東京国際映画祭のナチュラルTIFF部門で、「最後の羊飼い」を観ました。
ドキュメンタリーなので、内容は、
子供のころからの夢を叶えた人間が、世界にどれだけいるだろう。レナートのように。彼は傍を片時も離れない忠実な犬を相棒に持ち、何百頭もの羊と移牧しながら生活しているミラノで唯一の羊飼いなのだ。子供のころからの夢を叶えたレナートは、この上なく輝いている。その笑顔に、その瞳に、誰もが惹きこまれるチャーミングな羊飼い。レナートには、新しい夢がある。羊飼いを見たことがないという都会の子供たちに、羊や自分の姿を見せてあげたいと思っていたのだ。その興奮と感動の日は近づいてきた。そして、全世界は壮大な奇蹟を目撃する。近代化された今の生活を手に入れるために、人間は自然や多くのものを引き替えにしてきた。我々が失いかけている自然との絆を再び結んでくれるのは、夢を持ち続け、すべてに愛情を持って生きる、レナートのような存在なのかもしれない。ひたすら走り続けてきた現代人に贈る、魔法が詰まったおとぎ話のような珠玉のドキュメンタリー。
最後の羊飼いって、今、10人くらいなんですって。その中の一人が、このレナートさん。羊飼いと言うと、アルプスとかに住んでいて、ペーターみたいなイメージなんですけど、全然違って、レナートさんは、ミラノに住んでいて、妻も子供4人も居て、パッと見、イタリアの町でくっちゃべってる太ったおじさんなんだけど、それが羊飼いなんです。
それも、ミラノで羊飼いをしているんですよ。夏は、郊外の山に羊たちを連れて行き、良くある放牧をして、単身赴任しているようなんだけど、寒くなると、山を降りて、ミラノの町の大きな土地で羊や馬、ロバ、ブタなどを飼っています。
もちろん冬でも、羊たちは移動させないといけないから、ミラノの道路を横切ったりするんだけど、それがスゴイんです。ミラノだから、幹線道路なんだろうけど、そこを、車を止めて、すごい数の羊を渡らせるの。日本だったら、どう考えても、イライラした人に羊たちが轢かれていると思うの。だって、そこら辺の住宅地の道路じゃないのよ。酷いでしょ。(笑)
それに、ミラノで羊たちを飼っているから、どう考えても、ご近所から臭いとか言われそうだよなぁって思いました。でもね、とってもかわいくて、触りたくなるんですよね。子羊とか、危ないから牛に背負わせた袋に入れて移動したりして、もう、ギューってしたくなるぅ。
レナートの子供たちも、とても協力的で、動物の世話をするし、奥さんが経理を担当しているようで、しっかり経営しているように見えました。でもね、驚いたことに、羊飼いの羊って、ウール(毛)を獲るためかと思っていたら、羊肉としても売るんだそうです。驚いちゃった。でも、確かにイスラム系の人は羊を良く食べるし、まぁ、当たり前なんだろうけど、あんなにかわいがっている羊を肉に売るって、出来るもんなのかなぁ。それが商売なら出来るんだろうなぁ・・・。ちょっと、ショックでした。
この映画、変なストーリーの映画を観るより、超面白いと思いますよ。笑えるし、発見も多いし、確かにドキュメンタリーだけど、とっても面白いの。一箇所、ドキュメントじゃなくて、許可を取ってやったことがあるそうです。それは、たくさんの羊を連れて、ドゥーモ前の広場に行ったこと。これは、地元のニュースとかにもなって、楽しかったそうですよ。ミラノ市も協力してくれて、良い映像が撮れたそうです。
そうそう羊飼いのレナートは、超デブデブのオッサンなんだけど、顔の中心だけ見ると、イタリアのイケメンなんですよねぇ。これ、痩せてたら、イタリアでブイブイ言わせただろうなって感じなんです。だから、息子たちは、とってもイケメンだし、娘は美人でした。
この映画、もう一度、映画祭で上映されるので、もし、お時間があったら観てみてください。面白いですよ。ミラノの街中を羊が歩くのは圧巻です。楽しいと思いますよ。とってもお薦め映画です。
ナチュラルTIFFの作品なので、日本公開はあるかなぁ。アップリンクさんとかで、もしかしてやってくれるかも。自然や環境の問題の映画としては、素晴らしいと思いました。
http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=173