「危険なメソッド」 フロイトとユング、二人の精神分析の違いを楽しんでください。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

映画祭で、映画館に全く行けてなかったので、今日から映画館に通います。(笑)


ストーリーは、

1904年、若き精神科医ユング(マイケル・ファスベンダー)は高名な精神分析医フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)が提唱する画期的な治療法を、新しく受け持った患者ザビーナ(キーラ・ナイトレイ)に実践する。そしてユングは彼女が抱えるトラウマの原因を突き止めるが、二人は医師と患者の一線を越え禁断の関係に。やがてザビーナの存在は、ユングとフロイトとの関係に確執をもたらしていき……。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-メソッド

まず、この映画の時代は、第二次世界大戦前で、ユダヤ人迫害なども無く、一瞬、穏やかだった時代だと思います。でも、やっぱり、ユダヤ人は、あまり好かれていなかったのかな。映画の中でも、ユダヤ系のサビーナとフロイトの会話で、”アーリア人を信用するな。”っていう言葉が出てきて、そろそろ戦争の気配が見えていたのかなと思いました。

サビーナは、まず、ユングの患者となり、彼女の中にある狂気が何から来るものなのかを探っていきます。それが親からの虐待が原因だと判り、フロイトの精神論に基づいたものだと感じたユングは、フロイトと交流を持ちたいと考えるんです。そこから、フロイトとの関係が始まっていきます。

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ユングとフロイトは、とても仲の良い師弟となり、サビーナを挟んで、精神論を交えていきます。でもね、フロイトは、無神論者(ユダヤ人の癖に変ですよね。)で、常に科学が基本にある精神論で、彼は理系的脳だと思うのですが、ユングは、神を信じていたり、患者と対話するという考え方で脳が文系なんです。だから、段々と、話が合わなくなって行くんです。

ユングは、医者で裕福なのですが、もっとお金持ちの女性と結婚したので、奥さんの方がお金を持ちです。裕福な生活をし、それが当たり前だと思っているので、フロイトのように苦労してお金が手に入るようになった人間の気持が解らないんです。だから、観ていて、ユングはすごくイヤな奴なんですよね。自分だけ良い席に座ったり、ところどころに、貧乏な人間に対して、卑下しているような言動が出ます。そんな所も、二人を決別させた原因の一つかも知れません。

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ユングは、患者であるサビーナの治療をしているつもりで、彼女に惹かれ、関係を持ってしまいます。もちろん、患者との不倫など、許されることではなく、それが噂になり、病院も辞めなければならなくなります。そのサビーナとの関係が、いつまでもユングに影響を与え、ユング自体が少し、精神的に弱って行きます。

映画の中でユングが、”精神を病んだ人間の事は、病んだ事のある人間にしか解らない。”というセリフがあるのですが、これ、すごく言い当てていると思いました。私も、フロイトの夢診断とか、ユングについて書いてある本を読んで思ったのですが、どこまで正常な人間が研究をしても、病んだ事のある人間の状態を理解出来る訳が無いと思うんです。だから、大学を出て精神科医ですなんて偉そうに言っている人間は、信用出来ません。カウンセラーというなら解るけど、正常な人間に、精神を治すなんて出来る訳ないんだから。だから、精神分析医としてサビーナは最適だったのでしょう。患者の気持が解るんですから。

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映画では、3人の関係についてと、精神分析というものが、どうやって生まれていったのかというお話なのですが、いやぁ、難しいですよね。確かに、フロイトの科学的に精神分析をするというのが、一番明確で信じられるとは思うのですが、やっぱり荒っぽいかな。ユングの提唱する精神分析は、精神分析を科学で始めるけど、患者それぞれに違う原因があるので、それぞれに対話をして解析する必要があり、一概に、すべて科学で決めることは出来ないという考え方なんです。


どちらも正しいとは思うんですけど、いつまでも精神病の人と対話をしていても、終わりが無いと思うんです。脳の障害でそうなっている人もいるだろうし、対話だけでは治してあげられないと思う。だから、少し荒っぽくても、色々な実験や治療を試して見るフロイトの方が、私は好きなんですけどね。

そんな二人の精神分析医と患者から医者になった女性の3人を、その時代背景を追いながら描いていて、面白いと思いました。今度は、もう一度、フロイトの本とユングの本を照らし合わせてみて、その後に、ゆっくりDVDで観たいと思います。

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私は、秋に観るのに、とても良い作品だと思いました。お勧めしたいけど、読書が好きな人には良いけど、本を読んだり、哲学を考えたりするのが嫌いな人には、ちょっと面倒かも。何も考えずに、3人の人間関係だけ観るのでも良いけど、やっぱり精神学が解ると、もっと面白く観れると思いますよ。

ぜひ、楽しんできて下さい。カメ



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