先日、「来いのロンドン狂騒曲」を観てきました。
ストーリーは、
アルフィ(アンソニー・ホプキンス)とヘレナ(ジェマ・ジョーンズ)は長年連れ添ってきたが、結婚40年目にして破局を迎える。あまりのことにひどく動揺したヘレナは自殺未遂を起こし、一人娘サリー(ナオミ・ワッツ)は困惑する。だが、実は彼女自身も売れない小説家の夫ロイ(ジョシュ・ブローリン)との間に問題を抱えており……。
というお話です。
ウディ・アレンの新作です。熟年離婚をしたアルフィとヘレナ、その娘のサリーも、夫と上手く行かず、新しい生活を始めるも、またも上手く行かず、どこまで行っても、人間は貪欲で、無い物ねだりなのだということを教えてくれます。それにしても、すごいキャストですよね。
まず、アンソニー・ホプキンス演じるアルフィは、70歳位なのに若作りをして、若い子と付き合うんです。いやぁ、無理しているのは一目瞭然。こういう人、居ますよね。見ていてイタイんだけど、あまりにもイタすぎて、周りは言えないんですよ。無理がいつまでも続くわけが無く、その内に破滅の音が・・・。
冷静になってみれば、解ることなのに、その時は必死で解らないんでしょうね。やっぱり、年相応って、大切な事だと思う。まぁ、10歳くらい若作りしたり、精神的には若いというのは良いと思いますけど、20歳も30歳も若い人と同じように付き合おうと思っても、身体が付いていかないし、考え方も違います。自分の身丈に合った分相応な生活や、付き合いをした方がしあわせですよね。
ジェマ演じるヘレナは、夫に別れを告げられ、ショックで、占いに凝ってしまい、スピリチュアル系にハマっていきます。これも、こういうオバサンっているよなぁって感じで、疲れますよね。本人は幸せかもしれないけど、周りが疲れる。そういうものに頼ることで、心が安定するのなら、止めはしないけど、周りの人間に押し付けるのは辞めて欲しい。もちろん、これは宗教にも同じ事が言えます。宗教を人に押し付けるのは辞めようね。
お騒がせ老夫婦には娘が居ます。ナオミ演じるサリーは、ギャラリーで働いていて、上司に恋心を抱いています。夫は、小説家なのですが、最初の1本目のみ売れて、後はまったく売れる本が書けず、ヒモ状態。家賃をサリーの母親へレナに助けてもらっているような状態です。そんな役立たずの夫に嫌気が差してきていて、もう、爆発寸前。
サリーの夫ロイは、いつまで経っても良い小説が書けず、仕事についても、直ぐに辞めてしまい、自信喪失しています。自分の部屋の窓から見える隣のアパートに住んでいる女性に一目惚れし、うるさい妻と別れて、彼女と一緒になる事を夢見ています。自分に力の無い男に限って、大きな夢を抱くんですよね。こちらも身分不相応だと思うのですが、自分では、一切気が付いていないんですよね~。困ったもんだ。
誰もが自分の身丈を判っていなくて、どう見ても無理なことをしている姿が、とても滑稽で、笑えました。最近は、こういう人、多いのかな。最近だけじゃないかしら。自分が、今、どういう状態で、どれくらいの事が出来るのかっていうことが判断出来ない人が多すぎると思います。
自分を下げすぎて、無理をしなさ過ぎるのも問題だと思うけど、上を見すぎて、背伸びしすぎるのも、問題ですよね。ちょっと無理をすれば、もしかして出来るかもっていうくらいの場所に目標を置く事は必要ですが、無理しすぎて、借金まみれになったり、身体がボロボロになったりするのは、ちょっと違うんじゃないかな。
人間の独りよがりなところを細かく描いていて、それがとても滑稽なんです。コメディだけど、とても考えさせられる作品です。私は、単館系が好きな方や、ウディ・アレンのファンの方にはお薦めしたいと思います。結構、大人向けの作品かな。ぜひ、楽しんできてくださいね。
・恋のロンドン狂騒曲@ぴあ映画生活
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