゃんも、とっても素直なので、それがまったくイヤミにならず、超かわいいって思えちゃうんです。この二人、サイコーですよ。
その他にも、個性的なキャラクターがたくさん出てきます。世之介が相手だと、みーんな、愛おしい人になっちゃうので、本当にしあわせな内容なんです。何で彼は、こんなにも人を和ませるんだろう。彼の何が違うのか、別に普通の大学生なのに、その天然さが、周りの人を”あれ?”という思いにさせて、顔を見ると、何事も無かったような顔をして微笑んでいるので、”ま、いいか。”っていう気持ちにさせるからかも知れません。
この映画の素晴らしさを、言葉では伝えきれません。沖田監督の作品は、本当に素晴らしくて、「南極料理人」も「キツツキと雨」も、大好きなのですが、この「横道世之介」は、今までで最高に素晴らしいと思いました。以前から、沖田監督作品は、その場の空気が撮影されているんですよね。普通や、役者の演技やセリフ、情景などで表現されるのですが、沖田監督作品は、その場のシラッとした空気、緊迫した空気、和やかな空気、爽やかな空気が、すべて撮影されているんです。それは、なんて言うんだろう、空間の取り方なのかしら。私にも、何故、その場の空気をこんなにも感じられるのか、難しい事は解かりません。でもね、その場の空気が、観ているこちらに伝わってくるんです。まるで、こちらもその空間に巻き込んでいるように・・・。だから、沖田監督の作品、大好きなんです。特に、今回の作品は、劇場の全員を巻き込んでいると思いました。
ああー、つい、あまりにも面白かったので、感想に力が入っちゃったぁ。まだまだ、語ろうと思えば、いくらでも書けるんだけど、もう、止めておきます。皆さんに観ていただければ、この感動は伝わると思う。本当に、きっと、誰もが感動して、心が温まって、劇場から出てくることになると思います。
私は、超お薦め作品ですよ。
私は、原作を読む前に鑑賞することになったのですが、これ、原作を読む前の方が、世之介がどうなっているのかのネタバレを知らない方が、より楽しめるような気がしました。もしまだ読んでいないようなら、出来たら、読む前に観た方が良いかも知れませんよ。

公開されたら、ぜひ、観に行ってください。私も、もう一度、観てこようかな。最近の邦画の中で、この作品が一番のお気に入りになりました。最高です。