東京国際映画祭のワールドシネマで、「眠れる美女」を観ました。
ストーリーは、
昏睡状態が続く少女の尊厳死がイタリア全土を巻き込む関心事となった2009年、ベロッキオ監督はマスコミやキリスト教会や政治家、そしてイタリア国民の反応に大いにショックを受けたという。しかし映画にするには早急であると判断し、2年の間を置き、視野を広げた上で、本作を完成させた。尊厳死を巡る3つの物語は、監督自らの経験や価値観を包含しているが、最終的な判断はあくまで観客に委ねられている。
という内容です。
イタリアで本当にあった事件を題材に、映画化されたそうです。一人の少女の命を、国会で論じるなんて、信じられない。どーいう国なんですか、イタリアは。(笑)イタリアにはバチカンがあって、ローマ法王が居るから、確かに、簡単に尊厳死を認めることは出来ないし、やっぱり、ローマ法王にお伺いと立てないといけないようだし、色々、難しいようですね。
話としては3つに別れています。、政治家として尊厳死の投票をするためにローマに向かう男と尊厳死を認めない娘、その娘とローマで衝撃的に出会う兄弟。娘が昏睡状態で、その介護をする両親と兄。薬物依存で自殺常習者の患者を助けた医者。この3つの話が交錯し、命というものを考えます。
この尊厳死の事件は、少女の自発呼吸が止まり、議会の答えが出る前に亡くなってしまったので、あやふやになって終ったそうですが、たくさんの人に影響を与えたようです。議会だけでなく、国民の考え方も二つに分かれ、対立が大きくなったみたいに見えました。
とても面白い内容で、ベロッキオ監督作品なので、きっと日本公開されるのではないかと期待しているのですが、どうですかね。ネタバレしちゃうと観た時、面白くないから、気をつけて書かなくちゃ。(笑)ベロッキオ監督は、去年公開された「愛の勝利を」など、評価の高い作品を排出している方です。
邦画「終の信託」でも問題を投げていますが、そもそも尊厳死って、何なんですかね。今、医学が進歩して、無駄に生きてしまうからこういう問題が出てくるだけで、動物は、病気になって悪くなれば自然に死が訪れるんでしょ。もしかして、回復する見込みがあるなら、ある程度は機器を使って補助する必要もあるかも知れないけど、回復見込みが無いのに、ただ命を長らえる為だけで、機器は着けちゃいけませんよね。それこそ、神への冒涜だと思います。人間に元々ある機能じゃないんですから。
人間は、自然の中で生き、自然の一部として死んでいくのが一番だと思います。だから、機器を止めるとか止めないとかではなく、もう回復の見込みが無いと解ったら、機器は外して、本人の自然の成り行きに任せることに決めれば良いのに。そうすれば、生きる人は生きるし、亡くなる人は亡くなるでしょ。生きている人が死ぬべき人の犠牲になるのは間違っています。
この映画は、尊厳死を軸に、命の大切さを描いています。生きたくても生きられない人間もいるのだから、命が与えられたなら、自分で命を絶つような事は、出来れば辞めて欲しい。思いとどまって欲しいです。でも、私は、自殺することは悪い事とは思っていません。自殺しなければいられない人もいると思うし。きっと、神様が許してくれれば、自殺でも苦しまずに天国に行けるんじゃないかな。自殺する人の批判は出来ません、いつ自分もそうしたくなるか解らないですからね。
この映画、ベロッキオ監督作品だし、とても面白い題材を描いているので、ぜひ、日本公開して欲しいな。面白かったです。イタリア映画を良く観ている人には、とてもピッタリくると思います。そうそう、ベロッキオ監督の息子さんのピエールも、医者役で出ています。ぜひ、機会があったら、観てみてください。
http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=143