先日、「希望の国」を観てきました。
ストーリーは、
泰彦(夏八木勲)と妻(大谷直子)は酪農を営みながら、息子夫婦(村上淳、神楽坂恵)と一緒に慎ましくも満たされた暮らしをしていた。そんなある日、大地震が村を襲う。泰彦の家は避難区域に指定されたが、長く住んだ家を離れることができない。葛藤(かっとう)の日々を送る中、息子の妻いずみの妊娠が発覚。二人は子どもを守るためにあることを決意する。
というお話です。
はっきり言って、恐ろしくなりました。これが福島での現実だったんだろうと思います。だって、震災後、自殺者がすごく増えたでしょ。それに、核という恐怖が蔓延して、ノイローゼになるの当たり前ですよ。特に、子供を持つ母親は、ヒステリックになると思います。それを緩和する為に、大丈夫だと嘘をつくのは止めて欲しい。ダメならダメで、移動させればよいし、それが無理なら、覚悟を決めて子供を育てるしかない。
だって、どこに行っても恐怖が消せないのなら、どうしようもないでしょ。原発をすべて止めても、核は無くならないで、そこに在るんです。消すことは出来ないの。どんなに騒いでも、処理は進まない。そこから燃料棒を抜いて、核廃棄物を埋めるにしても、国内に在るわけでしょ。止めれば終わるってものじゃない。どこまで行っても、その恐怖は消せないの。ヒステリックにならないで、頭を使って考えましょう。
核の恐怖の中で、それぞれが先のことを考え、色々な決断をして行きます。家族を守る為に核の無い場所を探して旅立つことを決める男、いまさらどこに行っても一緒だと言って、被災地に留まる夫婦、未来を夢見て結婚を決める若者たち、それぞれに、色々な考え方があるので、正解はないですよね。
でも、決断するということは、何か変化があったから決断する訳でしょ。原発事故が無ければ、平穏に暮らしていた人々なのに、仕事も失い、住むところも失い、家族だった家畜やペットまで殺さなくてはいけないなんて、地獄の苦しみだと思います。それは、もう、言葉では表現出来ないほどだと思う。
この映画、被災した方々にも、お話を聞いて作ったのかしら。観ていて、本当に生々しくて、きっと自分も、その場にいたら、こんな風だったんだろうと想像が出来ました。情報も無く、誰も信じられなくて、まるで世界に一人取り残されたような、そんな心細いというか、恐怖を、とても良く描いていて、心が痛みました。何度も涙が出てしまい、悲しくて、悔しくて、本当に悔しくて、ボロボロ、ボロボロ、涙が流れてしまいました。
感動を上手く伝えられません。この映画、たくさんの人に観てもらいたい。もし、自分の地域で地震が起こったり、原発事故が起こったら、こんな風になってしまうのだということを、良く頭に叩き込んで欲しいです。そして、原発事故地域の人に、嫌がらせというか、心無い言葉をかけるような人がいたら嗜めて欲しい。その人たちは、犠牲者なんです。助けてあげなければいけないのに、避けたり、虐めたりなんて、持っての他。そういう人間こそ、軽蔑されるべきです。
園監督の作品なのに、とってもマトモです。(笑)どーも、ちょっと変わった作品が多い監督ですが、この作品は、マジ、正統な感動作なので、どなたが観ても、感動出来ると思います。そして、とても考えさせられると思う。いやぁ、本当に、素晴らしい映画だと思いました。
私は、超お薦め映画です。あの震災を体験して、被災した方も、被災しなくてTVであの惨劇を観ていた方も、本当はどういう状況だったのか、人々が何を考え、どう行動したのか、感じて欲しい。ぜひ、お時間があったら、観に行ってください。日本人なら、悲しみを共有出来ると思います。
・希望の国@ぴあ映画生活