【東京フィルメックス】「ぼっちゃん」負け組と勝ち組、イケメンとブサイク、どれ程の違いがあるのか。 | ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

東京フィルメックスにて、「ぼっちゃん」を観ました。真剣な映画かと思ったら、本当に面白くて、コメディなんですけど、結構、深いところを訴えていたりして、すごい映画でした。


ストーリーは、

映画は28歳の梶が派遣社員として長野県の工場にやってくる場面から始まる。自分の容姿に自信が持てない梶は人づきあいが苦手で、インターネットの掲示板に思いを書き込む日々を送っている。そんな梶にも友人ができる。急に眠りに落ちるナルコレプシーの持病があり、世の中をうまく渡っていけない同僚の田中と梶は多くの時間を一緒に過ごすようになる。ある夜、ドライブに出かけた二人はユリに出会う。ユリは梶たちの同僚の岡田から逃れてきたのだった。ユリに惹かれた二人は彼女をかくまおうとするが、そのために窮地へと追い込まれることになる。
というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ぼっちゃん

私、”ぼっちゃん”とか言うから、夏目漱石のぼっちゃんから取っているのかな、なんて思ったのですが、BOZO=やぼな奴、ブサイクな男のことだったんですね。秋葉原の事件を起こした犯人をモデルに、若者が置かれている状況や、精神的に追い詰められていく姿を描いていて、キツい話になるのかと思いきや、大笑いしてしまうような作りになっていました。


主人公の梶は、ネットの掲示板に依存する生活を送っていて、新しい仕事先でも、結局、上手く人付き合いが出来ないんです。私も、人付き合いが上手い方ではないんですけど、梶くんほど性格が悪くないので、問題ないと思うんだけどなぁ。梶くんは、とっても性格が悪いのよ。卑屈になってるから、言う事がムカつくの。イヤでしょ。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ぼっちゃん

なんか、梶って、ブサイクとか基地外とかって、自分で言っているんだけど、話をしないで普通に立っていれば、人が良さそうな普通の青年なんですよ。自分で、状況をどんどん悪くしているの。今どき、見た目の美しさなんて、いくらでも作れるし、練炭殺人の木嶋佳苗のように醜くて太っていても、あれほど男を騙せるんだから、問題じゃないでしょ。見た目より、心の問題です。


そんな梶くん、一緒に入社したイケメンで勝ち組の岡田に良いように使われ、せっかく出来た友達の田中くんとの仲も悪くなっていきます。お友達の田中くん、またもとっても良い人そうと言うか、実際に良い人なんだけど、負け組なんですね。でも、とっても常識的。せっかくのお友達だったのに・・・。


梶の同期の岡田が重要になってくるんだけど、監督上手いなぁと思ったのが、この岡田、イケメンで勝ち組っぽく見えるんだけど、競争社会の中で、やっぱり負けていて、自分の中に卑屈な部分を持っているんです。それが、どんどん悪い方向に向いて行ってしまっている危ない人間なの。見た目は違えど、梶とコインの表と裏のような存在なんです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ぼっちゃん

ここで考えてしまうのが、勝ち組と負け組ってなんなの?何が勝ってるの?何が負けてるの?虐められると負けていて、虐めていると勝ってるの?この世の中で勝ち組なんているのかしら。勝ったと思っても、いつも追ってくるものが居て、いつも不安材料があって、落ち着ける時なんて無い。ずっとストレスを抱えているというのは、負け組でしょ。勝ち組と言えるのは、死ぬ間際にしあわせだったと言える人間です。それまで、誰もが負け組。だからこそ、成長があると思う。


梶が、いつも”俺なんか。”って卑屈になっているのを見ると、尻を蹴り上げたくなるんですよ。きっと、岡田もそうだったんだろうな。この二人の違いは、自分の中に貯めるのか、吐き出してしまうかだけなんです。だから、二人で一人なの。貯めて貯めて、容量が一杯になってしまったら、吐き出すしかないでしょ。(笑)


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ぼっちゃん

梶と岡田、この二人が一つになった時、最後の行動を始めるんだけど、秋葉原の犯人をモデルといいながらも、私は、きっと、この梶くんは、犯人のような行動はしなかったと思いたいんです。彼は、見ていると、どこかに人間的なものを持っている。ただ、人を巻き込んで、メチャメチャにしたいなんて、思わないような気がするんです。だから、彼は向こう側に行かないで、こちらに戻ってきたと思いたい。


とても衝撃的な映画です。本当に面白かった。衝撃的とは言っても、無差別殺人とかじゃないですよ。モデルにしていると言っても、そこに行き着くまでの彼の行動をモデルにしているだけで、残酷なことは在りません。悲観的なことを言いながらも、すごく滑稽で、笑ってしまうような映画なんです。生きるって、滑稽なところがあるでしょ。まじめにやればやるほど、笑ってしまう。そんな感じでした。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ぼっちゃん

私は、この映画、すごくお薦めです。有名な俳優さんや、派手な話ではないけど、とっても笑えて、考えさせてくれる映画です。梶という人間が、どんな風に追い詰められて、どう変わるのか、その目で確かめてきて下さい。面白いです。公開は、来年だそうです。ぜひ、楽しんでくださいね。カメ



【東京フィルメックス】「ぼっちゃん」    http://filmex.net/2012/ss11.html