先日、「ソハの地下水道」を観てきました。
ストーリーは、
1943年のポーランド。地下に盗品を隠しながら懸命に生きてきた水道労働者のソハ（ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ）は、ナチスの迫害から地下に逃れたユダヤ人たちに出会う。最初は金目当てでユダヤ人をかくまったソハだったが、少しずつ彼らに同情するように。しかし、ソハの行動は自分だけではなく家族の命を危険にさらすことになり……。というお話です。
第二次世界大戦中のポーランドでの話しです。ナチスがポーランド進行し、ユダヤ人の迫害を始め、どんどんユダヤ人が収容所に収容されていた時、ポーランド人は、ユダヤ人に比べ、貧しくて苦しい生活をしていました。ユダヤ人が迫害されたのは、ユダヤ人のみが利益を貪り、裕福に暮らしていたという事もあるのだと思います。
裕福なユダヤ人の家から盗みを働いたりしながら、地下の下水道の管理をしているソハは、ある日、逃げ場を探して下水に降りてきたユダヤ人を見つけます。ドイツ軍に売り渡すより、お金を持っているユダヤ人と取り引きした方が得だと思い、下水道の予備空間に彼らを匿うことにします。
最初は、お金の為に匿っていたソハですが、やっぱり、そこは人間です。付き合っていれば、情も沸いてくる。子供もいる彼らに、どんどん情が沸いて、彼らを守る為に動くようになっていきます。そしてユダヤ人の方も、最初は、イヤな奴と思っているんだけど、段々と、本当は良い人なんだという事が解ってきて、信頼していきます。
これ、人間の本質を描いていると思ったんですけど、いつ殺されるか解らない状態で、とにかく生きたいユダヤ人は、下水道に１年以上住むんです。普通なら、下水なんて、臭いが酷くて住むなんて考えられないし、衛生的にも酷いから、直ぐに病気になりそうですよね。でも、生きるか死ぬかになったら、そんなこと言っていられない。そこに住むしかないんです。最初は、ネズミを恐がっているのに、段々ペットのように扱ってしまったり、慣れていくもんなんですよねぇ。
そして、ソハの方も、最初は、金づると思っていても、世話をしていれば情が沸いて、お金なんて関係なくなってしまうんです。自分の立場も危うくなるのに、どうしてもほおって置けなくなってしまう。これ、すごく解る～って思ってしまいました。なんだか、仲良くなってしまうと、仕事の相手に対してでも、何となく情が沸いてしまって、仕事以上の事もしてあげちゃったりして・・・。ダメですよねぇ。あ、でも、こういう極限状態の時は、助け合いが大切です。（笑）
それにしても、この主人公のソハ、全然、カッコよくないのに、すごくカッコよく見えてきちゃうんですよ。ただのオッサンなんだけど、必死でユダヤ人たちを助けるの。自分の家族に危険が迫ることが解っていても、見捨てることが出来ないんです。妻や娘は、そんなソハに文句を言うのですが、それでもソハは、彼らを見捨てずに助けようとするんです。
ドイツとユダヤ人の映画って、大体ホロコーストがらみで、ガス室送りとか、悲劇ばかりを強調するのが多いのに、この映画は実話なので、とてもリアルな気がしました。ユダヤ人が迫害され、殺されるのは同じだけど、ユダヤ人でないポーランド人たちも、やっぱり、ドイツ人に迫害されていたんです。何かあると、見せしめに殺されたり、本当に実際そうだったのだと思います。戦争になると、人は狂ってしまいますもんね。恐ろしいです。
そんなリアルな戦時下のポーランドを舞台に、素晴らしい人間ドラマが展開するこの映画、私は、超お薦めしたいなぁと思いました。色々な人種の描き方がとても上手くて、ちょっと長めの映画なんですけど、いつ捕まってしまうのか、いつ殺されるのかと思って、ドキドキして、目が離せませんでした。アクションなど、派手ではないですが、感動作です。でも、これ、デートとかでは行かない方が良いような気がするなぁ。もう、上映が終っているところも多いので、ＤＶＤでも良いので、ぜひ、観てみてくださいね。
