先日、「人生の特等席」の試写会に行ってきました。この作品、東京国際映画祭で観ようと思っていたのですが、先行予約で外れまして、結局、チケットを購入出来なかったんです。仕方なく、試写会応募をしたら、なんと当たったので、観てきました。観れて良かったぁ~!!
ストーリーは、
ガス(クリント・イーストウッド)は長年大リーグの名スカウトとして腕を振るってきたが、ここのところ年のせいで視力が弱ってきていた。それでもまったく引退する素振りを見せない彼に、チームは疑いの目を向ける。窮地に陥った父親に救いの手を差し伸べたのは、あまり関係が良好とはいえない娘のミッキー(エイミー・アダムス)だった。
というお話です。

この映画、ブラッド・ピットの「マネーボール」を観てから観ると、すごく面白いと思います。同じ野球業界で、同じ仕事なんだけど、マネーボールでは、デジタルの人が主役で、そちらが正しいと描かれているんだけど、今回は、アナログの人が主人公で、経験が物を言うという事なんです。観る方向によって、全然違う風に見えるという典型なので、ぜひ、比べて観て欲しいです。
スカウトマンのガスは、仕事を大切にするあまり、妻が死んだ後、娘をずっと預けて、仕事を続けてきた。娘は、父親に捨てられたと思い、大人になった今も、心にシコリを残して、父親との関係はギクシャクしていました。そんな親子が、父親の眼の病気によって、だんだんと近づいていくというお話なんです。
父親が、娘を自分から離したというのにも、ちゃんと理由があって、それは、最後の方で明かされますが、父親として、娘を守れないんじゃないかという不安が生まれた時、娘のことを思えば思うほど、自分から遠ざけようとするのではないかなぁと感じました。親であるからこその感情がそこには見えました。
私は、あまり野球のことは詳しくないですが、とても解りやすかったし、マネーボールを覚えていたので、とても楽しめました。データ上では、素晴らしい成績でも、データに無いこともあるんですよね。データが少なければ少ないほど、アナログな人間の感覚で、それを判断するしかないんです。今、メジャーリーグでは、デジタルとアナログを上手く取り入れて、選手の選択をしているのでしょうね。面白いです。
娘にとって、父親って、心の恋人なんですよね。最初に接する男性は父親だし、自分を損得無しで愛してくれる、そんな父親を、娘が嫌いな訳無いんです。もちろん、反抗期があったり、父親が汚いものに見えてしまう時期もあるかも知れないけど、それでも父親が自分を愛してくれていることを娘は知っているんです。だから、どんなことがあろうとも、いつの日か理解出来る日が来ると思います。この映画でも、そんな父娘の姿が描かれていました。
私は、この映画、とっても良かったです。やっぱり、イーストウッド作品は、面白くて感動しますね。ぜひ、寒くなってきたこの時期に、心が温かくなるこの映画、お薦めしたいです。なんだか、娘を眩しそうに、嬉しそうに見る父親のイーストウッドが、とってもステキでした。きっと、どんな父親だって、成長した娘をこんな風に見つめる時が来るのでしょう。そして、娘が、子供を産み、親子の絆は、ずっと続いていく。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・人生の特等席@ぴあ映画生活
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