「悪の教典」 悪を行なう為だけに生まれた男。計算高く、その目は暗黒の宇宙を内包する。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

今日は、「悪の教典」の試写会に連れて行ってもらいました。


ストーリーは、

ハスミンというニックネームで呼ばれ、生徒たちから圧倒的な人気と支持を集める高校教師・蓮実聖司(伊藤英明)。生徒だけでなく、ほかの教師や保護者も一目を置く模範的な教師だったが、その正体は他人への共感や良心を持っていない反社会性人格障害者であった。学校と自身に降り掛かったトラブルや障害を取り除くために、平然と殺人を犯しては校内での地位を強固なものにしていく蓮実。しかし、ささいなミスから自身の凶行が知られそうになってしまう。それを隠そうと悩んだ彼が導き出した答えは、クラスの生徒全員を殺すことだった。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-教典

まず、映画を観る前に知っておく方が良い事を書きますね。


北欧神話の最高神オーディンは、戦争と死の神でもある。その神に仕えるワタリカラス、フギン(思考)とムニン(記憶)は、世界を飛び回っては、情報をオーディンにもたらす役割をしています。この神話が、蓮実にとって、重要な鍵となります。はたして、彼は、狂っているのか正常なのか、狂気と正常の違いは?悪と正義の違いは?


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蓮実という男は、良く言う”サイコパス”という種類の人間です。普通の人間は、性善説と言われる、必ず心の奥に善を持っているので、悪い事をすれば、心に負い目を感じるというものなのですが、サイコパスにはこれがありません。このサイコパスという性質が、遺伝子異常から来るのか、産まれてからの育ち方で発生するのか、判っていませんが、そのサイコパスという人間は、現代社会に隠れていて、ある時、突然現れます。今、ニュースで騒いでいる”尼崎殺人の角田”とかは、この部類の人間でしょう。

そんなサイコパスが、どうやって育ってきて、自分の邪魔になる人間を排除し、羊の群れに羊の皮を被って紛れ込んだ狼となり、事件を起こしていくのか、一つづつ描いていきます。いやぁ、恐ろしかったけど、面白かったです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-教典

なんたって、監督が三池さんなので、とっても笑えるように作っているんです。ショットガンで襲い血まみれになりながらも、何故か、笑ってしまう場面があって、つい、観ながらツッコミを入れてしまいました。これ、惨酷と言いながらも、そこに焦点を合わせている訳ではなく、その状況下で、人間がどうなるかという、人間を描いているので、考えてもいないことが目の前で起こり、ちょっとズレてしまう人とか、パニックになる人とか、そういうのが面白いんですよね。私だって、本当にこんな事が目の前で起こったら、自分がおかしいのかと思って、ズレてしまうかも。

話としては、あらすじに書いてある通りのこと以外はありません。サイコパスの先生が生徒を殺しまくるってことです。難しいことは一切ありません。だけど、とっても楽しくて、面白いです。その反面、サイコパスという人間が、もしかして隣に住んでいるかもと思うと、恐ろしくなります。だって、これほどのサイコパスにはあったこと無くても、こういう人に近い人って、周りにたくさん居るでしょ。笑って話しているくせに裏では悪口を言っていたり、真面目な顔をしてサギをやっていたり、もしタガが外れたら平気で殺人が出来る人、いるんだろうなぁ・・・。

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蓮実の頭の中は、底知れない暗黒に満ちていて、自分の欲望を満たす為なら何をやっても良いと思っています。人を殺すことは、彼にとって、快楽ではなく、生きていくのに必然な行動なのではないかと思いました。誰でも、目の前に何か置いてあったら、避けて通ると思うけど、彼はそれを退けて通るんです。たまたま、彼には退ける力もあるし、知識もある。彼の前に立ってしまった人間は、死ぬしかない。

先日の映画「危険なメソッド」でも書いたけど、狂気は、狂ったことのある人間にしか解らないと思うので、蓮実の気持ちは解りませんが、フギンとムギンに恐れと怒りを覚えていたように見えたのは、最高神オーディンに、自分の行動を告げ口され、自分の欲望が神により阻止されることを恐れたのかなって思いました。何故か、家の外で鳴いているカラスに、異様に敵意を燃やしていたんです。恐いでしょ。

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これ以上書いてしまうと、ネタバレになりそうなので、辞めておきますが、面白いです。確かに、高校生を殺しまくる場面があるので、R指定にはなっていますが、惨酷な場面よりも、蓮実の狂気の方がすごいです。彼の中に、何が巣食っているのか、ぜひ、その目で確認してきてください。そして、あなたの周りにも、こういうサイコパスがいるのだという事を認識しましょう。相手の思いやりや慈悲を望んでも、そんなモノを持ち合わせていない人間もいるのだと理解して下さい。

伊藤くん、マジで恐ろしい男に変身していて、海猿の雰囲気は”懸垂”をしている時だけでした。そんなに鍛えていたのは、惨殺をする為だったのねぇ~!!(笑)そうそう、山田くんと吹越さんが、イイ味出してます。林くんが、腐女子が喜ぶボーイズラブしてる場面があります。驚いたわ~!ごちそうさまでした。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-教典

私は、お薦めしたい作品だと思います。サイコパスというものが、どういうものなのか。羊の中に狼が紛れ込んだら、どうなるのか。たくさんの事を勉強出来て、楽しめる作品です。惨殺の映画なのに楽しいって言ったら不謹慎とか言われちゃうかな。でも、映画だしね。ぜひ、楽しんできて下さい。カメ


P.S : 映画の中で、笑っちゃう場面があるのですが、殺戮が始まって直ぐに、女子高生のパンツを蓮実が脱がして、ある人に投げる場面があるんです。何故か、そのパンツを受け取った人は、確認し、臭いをかいで、○○のだ!って叫ぶんです。今にも殺されそうになっている人間がパンツの臭いかぐ?!それに、パンツの臭いをかいで、誰のパンツか解る!?(笑)あまりにも気になって、仕事場で会う男性に片っ端から「臭いで誰のかって解るの!?」って聞いてしまいましたよ。(笑)誰もが、分からんと答えました。犬並みの嗅覚を持っている男なら分かるかもねって言っていましたが・・・。(笑)



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