公開初日に、どうしても観たくて「リンカーン/秘密の書」を観てきました。
ストーリーは、
母親がヴァンパイアに襲われ、殺されるところを見てしまったエイブラハム・リンカーン(ベンジャミン・ウォーカー)は、リベンジを果たそうとヘンリー(ドミニク・クーパー)と協力し、斧を駆使した戦闘術をマスターしていく。やがて、黒人奴隷の売買によって食料となる人間をヴァンパイアたちが確保し、それを悪用して政治家が富を得ている事実を知る。個人の力だけでは彼らに太刀打ちできないと感じたリンカーンは、政治の道へと進んで大統領に。昼は大統領として責務を果たし、夜はハンターとしてヴァンパイアを倒していくが……。
というお話です。
ティム・バートン製作でウォンテッドの監督ということで、すごく期待してしまったのですが、ちょっと辛かったなぁ。期待してしまったからかも知れないけど、話もアクションも、ちょっと期待はずれでした。面白くない訳ではないんですけど、リンカーンということで、もう少し、南北戦争や政治の事が、万人に解りやすく描いてくれるかなって思っていたのですが、そこの所はとってもアバウトでした。
せっかくリンカーンなんだから、演説の素晴らしさや、強いアメリカを作った大統領というイメージをもっと押し出してくれれば良かったんだけど、ただの田舎の坊やが、ヴァンパイアとの戦いを経て、アメリカンドリームで大統領になっちゃったみたいに見えて、ちょっと納得が行かなかったんですよねぇ。
リンカーンとしての人となりがあまり描かれなかったので、もう、人物はリンカーンと思わずに、アクションを楽しもうと思ったんですが、アクションも、”ウォンテッド”ばりのものを期待してしまうと、物足りないんです。あまりにもCGに頼りすぎたのではないでしょうか。馬の群れの中での戦いの場面があるのですが、どう観ても、すべてアニメにしか見えず、現実感が一切無いんです。アニメを観るなら、別に、ハリウッド映画を観なくてもいいっす。日本のアニメの方が面白いので。
南北戦争が、北の人間と南のヴァンパイアという構想は良いと思うんですよね。面白いと思う。そして、支配階級がヴァンパイアで、奴隷は餌だったというのも理解出来ます。それは、面白いと思うんだけど、その描き方が、どーも歴史にマッチしていないように思うんです。つじつまが合わないんですよね。奴隷は餌だから、奴隷制度が無くなると困るといいながら、奴隷を栽培する訳でもなく、一般人からも血を吸ってしまうヴァンパイア。そんなんじゃ、その内、食べるものが無くなるでしょ。ヴァンパイア達は、少数精鋭というのが鉄則じゃないの?
ヴァンパイアはヴァンパイアを殺せないという設定なのですが、その内、餌が無くなったら、ヴァンパイア同士の殺し合いになると思わないのかしら。その時に殺し合いが出来ないとなると、ヴァンパイアがアメリカに溢れるってことでしょ。なんか、納得行かないなぁ。
とりあえずは、ある程度、楽しめましたが、色々考えてしまうと、あまりにも陳腐な設定で、悲しくなりました。頭を使って観てはいけない映画なんですよね。斧でヴァンパイアをバンバン殺すのを楽しむだけの映画ということで、ゾンビ映画と変わりません。(笑)
私は、まぁ、観たかったら観て下さいという感じかなぁ。何も考えないで、その動きや映像を楽しむだけなら、楽しめるかなと思います。色々考えてしまうと、つじつまが合っていないので、ムカついてしまいます。頭を使わないで下さいね。ぜひ、楽しんできてください。
P.S : スピルバーグ製作の「リンカーン」という映画が、年末に公開されると思います。そちらは、まともなリンカーンの歴史映画で、南北戦争のこともリンカーンのことも、ある程度は歴史に忠実に描かれるのではないかな。こちらに期待しましょう。(笑)